介護老人保健施設(老健)に入所中の要介護3の82歳男性。施設看護師が入所者の転倒予防のために実施する対策として適切なのは… | MyMerci
介護保険・医療保険と老年看護
問題

介護老人保健施設(老健)に入所中の要介護3の82歳男性。施設看護師が入所者の転倒予防のために実施する対策として適切なのはどれか。

解説
転倒予防の基本は、入所者の移動能力や認知機能に応じた環境調整(手すりの設置、床の段差解消、適切な照明など)と、個別の見守り計画を立てることである。身体拘束は転倒予防のための第一選択ではなく、やむを得ない場合でも最小限かつ一時的に行う。ベッド柵の全外しや完全暗闇はかえって危険である。

詳細解説

核心解説 この問題は、介護老人保健施設(老健)における転倒予防のための適切な看護対策を問うています。高齢者の転倒は骨折(特に大腿骨頸部骨折)頭部外傷のリスクを高め、その後のADL低下QOL低下に直結します。転倒予防は最重要!施設看護の基本であり、身体拘束は最終手段であり、環境調整や見守りによる予防が優先されます。 正解の根拠 (Answer Rationale): ①番が適切です。転倒予防の基本は、個別性を考慮した環境調整(手すり設置、段差解消、適切な照明、滑り止めマットなど)と、入所者の移動能力や認知機能に応じた見守り計画を立案・実施することです。画一的な対策ではなく、一人ひとりのリスクアセスメントに基づく介入が求められます。 誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②番:ベッド柵(サイドレール)をすべて外すことは、ベッドからの転落リスクを高め、かえって危険です。ベッド柵は、利用者の状態に応じて適切に使用する必要があります。完全に外すのではなく、半柵にするなど調整が必要です。
③番:夜間の完全な暗闇は、視覚情報を奪い、転倒リスクを著しく高めます。夜間は、足元を照らす常夜灯(ナイトランプ)を設置し、トイレへの移動を安全に支援することが重要です。
④番:ナースコールを遠くに設置することは、入所者がコールを押すために無理に手を伸ばしたり、立ち上がろうとしたりする原因となり、転倒リスクを増大させます。ナースコールは、容易に手が届く場所に設置し、使用方法を分かりやすく説明する必要があります。
⑤番:最重要! 身体拘束は、転倒予防のための第一選択肢ではありません。身体拘束は、入所者の尊厳を損ない、心身機能を低下させるため、介護保険法身体拘束廃止の理念に基づき、やむを得ない場合でも、最小限かつ一時的に、医師の指示や施設内の手続き(家族同意など)を経て実施するものです。 関連概念の整理 (Related Concepts):
転倒予防には、HDS-RMMSEによる認知機能評価、TUGテスト(Timed Up and Go test)や歩行速度による移動能力評価、Morse Fall Scaleなどの転倒リスクアセスメントツールを用いた客観的評価が重要です。また、薬剤の影響(特に睡眠薬、降圧薬、向精神薬)も転倒リスクを高めるため、多職種(薬剤師、医師)と連携した薬剤管理も必須です。 概念整理: 介護保険施設(老健)における転倒予防は、環境整備 + 個別見守り + 身体機能維持 + 薬剤管理 + 多職種連携が基本。身体拘束は最終手段。 一目で比較!:
対策適切か理由
移動能力に応じた環境調整と見守り適切個別性に基づいた転倒予防の基本
ベッド柵をすべて外す不適切ベッドからの転落リスク増大
完全な暗闇不適切視覚情報を奪い転倒リスク増大
ナースコールを遠くに設置不適切無理な姿勢を強いる
身体拘束の常時実施不適切尊厳侵害、心身機能低下、法的問題
看護過程ポイント: アセスメント:入所者の移動能力、認知機能、服薬状況、転倒歴を評価。看護診断:「転倒リスク状態」。計画:個別的な環境調整、見守り頻度の設定、多職種カンファレンスの開催。実施:環境調整、見守り、排泄誘導、フットケア。評価:転倒発生件数の推移、入所者のADL維持状況。 暗記のコツ: 「転倒予防の3本柱」は「環・見・薬」:境(手すり・照明・段差)、守り(個別性に応じた)、剤管理(多剤併用・副作用)。 国試頻出ポイント: 「転倒予防」は、毎年必出のテーマ。特に「身体拘束は転倒予防にならない」「環境調整の具体例」「高齢者の転倒リスク因子(筋力低下、視力低下、薬剤、認知症)」が頻出。 出題パターン注意!: 単純な知識問題だけでなく、「転倒後の対応(観察項目、報告の優先順位)」「転倒リスクの高い入所者へのケア計画の立案(事例問題)」として出題されることが多い。例えば、「夜間に頻回にトイレに行く認知症の入所者への具体的な介入」など、状況設定問題への対応が必要。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは老健の看護師です。要介護3で軽度の認知症(HDS-R 18点)がある82歳の女性が、夜間にトイレに行こうとしてベッドサイドで転倒しました。幸い骨折はありませんでしたが、本人は「もう動きたくない」と落ち込んでいます。看護師として、この入所者への転倒再発予防策をどのように立案しますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察:転倒後のバイタルサイン、意識レベル、神経症状の有無(特に頭部打撲の有無)を確認。受傷部位の評価(圧痛、腫脹、皮下出血)。
2. アセスメント:転倒の原因を分析(夜間頻尿? 認知機能低下による見当識障害? 環境の問題? 薬剤の影響?)。
3. 報告:医師へSBAR(Situation: 転倒発生、Background: 認知症あり夜間頻尿、Assessment: 軽度の打撲、Recommendation: 画像検査の指示を仰ぎたい)で報告。
4. 介入最重要! 身体拘束は行わない。環境調整(ベッドの高さを低くする、足元に滑り止めマット、常夜灯の設置、トイレまでの動線確保)、見守り強化(夜間は1〜2時間おきにラウンド、排泄誘導のタイミングを調整)、薬剤師と連携(睡眠薬や利尿薬の内服時間の調整)、本人と家族への説明と同意。
5. 評価:転倒の再発がないか、入所者の活動意欲が回復したかを評価。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 絶対に身体拘束を行わない。転倒後は、大腿骨頸部骨折頭蓋内出血(特に抗凝固薬内服中の場合は要注意)を見逃さない観察が必須。家族への報告と説明を忘れずに。 看護プロトコル: 転倒発生時の観察項目(JCS、瞳孔、バイタルサイン、四肢の動き)、報告基準(意識障害、嘔吐、神経症状出現時は緊急報告)、記録(転倒発生日時、状況、対応、医師への報告内容、指示内容、家族への説明内容)を徹底。 先輩看護師の一言: 「高齢者の転倒予防で一番大事なのは、『動かないようにする』ことではなく、『安全に動ける環境を整え、動く力を維持すること』です。身体拘束は絶対にダメ! その代わり、『なぜこの人は転んだのか?』をしっかりアセスメントして、個別のケアプランを立てましょう。現場では、夜間のトイレ誘導やポータブルトイレの設置が効果的なことも多いですよ!」

重要概念

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