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高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
問題

87歳の女性。認知症で経口摂取が不安定。介護者が「昨日から水分をほとんど飲まず、尿も出ていない」と訪問看護師に相談した。訪問時、体温36.8℃、脈拍96回/分、血圧92/58mmHg。皮膚は乾燥し、腋窩は湿っていない。眼球陥凹を認める。高齢者の脱水症の重症度評価として最も適切な指標はどれか。

解説
高齢者の脱水症の重症度評価では、尿量が最も重要な指標の一つである。尿量が400mL/日未満(乏尿)または100mL/日未満(無尿)は重症脱水を示唆する。尿量は循環血液量の直接的な反映であり、バイタルサインよりも早期に変化が現れる。皮膚所見やバイタルサインも参考になるが、尿量の評価が優先される。
同じテーマの次の問題85歳の女性。施設入居中。本日、発熱と食欲低下を認めた。バイタルサインは体温38.2℃、脈拍98回/分、血圧98/62mmHg、呼吸数22回/分。皮膚のツルゴール低下と口腔粘膜の乾…

詳細解説

核心解説 この問題は、高齢者の脱水症(Dehydration)における重症度評価の指標を問うています。高齢者は生理的な予備能の低下により、脱水が急速に進行しやすいため、最も鋭敏で客観的な指標で評価することが求められます。最重要! 高齢者の脱水評価では、バイタルサインや皮膚所見よりも、尿量(Urine Output)が最も早期かつ正確な指標となります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
高齢者の脱水症では、循環血液量の減少に伴い、まず腎血流量が低下し、尿量が減少します(乏尿:400mL/日未満、無尿:100mL/日未満)。尿量は、体内の水分バランスと腎灌流を直接反映するため、重症度評価のゴールドスタンダードです。本例では「尿が出ていない」という情報が既にあり、重症脱水(Shock状態)を示唆する重要な所見です。バイタルサインは代償機構により正常範囲に保たれることも多く、特に高齢者では血圧低下が出現する頃にはすでに重症化していることが多いため、尿量の評価が優先されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の脈拍数の増加率は、脱水時には代償性頻脈が生じますが、高齢者はβ受容体感受性低下や心疾患の影響で頻脈が出現しにくく、指標としては感度が低いです。
②番の血圧の低下幅は、重症化して初めて顕在化するため、早期発見には不向きです。本例で血圧92/58mmHgと低いのはすでに重症化している可能性を示しますが、初期評価では尿量が優先されます。
③番の体温の上昇度は、脱水時に発熱を伴うことがありますが、感度が低く、非特異的です。
④番の皮膚ツルゴールの回復時間は、高齢者では加齢による皮膚弾性低下の影響を受けやすく、信頼性が低いです。 関連概念の整理 (Related Concepts)
高齢者の脱水評価では、バイタルサイン(Vital Signs)よりも尿量と意識レベルを重視します。また、口腔粘膜の乾燥、眼球陥凹、起立性低血圧も参考所見ですが、いずれも単独では重症度を正確に反映しません。脱水の種類(等張性、高張性、低張性)により血清Na値が鑑別に有用です。 概念整理: 高齢者脱水症の重症度評価では、尿量が最優先指標。乏尿(

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
訪問看護師が87歳女性の自宅を訪問。娘から「昨日からほとんど水分を取らず、今朝から尿が出ていない」と報告。訪問時、意識は清明だが反応が遅い。バイタルサインは血圧92/58mmHg、脈拍96回/分。皮膚は乾燥、眼球陥凹あり。あなたはどのような優先順位でアセスメント・介入を行いますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: まず尿量の有無を確認(カテーテルがあればタイムリーに、なければ最後の排尿時刻と量を家族に確認)。同時に意識レベル(JCS/GCS)を評価。バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、体温、SpO2)を記録。
2. アセスメント: 尿量が乏しい(または無尿)かつ血圧低下がある場合、最重要! 重症脱水またはショック(Shock)を疑い、緊急性が高いと判断。
3. 報告: SBARで医師に報告(S: 状況「87歳女性、認知症、経口摂取不良、尿が出ていない」、B: 背景「昨日から水分摂取不良」、A: アセスメント「重症脱水疑い、乏尿あり」、R: 提案「静脈路確保と輸液、入院の検討を依頼」)。
4. 介入: 医師の指示に基づき、静脈路確保(末梢静脈留置)と輸液(乳酸リンゲル液または生理食塩液)を開始。必要に応じて尿道カテーテル挿入による正確な尿量測定。
5. 評価: 輸液後、尿量が30mL/時間以上に回復するか、血圧が上昇するかを経時的に評価。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
高齢者への急速輸液は心不全(Heart Failure)を誘発するリスクがあるため、輸液速度は慎重に設定(通常は500mL/2時間程度から開始)。また、転倒リスクが高いため、ベッド柵の使用や排泄時の介助を徹底。無尿が続く場合は急性腎障害(AKI)の可能性も考慮。 看護プロトコル: 尿量測定は1時間ごと。血圧測定は15分ごと。意識レベルの変化に注意。家族には「尿量が戻るまでは経口摂取を控え、点滴で水分補給を優先する」と説明。 先輩看護師の一言: 「高齢者では『血圧が下がってからでは遅い』んです。尿量が減ったら、それはもう体がSOSを出しているサイン。迷わず『この人、危ない』と判断して、すぐに医師に報告しましょう!現場では、尿量が一番の命綱ですよ。」
老年看護学 416 問 · ログイン不要

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