核心解説
この問題は、
分娩第2期 (Second Stage of Labor) における産婦への適切な看護介入を問うています。分娩第2期は、子宮口が全開大(約10cm)してから胎児が娩出されるまでの期間で、分娩の中で最も産婦の協力と適切な介助が求められる時期です。この時期の看護の基本は、
胎児の安全な下降と娩出を促進することであり、産婦の身体的・心理的負担を最小限に抑えることが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 分娩第2期では、膀胱が充満していると、
胎児の先進部(児頭)の下降を物理的に妨げ、分娩の進行を遅延させる原因となります。また、充満した膀胱は陣痛の間欠期に子宮の収縮を阻害し、産後の子宮復古にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、必要に応じて導尿や自然排尿を促し、
膀胱を空虚に保つことは、分娩進行を促すための基本的かつ重要な看護ケアです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! 胎児心拍数 (Fetal Heart Rate, FHR) の確認は、陣痛発作時と間欠期の両方で継続的に行うか、または陣痛発作前後の変化を評価することが重要です。特に、
陣痛発作後のFHR回復遅延(遅発性一過性徐脈など)は胎児機能不全の兆候であるため、発作時のみの確認では不十分です。
②
混同注意! 分娩第2期では、胎児の下降に合わせて「いきみ」を促すのが原則です。「いきみを逃す」ように指示するのは、子宮口が全開大していない分娩第1期や、児頭の娩出直前のクラウン(排臨)時に会陰裂傷を予防するために行う場合があります。第2期の一般的な対応としては、「いきみ」を促すか、産婦の感覚に合わせて自然に任せます。
③ 分娩第2期における体位は、産婦の希望や状況に応じて、
仰臥位、側臥位、半坐位、立位など様々な体位が選択可能であり、仰臥位を強制する必要はありません。産婦の安楽やいきみやすさ、胎児の状態に合わせて体位を支援することが重要です。
④ 内診は、分娩の進行(児頭の下降度、回旋の状態など)を評価するために必要時に実施しますが、
頻回な内診は産婦の不快感や感染リスクを高めるため、計画的かつ必要最小限に行うべきです。
概念整理
分娩第2期の看護介入の核心は、「胎児娩出の安全な促進」と「産婦の身体的・心理的サポート」です。具体的には、1. 分娩進行状態のアセスメント(子宮口開大度・児頭下降度・回旋・胎児心拍数モニタリング)、2. 産婦への効果的ないきみ指導(Valsalva法または自然ないきみ)、3. 会陰保護(会陰マッサージ・温罨法・エピジオトミーの判断)、4. 感染予防(清潔操作、導尿など)、5. 産婦の希望する体位や環境調整が含まれます。
一目で比較!
| 分娩期 | 定義 | 主な看護介入 |
|---|
| 第1期 | 子宮口開大期(0~10cm) | 陣痛促進、呼吸法指導、膀胱排尿の促進、内診(定期的) |
| 第2期 | 胎児娩出期 | いきみ指導、胎児心音確認(継続的)、膀胱空虚の維持、会陰保護 |
| 第3期 | 胎盤娩出期 | 胎盤剥離徴候の観察、子宮底の確認、出血量の評価 |
看護過程ポイント
アセスメント:分娩進行度(児頭下降度、回旋)、陣痛の強さと頻度、胎児心拍数のパターン、産婦の疲労度、膀胱充満度。看護診断例:「分娩進行遅延のリスク」「疼痛(急性痛)」「不安」「効果的ないきみの障害」。計画・実施:膀胱充満時は導尿を検討、産婦の希望を尊重した体位選択、持続的な胎児心拍数モニタリング、いきみ方の具体的な指導(「顎を引いて、お腹に力を込めるように」など)。評価:分娩進行が順調か、胎児心拍数に異常がないか、産婦がリラックスできているか。
国試頻出ポイント
分娩第2期の看護は、国試では事例問題として頻出です。「産婦が『便が出そう』と言っている(児頭下降のサイン)」「いきみを逃すよう指示する時期は?」などの具体的な状況を問う問題が出題されます。また、「導尿のタイミング」や「内診の頻度」など、実践的な判断を求める問題も多いため、単なる知識だけでなく、臨床判断の根拠を理解しておくことが重要です。