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高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
問題

80歳の女性。誤嚥性肺炎で入院中。抗菌薬と利尿薬の投与を受けている。3日目に体重が2kg減少し、皮膚ツルゴール低下と眼窩陥凹を認めた。バイタルサインは体温37.0℃、脈拍100回/分、血圧80/50mmHg。高齢者の脱水症の予防・早期発見に関する看護師のアセスメントで最も重要な観察項目はどれか。

解説
高齢者の脱水症の早期発見には体重測定が最も簡便で有用である。急激な体重減少(1日0.5kg以上の減少)は水分喪失を反映する。特に利尿薬使用中や発熱時は毎日の体重測定が推奨される。他の選択肢も重要だが、脱水の直接的な指標としては体重測定が優先される。
同じテーマの次の問題85歳の女性。施設入居中。本日、発熱と食欲低下を認めた。バイタルサインは体温38.2℃、脈拍98回/分、血圧98/62mmHg、呼吸数22回/分。皮膚のツルゴール低下と口腔粘膜の乾…

詳細解説

核心解説 この問題は、高齢者の脱水症 (Dehydration in the Elderly) の予防と早期発見において、看護師が最優先でアセスメントすべき観察項目を問うています。特に、誤嚥性肺炎 (Aspiration Pneumonia) による発熱・呼吸状態の悪化に加え、利尿薬 (Diuretic) の投与中であるというハイリスク状況がポイントです。

1. 核心概念の分析 (Key Concept)
本例では、体重が3日間で2kg減少しており、これは約2,000mlの体液喪失に相当します。高齢者は混同注意!若年者と比較して体内水分量が少なく、腎機能が低下しているため、脱水が急速に進行しやすいです。皮膚ツルゴール低下や眼窩陥凹は脱水の兆候ですが、これらは既に出現している後発的サインです。予防・早期発見には、より鋭敏な指標である体重測定が最も重要です。

2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は「1日3回の体重測定」です。体重は体液量の変動を最も正確かつ簡便に反映します。特に、最重要!短時間(24時間以内)での0.5kg以上の体重減少は、500mlの水分喪失を意味し、脱水の重大な警告サインです。本例のように利尿薬使用中や発熱時は、日々の体重変動を丁寧に追跡することで、皮膚症状が現れる前の早期発見が可能になります。

3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
- 混同注意!②番の胸部X線撮影は、肺炎の経過観察や心不全の評価には有用ですが、脱水の直接的な指標ではありません。
- ③番の心電図検査は、不整脈や心筋虚血の評価に用いられ、脱水による電解質異常(特に低K血症)を疑う際に実施されますが、毎日ルーチンで行う検査としては過剰であり、体重測定ほどの早期発見感度はありません。
- ④番の血清カリウム値測定は、利尿薬の副作用である低K血症のモニタリングとして重要ですが、脱水そのものの指標ではありません。脱水のスクリーニングとしては、血清Na値やBUN/Cr比の方が優先されます。
- ⑤番の尿糖測定は、糖尿病のコントロール評価には有用ですが、本例の文脈では脱水との直接的な関連は薄いです。

4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
高齢者の脱水アセスメントでは、体重測定に加えて、口渇感の有無(高齢者は口渇を感じにくい!)、尿量・尿比重、バイタルサイン(起立性低血圧)、血清Na・BUN値などを総合的に評価します。また、体液過剰(浮腫、肺水音)と体液不足(脱水)の鑑別も重要です。本例では利尿薬投与中であるため、脱水と同時に低K血症や腎機能障害にも注意が必要です。

概念整理: 高齢者の脱水予防・早期発見には、簡便で鋭敏な「体重測定」が最優先。急激な体重減少(1日0.5kg以上)は即座に報告・介入が必要なサインです。皮膚ツルゴール低下や粘膜乾燥は遅れて現れる兆候です。
一目で比較!:
指標早期発見感度特徴
体重測定高い簡便で正確、体液喪失量を定量評価可能
皮膚ツルゴール低い高齢者では加齢変化と区別が難しく、出現時は脱水が進行している
口渇感極めて低い高齢者は口渇中枢が低下し、感じにくい
血清Na中程度血液検査で確認できるが、ルーチンでは毎日行わない

看護過程ポイント: アセスメント(体重減少2kg/3日 = 脱水進行中)→ 看護診断(体液量不足リスク状態)→ 計画(毎日の体重測定、正確なI/Oバランス記録、医師への報告基準の設定)→ 実施(体重測定、補液量の確認、必要に応じた経口摂取の促し)→ 評価(体重増加の確認、バイタルサインの安定)。
暗記のコツ: 「体重1kg = 水分1L」と覚えましょう。体重が1kg減ったら、体内から約1Lの水分が失われたと考えます。この関係を頭に入れておくと、脱水の重症度を素早くアセスメントできます。
国試頻出ポイント: 高齢者の脱水は頻出テーマです。「利尿薬使用中」「発熱時」「経口摂取不良時」などのリスク因子と、「体重測定」が最も有用な観察項目であることをセットで覚えてください。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「脱水の早期発見に最も有用なのは体重測定である」という形式だけでなく、事例問題で「この患者さんにとって最優先の観察項目はどれか」という形で出題されます。患者背景(年齢、疾患、使用薬剤)をしっかり読み取ることが重要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳女性、誤嚥性肺炎で入院3日目。朝の申し送りで「昨夜から尿量が少ない」と報告がありました。担当看護師として受け持ち患者の電子カルテを確認すると、昨日の体重が入院時から1.5kg減少していました。患者は「口が渇く」と訴えていますが、食事はほとんど摂取できていません。あなたはどのようにアセスメントし、行動しますか?

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要!まずバイタルサイン(血圧・脈拍・体温)とSpO2を確認。血圧低下(80/50mmHg)と頻脈(100回/分)は脱水による循環血液量減少のサインです。直ちに医師へSBAR報告(状況:体重減少2kg/3日、血圧低下、尿量減少、背景:利尿薬使用中、評価:脱水進行の疑い、推奨:補液の指示と体重測定の頻度増加)を行います。同時に、患者の安全を確保し、転倒予防のためベッド周囲の環境を整えます。経口摂取が困難であれば、指示された点滴ルートの確保・流量確認を行います。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
高齢者の脱水は、せん妄(Delirium)や転倒・転落、深部静脈血栓症(DVT)、腎機能悪化、褥瘡発生リスクを高めます。特に、利尿薬投与中は急激な脱水が起こりやすいため、体重測定は毎日必ず実施し、変化があれば即座に記録・報告します。また、低K血症による不整脈にも注意が必要です。患者の口渇感を軽減するために、少量の水分を頻回に提供するなど、安全な経口摂取を促すことも看護師の役割です。

看護プロトコル: 観察項目(体重、I/Oバランス、バイタルサイン、皮膚ツルゴール、口渇感、尿量・尿色)、報告基準(体重1日0.5kg以上減少、収縮期血圧90mmHg以下、尿量400ml/日以下)、記録のポイント(体重測定値と時間、補液量・尿量の正確な記録、患者の訴え)、家族への説明の留意点(脱水予防の重要性、体重測定の意味、経口摂取の協力依頼)。
先輩看護師の一言: 「高齢者の脱水は、サイレントキラー(静かな殺し屋)と呼ばれるほど、気づかないうちに進行します。『体重が昨日より500g減った』という数字の変化を見逃さないでください。それが患者さんの命を守る第一歩です。国試でも『体重測定の重要性』は必ず押さえておきましょう!」

重要概念

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