70歳男性。肺炎で入院中。呼吸数28/分、SpO2 94%(酸素2L/分投与下)。血液ガス分析でpH 7.32、PaCO… | MyMerci
内部環境(体温、血糖、体液量、電解質、酸塩基平衡)調節機能障害のある患者の看護
問題

70歳男性。肺炎で入院中。呼吸数28/分、SpO2 94%(酸素2L/分投与下)。血液ガス分析でpH 7.32、PaCO2 50mmHg、PaO2 70mmHg、HCO3- 24mEq/L。この患者の酸塩基平衡状態はどれか。

解説
pH 7.32はアシドーシスを示す。PaCO2が50mmHgと上昇しており、HCO3-は正常範囲である。PaCO2上昇によるアシドーシスであり、呼吸性アシドーシスと診断される。肺炎による換気障害が原因と考えられる。

詳細解説

核心解説 この問題は、血液ガス分析(Blood Gas Analysis, BGA)を用いた酸塩基平衡障害(Acid-Base Balance Disorder)の基本的な読み取りを問うています。最重要! 酸塩基平衡のアセスメントは、呼吸状態と代謝状態を評価する上で必須の看護技術です。 本問では、pH 7.32(基準値:7.35-7.45)で、明らかなアシドーシス(Acidosis)を示しています。次に原因を探るため、PaCO2(呼吸性因子)とHCO3-(代謝性因子)を確認します。
正解の根拠 (Answer Rationale): PaCO2が 50mmHg(基準値:35-45mmHg)と上昇しているため、これは呼吸性アシドーシス(Respiratory Acidosis)です。HCO3-が 24mEq/L(基準値:22-26mEq/L)と正常範囲であることから、代謝性の代償はまだ認められず、純粋な呼吸性アシドーシスと判断できます。原因として、肺炎による換気障害(Ventilatory Impairment)で二酸化炭素(CO2)が十分に排出されていない状態が考えられます。
誤答の分析 (Distractor Analysis): ①番はHCO3-が正常であるため誤り。②番はpHがアルカリ側ではないため誤り。③番はPaCO2が上昇(アルカローシスなら低下)しているため誤り。④番はHCO3-が正常であるため、呼吸性単独と判断します。混同注意! 混合性アシドーシスは、呼吸性と代謝性の両方の因子が同時にアシドーシス方向に働いている状態(例:呼吸性アシドーシス + 代謝性アシドーシス)で、このデータでは該当しません。
関連概念の整理 (Related Concepts): 酸塩基平衡の読み取り手順として、(1) pHでアシドーシスかアルカローシスか判定、(2) PaCO2とHCO3-のどちらが異常かを確認、(3) 異常側が原発性障害、正常側は代償反応の有無を評価するというフローを必ず押さえましょう。代償が起こると、HCO3-が上昇してpHを正常に戻そうとします(代償性呼吸性アシドーシス)。
概念整理: 酸塩基平衡障害の基本分類
障害の種類pHPaCO2HCO3-
呼吸性アシドーシス低下上昇正常(または代償で上昇)
呼吸性アルカローシス上昇低下正常(または代償で低下)
代謝性アシドーシス低下正常(または代償で低下)低下
代謝性アルカローシス上昇正常(または代償で上昇)上昇

一目で比較!: 呼吸性アシドーシス vs 代謝性アシドーシス - 呼吸性はPaCO2が原因、代謝性はHCO3-が原因。どちらもpH低下が共通だが、異常値が異なる点が鑑別の鍵。
看護過程ポイント: アセスメントとして、呼吸性アシドーシスの患者では、原因となる換気低下(無気肺、肺炎、COPD増悪、鎮静薬の過剰投与など)を評価します。観察項目として、呼吸数・呼吸パターン(浅速呼吸か低換気か)、意識レベル(CO2ナルコーシスのリスク)、SpO2、咳嗽・排痰の状態を確認。看護介入として、体位ドレナージや効果的な咳嗽の促し、必要に応じて吸引や酸素療法の調整を医師と連携して行います。
暗記のコツ: 「ROME」法で覚えましょう!Respiratory Opposite / Metabolic Equal. 呼吸性(Respiratory)はpHとPaCO2が反対(Opposite)方向(pH低下ならPaCO2上昇)。代謝性(Metabolic)はpHとHCO3-が同じ(Equal)方向(pH低下ならHCO3-低下)。
国試頻出ポイント: 血液ガス分析の読影は必修問題・状況設定問題を問わず毎年出題されます。単純な数値読影に加えて、「代償が起こっているか」「急性期か慢性期か」「原因疾患は何か」を問う問題が増えています。
出題パターン注意!: 例えば、「COPD患者の増悪時にみられる酸塩基平衡異常は?」→呼吸性アシドーシス。「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)でみられるのは?」→代謝性アシドーシス。このように、代表的な疾患と結びつけて学習しましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは呼吸器内科病棟で働く看護師です。70歳の男性患者さん( COPDの既往あり)が肺炎で入院しました。夜勤帯に、患者さんから「息が苦しい」と訴えがあり、呼吸数が30回/分、SpO2が88%(酸素3L/分 鼻カニューラ投与下)まで低下していました。直ちに血液ガス分析をオーダーし、結果が返ってきました(pH 7.30, PaCO2 55mmHg, PaO2 55mmHg, HCO3- 26mEq/L)。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! このデータは急性呼吸性アシドーシス(Acute Respiratory Acidosis)です。まず、患者さんの状態を評価します。意識レベルはどうか(CO2ナルコーシスで傾眠傾向がないか)、呼吸補助筋の使用やチアノーゼはないか、気道分泌物の貯留はないかを確認します。直ちに医師へ報告し(SBAR:Situation「呼吸状態悪化」、Background「肺炎+COPD」、Assessment「呼吸性アシドーシス」、Recommendation「酸素投与量の増量またはNPPVの検討」)、指示に基づき酸素投与量の調整や非侵襲的陽圧換気(NPPV)の準備を行います。併せて、痰の吸引や体位変換(ファウラー位またはセミファウラー位)で換気を促進します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 注意! COPD患者では、高二酸化炭素血症(Hypercapnia)が長期間続くと、呼吸中枢のCO2に対する感受性が低下している場合があります。そのため、高濃度酸素を急に投与すると、末梢化学受容体(低酸素刺激)への刺激が減り、呼吸抑制を引き起こす可能性があります(酸素誘発性高二酸化炭素血症)。酸素投与量は医師の指示を遵守し、SpO2を90%以上に保つよう調整します。また、鎮静薬の投与は換気をさらに悪化させるため、原則禁忌です。
看護プロトコル: 血液ガス分析の報告基準(SBAR)に加え、経時的なバイタルサイン(呼吸数、SpO2、血圧、脈拍)と意識レベル(JCS/GCS)の変化を必ず記録します。酸素投与量の変更やNPPV開始後の効果判定(30分後や1時間後)も観察・記録します。
先輩看護師の一言: 「血液ガスは患者さんの呼吸状態を数値で示してくれる命綱です!数値をただ覚えるのではなく、pHが異常だと体の中で何が起きているのか、患者さんにどんな症状が現れるのかをイメージしながら学習すると、国試でも現場でも強い看護師になれますよ。特にこの患者さんはCOPDのベースがあるので、酸素投与の際は慎重に、というのが鉄則です!」

重要概念

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