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周産期にある人と家族の看護
正常分娩における胎盤娩出の徴候(胎盤剥離徴候)として正しいものはどれか。
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1
子宮底が上昇する
✓ 正解
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2
子宮収縮が消失する
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3
腟出血が増加する
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4
胎児心拍数が減少する
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5
臍帯が短縮する
解説
胎盤剥離の徴候として、子宮底が上昇し、子宮が球形に触知される。また、臍帯の延長や、腟からの少量の出血(剥離出血)も認められる。子宮収縮は胎盤娩出後も持続する。
同じテーマの次の問題分娩第1期の定義として正しいものはどれか。この問題が収録された問題集母性看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、正常分娩 (Normal Delivery) における 胎盤娩出 (Placental Delivery) の時期を判断するための重要な 胎盤剥離徴候 (Signs of Placental Separation) を問うています。胎盤が子宮壁から剥がれて娩出される過程は「第3期(後産期)」と呼ばれ、この時期に母体の安全を確保するための観察が不可欠です。胎盤剥離の徴候を正しく理解することは、異常な出血(弛緩出血など)の早期発見につながります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は ① 子宮底が上昇する です。
最重要! 胎盤が子宮壁から剥離すると、剥離した胎盤と血液が 子宮下部 (Lower Uterine Segment) に移動します。これにより、子宮全体がやや上方に押し上げられ、触診上 子宮底 (Fundus of Uterus) が臍上に上昇 します。同時に子宮は球形かつ硬く触知されるようになります。この「子宮底の上昇」と「球形化」が最も信頼性の高い胎盤剥離徴候の一つです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②番「子宮収縮が消失する」は誤りです。胎盤娩出後も子宮は収縮を続け、産褥期には子宮復古が促進されます。むしろ、子宮収縮が弱いと 弛緩出血 (Uterine Atony) のリスクが高まります。
③番「腟出血が増加する」は誤りです。胎盤剥離に伴い少量の出血(剥離出血)は見られますが、「増加する」という表現は不適切です。多量の出血は 異常出血 (Abnormal Bleeding) を示唆し、分娩後の危険信号です。
④番「胎児心拍数が減少する」は誤りです。胎盤剥離徴候は胎児が娩出された後の母体の徴候であり、胎児心拍数はこの時期にはすでに測定されていません。
⑤番「臍帯が短縮する」は誤りです。正しくは「臍帯の延長」が胎盤剥離の徴候の一つです。胎盤が剥離して子宮下部に降りることで、腟から見える臍帯の長さが長くなります(臍帯延長)。
概念整理
胎盤剥離徴候 (Signs of Placental Separation) は以下の4つです。
| 徴候 | 詳細説明 |
| 子宮底の上昇 | 子宮が球形になり、臍上に上昇する(最も信頼性が高い) |
| 子宮の球形化 | 子宮が縦長から球形に変化し、硬く触知される |
| 臍帯の延長 | 腟外に出ている臍帯が長くなる |
| 少量の腟出血 | 剥離に伴う正常な剥離出血(10〜30ml程度) |
一目で比較!
「子宮底上昇」は胎盤が子宮下部に移動したために起こる変化です。「子宮底下降」は産褥期の子宮復古に伴い数日かけて起こる変化であり、全く異なる時期の現象です。混同注意!
看護過程ポイント
- アセスメント: 胎児娩出後、母体のバイタルサインとともに子宮底の高さ、硬さ、腟出血量を観察。胎盤剥離徴候が確認されるまでは 臍帯牽引 (Cord Traction) を行わない。
- 看護診断: 「出血リスク状態(Risk for Bleeding)」または「分娩後の回復遅延リスク状態(Risk for Delayed Recovery after Childbirth)」
- 介入: 胎盤剥離徴候が確認されたら、母体に息みを指示し、軽度の腹圧で胎盤を娩出させる。子宮収縮剤の投与(医師の指示)を準備する。
- 評価: 胎盤が完全に娩出されたか、子宮収縮は良好か、出血量は正常範囲か(500ml以内が正常)を確認する。
暗記のコツ
「子宮底が上昇し、球形化、臍帯が延長、少量出血」の4つを「じ・きゅう・さ・し(地・球・差・し)」と覚えましょう。「地球差し」→「地球を指す」ように、子宮が球形になって上方に上がるイメージです。
国試頻出ポイント
このテーマは母性看護学の分娩期看護の頻出事項です。「胎盤剥離徴候の順序」や「子宮底の位置(臍高)」と併せて問われることが多いです。また、弛緩出血の予防と早期発見の観点から、胎盤娩出後の子宮収縮状態の観察も必ず押さえておきましょう。
出題パターン注意!
「胎盤剥離徴候を確認した後の看護師の行動はどれか」という発展問題や、「胎盤娩出後に子宮底が軟らかく、出血量が多い場合の対応」などの異常時の対応を問う事例問題に発展します。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)産婦さんが児を娩出し、へその緒(臍帯)の拍動が停止したところです。助産師または看護師が子宮底を触診し、「子宮底が臍上に上がってきて、丸く硬くなってきた」と報告しました。これは胎盤剥離の開始を示す重要なサインです。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)1. 観察: 子宮底の高さ(臍上何cmか)、硬さ(硬い/軟らかい)、腟出血の性状と量を確認する。母体の脈拍・血圧を測定する。2. アセスメント: 胎盤剥離徴候(子宮底上昇+球形化)が認められたら、胎盤が剥離したと判断する。3. 報告: 医師または助産師に「子宮底が臍上2横指、球形で硬いです。剥離出血を少量認めます」と SBAR で報告する。4. 介入: 母体に「次の陣痛が来たら、いきんでみてください」と声かけをする。または医師の指示に従い、軽度の腹圧補助や臍帯牽引(ブラント・アンドリュース法)を実施する。5. 評価: 胎盤が完全に娩出され、子宮収縮が良好で出血量が正常であることを確認する。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)最重要! 胎盤剥離徴候が確認される前に 臍帯牽引 (Cord Traction) を強く行うことは絶対禁忌 です。子宮内反症(Uterine Inversion)や大量出血を引き起こす危険があります。また、子宮底が軟らかく(子宮弛緩)、出血量が多い場合は 弛緩出血 (Uterine Atony) を疑い、子宮底マッサージと医師への緊急報告が必要です。
看護プロトコル- 観察項目: 子宮底の高さと硬さ(5〜15分毎)、腟出血量(パッドの浸潤範囲で評価)、バイタルサイン(特に脈拍と血圧)- 報告基準(SBAR): Situation(胎盤剥離徴候あり/なし)、Background(分娩経過、出血量)、Assessment(胎盤剥離の状態、出血リスク)、Recommendation(胎盤娩出介助の準備、医師の立ち会い要請)- 記録のポイント: 胎盤剥離徴候が確認された時間、子宮底の高さ(臍上○cm)、子宮の硬さ、出血量(ml)、胎盤娩出の方法(自然/用手剥離)と時間
先輩看護師の一言
「分娩第3期は一見落ち着いたように見えますが、実は出血リスクが最も高い時期の一つです。胎盤剥離徴候を正確に捉えることは、母体の安全を守る第一歩。子宮底の触診は『高さ』と『硬さ』をセットで評価してください。『子宮底が上がってきて、丸く硬い』この一言が、次のアクションを決める大切なサインです!」
- 胎盤剥離徴候 — 胎盤が子宮壁から剥がれたことを示す兆候で、子宮底上昇、球形化、臍帯延長、少量の腟出血がある。
- 子宮底 — 子宮の最上部。分娩後は臍の高さを基準に位置を評価し、子宮復古の指標となる。
- 後産期 — 分娩第3期。胎児娩出後から胎盤娩出までの期間で、出血リスクが高い。
- 弛緩出血 — 子宮収縮不全による分娩後異常出血。胎盤娩出後に子宮底が軟らかく触知される。
- 臍帯牽引 — 胎盤娩出を促す手技。胎盤剥離徴候確認後に行うが、早期の強制牽引は子宮内反症を誘発する。
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