こんな問題があと800問挑戦 ›
運動機能障害のある患者の看護
脊髄損傷患者で、損傷レベルが第6胸椎 (Th6) より上位の場合に特に注意すべき自律神経過反射の誘因となるのはどれか。
-
1
膀胱の過伸展
✓ 正解
-
2
体位をファウラー位にすること
-
3
経管栄養の注入速度上昇
-
4
上肢の他動的運動
-
5
深呼吸
解説
自律神経過反射は、損傷レベル以下の刺激(膀胱充満、便貯留、褥瘡など)が誘因となり、急激な高血圧や頭痛を引き起こす。Th6 より上位の脊髄損傷で生じやすく、膀胱の過伸展は代表的な誘因である。
同じテーマの次の問題運動機能障害のある患者の看護において、筋萎縮の進行を予防するために最も重要な看護介入はどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、脊髄損傷 (Spinal Cord Injury, SCI) 患者における 自律神経過反射 (Autonomic Dysreflexia) の誘因を問うています。特に 最重要! 損傷レベルが 第6胸椎 (Th6) より上位 の場合、この危険な症候群を発症するリスクが非常に高まります。
1. **核心概念の分析 (Key Concept)**: 自律神経過反射 (Autonomic Dysreflexia) は、損傷レベル(Th6 より上位)以下の感覚神経が、膀胱充満や便貯留などの侵害刺激を受け、脊髄を介した反射が遮断・亢進することで生じます。結果、交感神経系が過剰に興奮し、損傷レベル以下の血管が収縮、急激な血圧上昇を引き起こします。これは 緊急対応を要する危険状態 (Critical Condition) です。
2. **正解の根拠 (Answer Rationale)**: 選択肢① 膀胱の過伸展 (Bladder Overdistention) が最も代表的な誘因です。尿意を感じられないため、膀胱が過度に充満し、その刺激が自律神経過反射の引き金となります。導尿の閉塞や、水分摂取量の増加、留置カテーテルのバルーンによる刺激も同様のリスクがあります。
3. **誤答の分析 (Distractor Analysis)**:
- 混同注意! ②番の体位変換(ファウラー位)は、むしろ呼吸状態の改善や循環動態の安定を目的に行うケアであり、自律神経過反射の直接的な誘因とはなりません。
- ③番の経管栄養注入速度上昇は、誤嚥性肺炎 (Aspiration Pneumonia) や 下痢 (Diarrhea) のリスクにはなりますが、自律神経過反射の主要な誘因ではありません。
- ④番の上肢の他動的運動は、損傷レベルより上(感覚が保たれている部位)への刺激であり、自律神経過反射の誘因とはなりません。
- ⑤番の深呼吸は、迷走神経反射 (Vagal Reflex) を促進し、むしろ血圧を下げる方向に働くため、逆の作用です。
4. **関連概念の整理 (Related Concepts)**: 自律神経過反射の誘因は、膀胱・直腸の伸展が最も頻出ですが、皮膚刺激(褥瘡、巻き爪、きつい衣類)や、疼痛刺激(骨折、感染症)も重要です。発症時の主訴は 拍動性頭痛 (Pulsating Headache)、発汗、顔面紅潮で、血圧は 収縮期血圧が急激に20~40mmHg以上上昇 します。
概念整理: 自律神経過反射 (Autonomic Dysreflexia) は、Th6 より上位の脊髄損傷患者に特有の、交感神経系の過剰な反射による 高血圧発作 (Hypertensive Crisis) です。損傷レベル以下の侵害刺激(膀胱充満、便貯留、褥瘡など)が主な誘因となります。
一目で比較!: | 病態 | 誘因 | 症状 | 対応 |
|---|
| 自律神経過反射 | 膀胱/直腸充満 | 急激な高血圧・頭痛 | ボールを抜く/座位保持 |
| 起立性低血圧 | 急な体位変換 | めまい・眼前暗黒感 | ゆっくり体位変換 |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 損傷レベル(Th6 より上位か)と、排尿・排便状態、皮膚の観察。
- 看護診断: 「自律神経過反射のリスク状態 (Risk for Autonomic Dysreflexia)」
- 計画/実施: 膀胱内の尿量確認、導尿、直腸内の便摘出。頭部挙上と急な血圧上昇への対応準備。
- 評価: 血圧の安定、症状(頭痛、発汗)の消失。
暗記のコツ: 「Th6 より上は、自律神経過反射の『高血圧発作』に注意!下からの刺激が、上で爆発(高血圧)するイメージ。」
国試頻出ポイント: 「誘因を選ばせる問題」と「対応(まずは刺激の除去、具体的にはボールを抜く、座位にするなど)」の組み合わせで頻出。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「Th6 損傷患者が頭痛と高血圧を訴えた」という状況設定問題で、最初に行うべき看護介入を問う形に発展します。
臨床実践ガイド- 1臨床シナリオ (Clinical Scenario)30代男性、C5完全損傷(四肢麻痺)の患者さん。リハビリテーション病棟で過ごしています。午後、患者さんが突然「頭がガンガンする!」と強い頭痛を訴えました。バイタルサインを測定すると、血圧が 180/110 mmHg、脈拍は 50回/分と徐脈を示しています。
- 2看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)最重要! まず 急激な高血圧を確認 し、自律神経過反射を疑います。直ちに患者さんの頭部を挙上し(血圧降下目的)、きつい衣類やベルトを緩めます。次に誘因の除去として、膀胱の過伸展を疑い、留置カテーテルの開通性とバルーンの位置を確認します。閉塞があれば、滅菌手技で膀胱洗浄またはカテーテル交換を行います。それでも改善しない場合は、直腸内の便の有無を確認し、摘便を行います。これらの介入後も血圧が高い場合は、医師の指示のもと降圧薬(ニフェジピンなど)の投与を検討します。
- 3患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)この状態は脳出血やくも膜下出血のリスクがあり、緊急対応が必要です。 観察と介入は同時進行で行い、必ず医師に報告(SBAR: Situation/Background/Assessment/Recommendation)してください。急激な降圧は臓器虚血を招くため、医師の指示なく自己判断で降圧薬を投与しないでください。
看護プロトコル:
- 観察項目: 血圧(両腕)、脈拍、SpO2、顔面の紅潮・発汗の有無、瞳孔、膀胱充満の有無(触診や膀胱スキャン)。
- 報告基準(SBAR): S「血圧が急上昇、頭痛あり」、B「Th6 より上位の脊髄損傷」、A「自律神経過反射を疑う」、R「膀胱・直腸の確認と、降圧薬の指示が必要」
- 記録: 発症時刻、血圧値、脈拍、誘因となった刺激(膀胱尿量、直腸便量)、介入内容と患者の反応。
先輩看護師の一言: 「脊髄損傷の患者さんが『頭が痛い』と言ったら、まず血圧を測って!それが自律神経過反射かどうかを判断する第一歩。このサインを見逃すと、患者さんに重大な結果を招く可能性がある。だからこそ、知識を持って迅速に行動できる看護師を目指してね!」
- 脊髄損傷 (Spinal Cord Injury) — 脊髄の損傷により、損傷レベル以下の運動・感覚・自律神経機能が障害される状態。原因は外傷(交通外傷、転落など)が最も多い。
- 自律神経過反射 (Autonomic Dysreflexia) — Th6 より上位の脊髄損傷患者に生じる、損傷レベル以下の侵害刺激による交感神経系の過剰反射。急激な高血圧と徐脈、拍動性頭痛を特徴とする。
- 侵害刺激 (Noxious Stimulus) — 組織に損傷を与える可能性のある刺激。膀胱の過伸展や直腸の便貯留、褥瘡、感染などが該当する。
- 高血圧発作 (Hypertensive Crisis) — 収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が120mmHg以上に達する緊急を要する状態。臓器障害のリスクがある。
- 膀胱の過伸展 (Bladder Overdistention) — 尿が膀胱内に過度に貯留し、膀胱壁が伸展した状態。自律神経過反射の最も一般的な誘因の一つ。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。