核心解説
この問題は、
MRI(磁気共鳴画像法:Magnetic Resonance Imaging)検査を受ける高齢者への安全な準備と看護を問うています。
MRI装置は強力な磁場(Magnetic Field)を常時発生しているため、体内外の金属が吸引・発熱・火傷の原因となることを理解することが鍵となります。特に高齢者は義歯(Denture)や人工関節、ペースメーカー、クリップなどの体内金属留置物を有する頻度が高く、MRIの絶対的禁忌事項に該当する可能性があります。金属が含まれる義歯はアーチファクト(画像の乱れ)を生じさせ、正しい診断を妨げるだけでなく、検査中の吸引や火傷事故のリスクも伴います。
正解の根拠:
最重要! 検査前に看護師が必ず確認すべきは、体内外の金属の有無です。義歯に金属が含まれていないか(例:金具、クラスプ、金属床)、MRI対応の素材(レジンなど)かどうかを確認し、金属が含まれる場合は検査前に外す必要があります。そのため、「義歯を装着していますか(②)」の確認が最も適切かつ優先度の高い項目です。
誤答の分析:
混同注意!
①「夜はよく眠れますか」は、不眠の有無を確認する質問であり、MRIの安全確認には直接関係しません。鎮静が必要な患者の情報として参考程度に聞くことはありますが、本問の「確認する内容で適切なもの」という主旨に合致しません。
③「呼吸が苦しいことはありますか」は、呼吸状態のアセスメントとして重要ですが、MRI検査特有の禁忌・安全確認ではありません。MRI検査室内の騒音や閉塞感によるパニック発作への備え(閉所恐怖症の確認)には関連しますが、これは「金属確認」ほど優先度は高くありません。
④「水を飲むときにむせることはありますか」は、嚥下機能の評価であり、MRI造影剤投与時の誤嚥リスク評価には有用ですが、本問の「MRI検査を受ける前に」の安全確認としての第一選択肢ではありません。造影剤を使用しない検査や、そもそもMRIが禁忌となる金属確認が最優先です。
関連概念の整理:
混同注意! MRIの禁忌事項は、ペースメーカー(Pacemaker)、植込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)、人工内耳(Cochlear Implant)、脳動脈瘤クリップ(Aneurysm Clip)、一部の人工関節、金属製の眼窩内異物などです。また、刺青(タトゥー)やアイライナーに含まれる金属成分による火傷のリスクも近年報告されています。一方、CT(Computed Tomography)検査では被ばく線量と造影剤アレルギーの確認が優先されます。
MRIは放射線被ばくがないという利点がありますが、磁場によるリスクを忘れてはいけません。
概念整理:
| 検査 | 特徴 | 優先確認事項(安全面) |
|---|
| MRI | 強力な磁場を使用 放射線被ばくなし | 金属の有無(義歯・体内金属・刺青など) 閉所恐怖症 |
| CT | X線を使用 放射線被ばくあり | 造影剤アレルギー 腎機能(eGFR) 妊娠の有無 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 問診票と口頭で金属の有無を確認。特に義歯の種類(金属床/レジン床)、クラスプの有無、人工関節・ペースメーカー・脳動脈瘤クリップの既往歴。高齢者は記憶が曖昧な場合があるため、家族やカルテ情報も併用。
計画: 金属が含まれる義歯は検査前に外すよう説明し、外した義歯を安全に保管するケアを計画。検査終了後に速やかに装着できるよう準備。
実施: 義歯を外す、更衣(金属ボタンのない検査着への着替え)、装飾品(指輪、ネックレス、ピアス、時計)の除去。検査室内への車椅子やストレッチャーも非磁性体であることを確認。
評価: 検査後、義歯の返却と装着を確認。金属による事故(発赤、熱感、火傷)が発生していないか皮膚を観察。
暗記のコツ:
「MRIのMは『Metal』のM!」と覚えましょう。MRI検査で一番最初にチェックするのは「金属(Metal)」です。義歯も金属製ならアウト。高齢者の義歯は金属床のことも多いので、必ず確認が必要です。
国試頻出ポイント:
この問題は「検査前の安全確認」の定番テーマです。MRIだけでなく、CT、ガンマナイフ、PET、シンチグラフィなど画像診断全般における禁忌・注意事項が組み合わせて出題されます。特に「MRIは金属、CTは造影剤アレルギーと腎機能」という対比が頻出です。また、検査を受ける患者の心理的ケア(閉所恐怖症、騒音への説明、検査時間の長さ)も合わせて問われることがあります。
出題パターン注意!:
「高齢者がMRI検査を受ける前に、看護師が最も優先して確認すべき内容はどれか」という形で、複数の安全確認項目の中から優先順位を問う問題に発展します。例えば、「①ペースメーカーの有無 ②閉所恐怖症の有無 ③義歯の金属の有無 ④造影剤アレルギーの有無」のうち、①と③が金属確認で最優先、④はCTの確認事項というように、選択肢を細かく分類して考えさせるパターンがあります。