核心解説
この問題は、
分娩第2期 (Second Stage of Labor) における
いきみ(努責) (Valsalva Maneuver / Pushing) の適切なタイミングを問うています。分娩第2期は、子宮口全開大から児娩出までの時期であり、母体の腹圧(いきみ)を効果的に子宮収縮と協調させることで、児頭の下降と回旋を促進することが目標です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 適切なタイミングは、
子宮収縮の最強時 (Peak of Contraction) です。子宮収縮がピークに達した時点でいきむよう指示することで、子宮の収縮力と母体の腹圧が同時に最大となり、最も効率的に児頭を産道に押し下げることができます。これにより、分娩時間の短縮と母体の疲労軽減につながります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- ①
子宮収縮の減弱時:収縮力が低下しているタイミングでいきんでも効果は乏しく、無駄な体力消耗につながります。
- ②
常に持続的にいきませる:母体の過度な疲労、血圧上昇、胎児仮死(胎盤血流低下)のリスクが高まるため禁忌です。間欠的ないきみが基本です。
- ④
子宮収縮の開始と同時:収縮開始時はまだ収縮力が弱く、いきみの効果が最大限に発揮されません。また、早期のいきみは子宮頸部裂傷や産道裂傷のリスクを高める可能性があります。
- ⑤
子宮収縮の間欠期:子宮が弛緩している時期にいきんでも児頭は下降せず、母体の疲労と胎盤血流の減少を招くため不適切です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
- 分娩第1期(開口期)では、子宮口が全開大していないため、原則として積極的ないきみは指示しません(子宮頸管浮腫や裂傷の原因となるため)。
- 硬膜外麻酔下では、子宮収縮の感覚が鈍麻するため、内診所見や子宮収縮モニター(トコグラム)を参考に、収縮ピークを確認しながらいきみのタイミングを指導する必要があります。
概念整理:
分娩第2期のいきみは、子宮収縮力 + 母体腹圧を同期させて児頭を下降させる。最適タイミングは
収縮最強時。間欠的ないきみ(1回の収縮で3〜4回程度)が推奨される。
一目で比較!:
| 分娩期 | いきみの指示 | 理由 |
|---|
| 第1期(開口期) | 禁止(フガス呼吸などで逃す) | 子宮口未全開大 頸管浮腫・裂傷防止 |
| 第2期(娩出期) | 収縮最強時に間欠的に指示 | 効率的な児頭下降 母体疲労軽減 |
| 第3期(後産期) | 原則禁止(軽度のいきみは許可) | 胎盤剥離促進 子宮内反症予防 |
看護過程ポイント:
アセスメント:子宮収縮の頻度・強度・持続時間を触診またはトコグラムで確認。内診所見(児頭の位置・回旋)と合わせて、いきみの有効性を評価。
介入:収縮開始を母体に知らせ、呼吸法を促し、収縮ピーク時に「いきんで!」と明確に指示。いきみの間は深呼吸で休息を促す。
評価:いきみ後の児頭下降度、胎児心拍数パターン、母体の疲労度・バイタルサインを確認。
暗記のコツ: 「いきみは波乗りと同じ!」収縮という波がピーク(山の頂上)に来たときに、一緒に力を合わせて押し出すイメージ。波が小さいときや引いた後に押しても無駄な力になる。
国試頻出ポイント: 分娩第2期のいきみ指導は毎年頻出。特に「最強時」と「間欠的」の組み合わせを問う問題が多い。また、フガス呼吸(収縮開始時に浅く速い呼吸で逃す)と対比して出題されることもある。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「経産婦の分娩第2期、子宮収縮のモニター波形を見ながら、看護師がいきみを指示するタイミングは?」といったグラフ読取問題や、「いきみの効果が不十分な場合の看護介入」を問う応用問題に発展することがある。