周産期にある人と家族の看護
問題
分娩第1期の産婦に対する看護として適切でないものはどれか。
-
1
膀胱の充満を避けるため排尿を促す
-
2
フリースタイル分娩を許可する
-
3
経口摂取を制限する
✓ 正解
-
4
アロマテラピーによるリラクゼーションを促す
-
5
パートナーの立ち会いを許可する
解説
分娩第1期では、エネルギー補給のために経口摂取を制限する必要はなく、むしろ水分や軽食の摂取を促すことが多い。ただし、緊急帝王切開の可能性がある場合は制限することもある。膀胱の充満は子宮収縮を妨げるため、排尿は重要である。
詳細解説
核心解説
この問題は、分娩第1期 (First Stage of Labor)における産婦に対する適切な看護介入を問うています。分娩第1期は、規則的な子宮収縮が始まり、子宮頸管が完全に開大(約10cm)するまでの時期です。この時期の看護の目標は、産婦の身体的・精神的ストレスを軽減し、安全でスムーズな分娩進行を支援することです。経口摂取の制限は、通常は必要なく、むしろエネルギー補給のために水分や軽食の摂取を促すことが基本です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
③番の「経口摂取を制限する」は、分娩第1期の通常の看護として適切ではありません。最重要! 分娩は非常にエネルギーを消費するプロセスであり、産婦には十分なエネルギー補給が必要です。水分摂取を促し、消化の良い軽食(ゼリー、スープ、クラッカーなど)を許可することで、体力の維持と疲労の予防を図ります。ただし、緊急帝王切開のリスクが高い産婦や、全身麻酔が必要となる可能性が高いケースでは、誤嚥予防のために経口摂取を制限することがあります(これは医師の指示に基づく特別な対応です)。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の「膀胱の充満を避けるため排尿を促す」:適切です。混同注意! 膀胱が充満すると、子宮収縮を物理的に妨げ、分娩の進行を遅らせる可能性があります。定期的な排尿を促すことは基本的な看護ケアです。
②番の「フリースタイル分娩を許可する」:適切です。分娩第1期では、産婦が楽な体位(立位、座位、側臥位、四つん這いなど)を自由にとれるフリースタイル分娩が推奨されます。これにより、子宮収縮の効率が上がり、疼痛軽減にもつながります。
④番の「アロマテラピーによるリラクゼーションを促す」:適切です。アロマテラピーは、不安や疼痛を軽減する補完療法として用いられることがあり、リラクゼーション効果が期待できます。
⑤番の「パートナーの立ち会いを許可する」:適切です。パートナーの立ち会いは、産婦の精神的サポートとなり、不安の軽減や分娩体験の満足度向上に寄与します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
分娩の進行に伴い、看護ケアの優先順位は変化します。分娩第1期は「経口摂取の確保」「体位変換の促進」「疼痛緩和」「精神的サポート」が中心ですが、分娩第2期(娩出期)では「いきみの指導」「会陰保護」、分娩第3期(胎盤娩出期)では「出血量の観察」が重要になります。
概念整理: 分娩第1期の看護の核心は、産婦のエネルギーマネジメントと身体的・精神的安楽の促進です。経口摂取の制限は、特別な医学的適応がない限り行いません。
一目で比較!: 分娩第1期の経口摂取は「基本は許可」、分娩第2期(娩出期)の経口摂取も「基本は許可」ですが、分娩第3期以降や産褥早期の水分・栄養補給も重要です。緊急帝王切開の可能性が高い場合のみ、医師の指示で制限されます。
看護過程ポイント: アセスメント:分娩の進行状態(子宮口開大度、児頭下降度、子宮収縮の間隔・持続時間・強さ)、産婦の疲労度、脱水の有無。看護診断:「疲労 (Fatigue)」、「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」。計画・実施:水分・軽食の摂取を促す、排尿を促す、安楽な体位を促す、リラクゼーション法を提案する。
暗記のコツ: 分娩は「フルマラソン」に例えられます!第1期はスタートから中間地点。エネルギー補給(水分・栄養)とペース配分(リラックス)が重要。経口摂取制限は「レース放棄(緊急帝王切開)の準備」と考えましょう。
国試頻出ポイント: 分娩各期の看護介入の「適切/不適切」を問う問題は頻出です。「制限する」「禁止する」といった否定的な選択肢に注意し、それが標準的なケアか、特別な状況下での対応かを考えましょう。
出題パターン注意!: 「分娩第1期の産婦が『のどが渇いた』と訴えた。看護師の対応で適切なのはどれか?」という事例問題に発展します。選択肢には「経口摂取を制限する」「少量の水を飲ませる」「氷片をなめさせる」などが並びます。正解は「少量の水を飲ませる」または「氷片をなめさせる」(施設のプロトコルによる)です。
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
28歳初産婦、妊娠39週。朝6時より10分間隔の子宮収縮が始まり、午前10時に来院。内診で子宮口4cm開大、児頭下降度SP-1(Station -1)。「お腹が痛くて、気持ちが焦っています。何か食べてもいいですか?」と産婦から質問がありました。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察・アセスメント:バイタルサイン(血圧、脈拍、体温)を確認。分娩経過(子宮収縮の間隔・持続時間・強さ、児心拍数陣痛図(CTG)のパターン)をアセスメント。緊急帝王切開のリスク因子(既往帝王切開、胎盤異常、児心音異常など)の有無を確認。
2. 対応・介入:産婦の不安に共感し、「痛みが強くてお腹が空かないかもしれませんが、エネルギー補給のために、ゼリーやスープなどの消化の良いものを少量ずつ召し上がってくださいね。炭酸飲料や脂っこいものは避けましょう」と説明。最重要! 水分補給として、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクを勧めるのも効果的です(脱水予防)。
3. 評価:産婦が水分・軽食を摂取できているか、嘔気・嘔吐がないか、分娩の進行に影響がないかを確認。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
Critical! 産婦が嘔気・嘔吐を訴えた場合、または分娩が急激に進行し緊急帝王切開の可能性が高まった場合は、経口摂取を一時的に中止し、医師の指示を仰ぎます。誤嚥のリスクを評価することが最優先です。
看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン、子宮収縮のパターン、児心拍数陣痛図(CTG)、内診所見(子宮口開大度、児頭下降度)、排尿の有無、水分・栄養摂取量。報告基準(SBAR):S(状況)「分娩第1期の産婦ですが、水分摂取について質問があります」、B(背景)「経口摂取は問題ないと判断しました」、A(アセスメント)「脱水や疲労のリスクは低いです」、R(提案)「経口摂取を許可してよろしいでしょうか」。
先輩看護師の一言: 「分娩は本当に体力勝負!ママさんが『お腹すいた』『のど乾いた』と言ったら、それは良いサイン。エネルギー補給して、赤ちゃんに会う力を蓄えてもらいましょう。ただし、『気持ち悪い』と言ったら要注意。いきなり食べさせるのを止めて、医師に報告する準備をしてくださいね!」
重要概念
- 分娩第1期 — 規則的な子宮収縮が開始し、子宮頸管が完全開大(約10cm)するまでの時期。潜伏期と活動期に分けられる。
- フリースタイル分娩 — 産婦が自分の楽な体位を自由に選択して分娩を行う方法。立位、座位、側臥位、四つん這いなどがある。
- 経口摂取制限 — 緊急手術(帝王切開)や誤嚥リスクがある場合に、医師の指示で一時的に水分・食物の経口摂取を禁止すること。
- アロマテラピー — 精油(エッセンシャルオイル)を用いた補完療法。リラクゼーション効果、疼痛軽減効果が期待される。
- パートナー立ち会い分娩 — 配偶者やパートナーが分娩に立ち会うこと。産婦の精神的安定と分娩体験の満足度向上に寄与する。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。