核心解説
この問題は、
脱水 (Dehydration) の分類と、
電解質異常 (Electrolyte Imbalance) を同時に評価する、病態生理の統合的理解を問うています。ポイントは、血清ナトリウム値から脱水の種類を判断し、血清カリウム値から電解質異常を判断することです。
正解の根拠 (Answer Rationale):
患者のデータは以下の通りです。
-
血清Na値: 148mEq/L →
高ナトリウム血症 (Hypernatremia)(正常値: 136-145mEq/L)。これは、水分喪失がナトリウム喪失を上回った状態、すなわち
高張性脱水 (Hypertonic Dehydration) を示します。
-
血清K値: 3.2mEq/L →
低カリウム血症 (Hypokalemia)(正常値: 3.5-5.0mEq/L)。
- 臨床症状:下痢による消化管からの水分・電解質喪失、倦怠感(低Kの症状)、口渇(高張性脱水の症状)が合致します。
したがって、「
高張性脱水と低カリウム血症」が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①
混同注意! Na値148は高ナトリウム血症なので、高張性脱水は正しいですが、K値3.2は低カリウム血症です。高カリウム血症ではありません。下痢ではKが失われるため、むしろ低Kになりやすいです。
- ③ Na値148は高張性脱水であり、等張性脱水(Na正常)ではありません。また、K値は低値です。
- ④ Na値148は高張性脱水であり、低張性脱水(Na低値)ではありません。低カリウム血症の部分は正しいです。
- ⑤ Na値148は高ナトリウム血症であり、低ナトリウム血症ではありません。また、脱水の種類も誤りです。
関連概念の整理 (Related Concepts):
脱水の分類は、血清Na濃度で以下の3つに分かれます。
| 分類 | 血清Na | 原因(例) |
|---|
| 高張性脱水 | 上昇 | 発熱、糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)、尿崩症、水分摂取不足 |
| 等張性脱水 | 正常 | 出血、嘔吐・下痢(電解質と水分が等しく喪失した場合) |
| 低張性脱水 | 低下 | 利尿薬の過剰使用、副腎不全、発汗後の水分のみの補給 |
また、下痢ではKの喪失に加え、
重炭酸イオン (HCO3-) も失われるため、
混同注意! 代謝性アシドーシス (Metabolic Acidosis) を合併することも多いです。
概念整理: 血清Na値は細胞外液の浸透圧を反映し、脱水の種類を分類する鍵。血清K値は細胞内外のバランスと消化管喪失の影響を受ける。下痢はNaとKの両方を失うが、水分喪失の程度によってNa値が上昇することがある。
一目で比較!:
高張性脱水 vs 低張性脱水:高張性は細胞内脱水(口渇が強く、細胞が縮む)、低張性は細胞内浮腫(脳浮腫による意識障害リスク)。症状と治療(輸液の種類)が全く異なる。
看護過程ポイント:
アセスメント:バイタルサイン(血圧低下、脈拍増加)、皮膚ツルゴール、体重変化、口渇の有無、尿量・尿比重。
看護診断:「体液量不足リスク状態 (Risk for Deficient Fluid Volume)」または「体液量不足 (Deficient Fluid Volume)」。
介入:経口摂取が可能なら経口補水液 (ORS) の勧め。静脈内輸液は医師の指示に基づき、高張性脱水には
5%ブドウ糖液 や低張性輸液が選択される。
暗記のコツ: 「Na高けりゃ高張性!Na低けりゃ低張性!正常なら等張性!」と覚えましょう。そして「下痢のKは下がる(Down)!」と語呂合わせで覚えると、Kの動きを間違えにくいです。
国試頻出ポイント: 血清Na値と脱水の分類の組み合わせは超頻出。検査値の数値と症状(口渇、倦怠感、意識レベルなど)を結びつけて、正しい病態を選ばせる問題がよく出ます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題だけでなく、「この患者に最初に投与すべき輸液はどれか」という状況設定問題に発展します。高張性脱水には低張性輸液(例:5%ブドウ糖液+維持液)、低張性脱水には生理食塩液を選択する、という治療の優先順位も合わせて学習しましょう。