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高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
問題

75歳の男性。慢性心不全で利尿薬を服用中。暑い日に外出し、帰宅後から倦怠感とめまいが出現した。体温36.5℃、脈拍88回/分、血圧94/60mmHg。皮膚は乾燥し、口渇を訴えている。血清生化学検査でNa 152mEq/L、K 3.2mEq/L、Cl 108mEq/L。この患者の脱水症の病態として正しいものはどれか。

解説
血清Na 152mEq/Lは高ナトリウム血症であり、高張性脱水を示す。高張性脱水では細胞外液の浸透圧が上昇し、細胞内の水分が細胞外へ移動するため、細胞内液の減少が主体となる。利尿薬服用中の高齢者が発汗により水分を喪失したことで発症したと考えられる。口渇も高張性脱水の特徴である。
同じテーマの次の問題85歳の女性。施設入居中。本日、発熱と食欲低下を認めた。バイタルサインは体温38.2℃、脈拍98回/分、血圧98/62mmHg、呼吸数22回/分。皮膚のツルゴール低下と口腔粘膜の乾…

詳細解説

核心解説 この問題は、脱水症 (Dehydration) の中でも特に 高張性脱水 (Hypertonic Dehydration) の病態生理を理解しているかを問うています。血清ナトリウム値が 152mEq/L (高値) であることから、水分喪失に対してナトリウム喪失が相対的に少ない状態、すなわち 高ナトリウム血症 (Hypernatremia) を伴う脱水であることが診断の鍵です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 脱水症は、喪失する水分と電解質(主にナトリウム)のバランスによって3つに分類されます。最重要! ①高張性脱水:水分喪失 > ナトリウム喪失 → 血清Na > 145mEq/L。②等張性脱水:水分喪失 = ナトリウム喪失 → 血清Na 正常(135-145mEq/L)。③低張性脱水:水分喪失 < ナトリウム喪失 → 血清Na < 135mEq/L。本症例はNa 152mEq/Lであるため、高張性脱水です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 高張性脱水では、細胞外液の浸透圧が上昇します。すると、浸透圧の高い細胞外へ、細胞内から水分が移動します(浸透圧の原理)。その結果、細胞内液 (Intracellular Fluid, ICF) の減少が主体となります。細胞内脱水により、脳細胞が委縮し、口渇感や意識障害(重症例)が出現します。症例の口渇や皮膚乾燥もこの病態と合致します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意! ①番(ナトリウム喪失が水分喪失より多い)は、低張性脱水の説明です。この場合、血清Naは低下します。 混同注意! ③番(カリウム喪失が水分喪失より少ない)は、問題の本質である脱水の型分類とは直接関係ありません。血清K 3.2mEq/L (低値) は、利尿薬によるカリウム喪失を示唆する随伴所見です。 混同注意! ④番(水分とナトリウムが等しく喪失)は、等張性脱水の説明です。 混同注意! ⑤番(細胞外液の減少が主体)は、等張性脱水および低張性脱水で主体となる病態です。高張性脱水では、細胞外液量はある程度保たれるか、やや減少する程度で、主体となるのは細胞内液の減少です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 脱水の3分類(高張性・等張性・低張性)と、それに伴う血清Na値の変化、そして臨床症状(口渇は高張性、浮腫は低張性でみられやすいなど)は、看護師国家試験で頻出の組み合わせです。また、原因となる状況(本例では暑熱環境と利尿薬)と合わせて覚えると、事例問題にも対応できます。 概念整理: 脱水症の3分類と血清Na値
分類血清Na値水分とNaの喪失関係減少の主体となる体液区画
高張性脱水145mEq/L以上水分喪失 > Na喪失細胞内液
等張性脱水135-145mEq/L水分喪失 = Na喪失細胞外液
低張性脱水135mEq/L未満水分喪失 < Na喪失細胞外液
一目で比較!: 混同注意! 「脱水=細胞外液(血管内)が減る」というイメージを持ちがちですが、高張性脱水では細胞内液が主に減少します。口渇感が強いのも、細胞内脱水による視床下部の口渇中枢刺激が原因です。 看護過程ポイント: アセスメント:血清Na値、尿量・尿比重、皮膚ツルゴール、口渇の有無、バイタルサイン(特に血圧)。看護診断体液量不足 (Deficient Fluid Volume)計画・実施:経口摂取が可能であれば水分摂取を促す。重症の高張性脱水では、急激なNa補正による脳浮腫に注意しながら、低張性輸液(5%ブドウ糖液など)を投与します。電解質(特にK)のモニタリングも必須です。 暗記のコツ: 「高Na血症 = 高張性脱水 = 細胞液が減る」と覚えましょう。Naが高い(外が濃い)ので、中(細胞内)の水が外に出ていくイメージです。 国試頻出ポイント: 脱水の3分類と輸液療法の選択は、必修問題および成人看護学で繰り返し出題されます。特に「高齢者では口渇感が鈍麻しているため、高張性脱水に陥りやすい」という点も合わせて覚えておきましょう。 出題パターン注意!: 単純な「高張性脱水の説明はどれか」という知識問題から、本例のように検査値(Na値)と症状を組み合わせた事例問題、さらには「輸液の選択(何を選ぶか)」へと発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは一般病棟で働く看護師です。慢性心不全でフロセミド(ループ利尿薬)を内服中の75歳男性が、夏の暑い日に散歩に出かけ、帰宅後に強い倦怠感と立ちくらみを訴え外来を受診しました。バイタルサインは血圧94/60mmHg(平素は130/70mmHg)、心拍数88回/分、体温36.5℃。皮膚は乾燥し、口渇が強くあります。採血結果でNa 152mEq/L、K 3.2mEq/Lと判明しました。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず、患者さんを安全な場所に臥床させ、転倒を予防します。医師へSBARで報告します(S:75歳男性、利尿薬服用中、暑熱曝露後。B:血圧94/60、脈拍88、Na 152、K 3.2。A:高張性脱水と低カリウム血症を疑う。R:輸液と電解質補正の指示を仰ぎたい)。医師の指示に基づき、5%ブドウ糖液などの低張性輸液を開始し、カリウムを補充します。経過観察では、バイタルサインの安定、尿量の確保(30mL/hr以上)、血清Na値の是正速度(1時間に0.5mEq/L以上の急速補正は脳浮腫のリスク)に注意します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 高齢者の脱水は、せん妄 (Delirium)や転倒のリスクを高めます。また、心不全患者への輸液は、過剰投与により心不全を増悪させる可能性があるため、慎重な輸液管理と体重モニタリングが必要です。低カリウム血症は不整脈 (Arrhythmia)を誘発するため、心電図モニターの準備も検討します。 看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、SpO2)、意識レベル(JCS/GCS)、尿量・尿比重、体重、血清電解質(Na, K, Cl, BUN/Cre)、口渇・皮膚ツルゴール。報告基準(SBAR):特に血圧低下、意識障害の出現、尿量減少(

重要概念

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