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診療に伴う技術
観血的動脈圧モニタリング中に、圧波形が減衰(ダンピング)している所見がみられた。看護師の対応として適切なのはどれか。
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1
患者の体位をトレンデレンブルグ位にする
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2
輸液ポンプの流量を増加する
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3
カテーテル内の血栓や空気の有無を確認する
✓ 正解
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4
血圧測定を非観血式に変更する
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5
すぐにカテーテルを抜去する
解説
観血的動脈圧波形の減衰(ダンピング)は、カテーテル内の血栓、空気混入、キンク(屈曲)などが原因で発生する。まずはカテーテルと回路内の状態を確認し、フラッシュや吸引などで原因を取り除く。抜去は最終手段であり、まず原因の除去を試みる。
同じテーマの次の問題成人の橈骨動脈での脈拍測定において、正しい方法はどれか。この問題が収録された問題集看護師の基本となる基礎看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、観血的動脈圧モニタリング (Invasive Arterial Blood Pressure Monitoring) における波形トラブルの原因特定と看護対応を問うています。圧波形が減衰(ダンピング)するとは、本来の鋭い波形がなだらかになり、最高血圧が低く、最低血圧が高く評価される状態で、正確な血圧測定ができなくなります。ダンピングの主な原因は、カテーテル先端の血栓形成、回路内への空気混入、カテーテルや三方活栓のキンク(屈曲)、またはフラッシュバッグの加圧不足などです。看護師の第一対応は、回路全体の視診とフラッシュ操作による原因除去です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ③番:カテーテル内の血栓や空気の有無を確認する が正解です。ダンピングが発生したら、まずカテーテルと接続回路を目視で確認し、血液の逆流や気泡の有無、チューブの折れ曲がりをチェックします。その後、高圧フラッシュシステムを用いてカテーテルをフラッシュし、血栓や空気を除去します。これにより波形が正常に戻れば、それ以上の侵襲的処置は不要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番:トレンデレンブルグ位(頭低位) は、主に 混同注意! 静脈還流を増加させる体位であり、観血的動脈圧波形のダンピング改善には無関係です。②番:輸液ポンプの流量増加は、動脈ラインに接続された加圧フラッシュシステムとは別管理であり、流量変更でダンピングが改善することはありません。④番:非観血式への変更は、観血的モニタリングの利点(リアルタイム連続測定)を放棄することになるため、原因除去を試みる前に行うべきではありません。 ⑤番:カテーテル抜去は 最終手段 です。フラッシュや吸引で改善しない場合、またはカテーテル先端に大きな血栓が確認され末梢循環障害のリスクがある場合に医師が判断します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ダンピングと対比されるのは、波形の オーバーシュート (OverShoot) です。これは主にカテーテルが細すぎる、またはチューブが長すぎることで生じる共振現象で、最高血圧が実際より高く表示されます。また、観血的動脈圧の波形は、心拍出量 (Cardiac Output) や末梢血管抵抗 (Systemic Vascular Resistance) の変化を反映するため、波形の変化とともにバイタルサイン全体を評価することが重要です。
概念整理: 観血的動脈圧 (Invasive Arterial Pressure) は リアルタイムで血圧を連続測定 できるが、波形の質を常に評価する必要がある。ダンピングは波形の信頼性低下を示す。
一目で比較!: | 現象 | 波形の特徴 | 主な原因 |
|---|
| ダンピング (減衰) | なだらかで振幅が小さい | 血栓、空気、キンク |
| オーバーシュート (共振) | 鋭く尖った波形 | カテーテルが細い、チューブが長い |
看護過程ポイント: アセスメント:波形の形状と同時に、血圧値と患者の臨床症状(意識レベル、尿量、末梢冷感)を照合する。介入:フラッシュ操作後も改善しない場合は、医師に報告しカテーテル位置の調整や交換を検討する。評価:フラッシュ後に正常波形に復帰したか、患者の血圧が正確に測定できているかを確認する。
暗記のコツ: 「ダンピング(減衰)=回路の詰まり」と覚えましょう。「ダンプ(damp)=湿る、弱まる」という意味。回路内の何か(血栓や空気)が圧の伝達を弱めているイメージです。
国試頻出ポイント: 観血的動脈圧モニタリングのトラブルシューティングは、High Yield です。ダンピングが起こったときの対応(フラッシュ、吸引)と禁忌事項(絶対にカテーテルから採血しないなど)をセットで覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 「観血的動脈圧波形が減衰した場合の看護師の対応」という直接的な知識問題に加え、「ICUでショック患者の血圧が突然低下した。波形を見るとダンピングがみられる。まず何をするか」といった状況設定問題でも出題されます。波形の変化と患者の状態を総合的に判断する力が求められます。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)70歳男性、敗血症性ショック (Septic Shock) でICU管理中。右橈骨動脈に観血的動脈圧ラインが留置されています。夜勤帯、モニターの動脈圧波形が突然なだらかになり、収縮期血圧が110mmHgから85mmHgに低下しました。しかし、非観血式血圧(カフ)では110mmHgと表示されています。患者の意識は清明で、末梢も温かい状態です。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)まず、最重要! 波形の質を確認します。カテーテル挿入部のドレッシングをはがして、カテーテル内に血液の逆流(血栓)がないか、三方活栓の位置やチューブのキンクがないかを視診します。次に、加圧フラッシュバッグ(300mmHgに加圧されているか確認)を用いて フラッシュ操作 を行います。フラッシュ後、波形が正常なdicrotic notch(重複切痕)を伴った鋭い波形に戻れば、原因は血栓や気泡であったと判断できます。もし改善しない場合は、医師に「SBAR」で報告します(S:ダンピング波形あり、B:敗血症性ショックで管理中、A:フラッシュ後も改善なし、R:カテーテルの交換または抜去の指示を仰ぐ)。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)禁忌:動脈ラインからの採血(フラッシュ液による希釈や血栓剥離のリスク)、空気塞栓防止のため、回路内に気泡が入らないように慎重に操作する。また、フラッシュの際は、生理食塩水を使用し、決して薬液でフラッシュしない。末梢循環(手指の色、温度、感覚)を定期的に観察し、虚血徴候(蒼白、冷感、疼痛)がないか確認します。
看護プロトコル: 観血的動脈圧ラインの管理では、1時間ごとの波形評価とフラッシュシステムの作動確認が基本です。波形変化に気づいたら、患者の全身状態(意識、尿量、末梢循環)と非観血的血圧値を必ず照合し、アセスメントの精度を高めます。記録には「動脈圧波形ダンピング認めたためフラッシュ実施。フラッシュ後波形正常化。血圧値に乖離なし」と具体的に記載します。
先輩看護師の一言: 「観血的動脈圧はとても便利なモニターですが、『波形の質』を常に疑う目を持つことが大切です!ダンピングに気づかずに、間違った低い血圧値を見て昇圧薬を増量してしまうと、患者さんに大きな harm を与えることになります。『波形がおかしい』という感覚を研ぎ澄ませて、まずは回路をチェック!これがICU看護の基本です!」
- 観血的動脈圧モニタリング (Invasive Arterial Blood Pressure Monitoring) — 動脈にカテーテルを留置し、リアルタイムで血圧を連続測定する方法。ショック管理や手術中に用いられる。
- ダンピング (Damping / Attenuation) — 圧波形が減衰し、なだらかになる現象。正確な血圧測定ができなくなる。原因は血栓、空気、キンクなど。
- フラッシュシステム (Flush System) — カテーテル内の血栓を防ぎ、波形を維持するために生理食塩水を持続的に微量注入する加圧システム。
- オーバーシュート (OverShoot / Resonance) — 圧波形が過大に増幅され、鋭く尖った波形になる現象。カテーテルとチューブの共振が原因。
- 重複切痕 (Dicrotic Notch) — 動脈圧波形の下降脚にみられる小さな切れ込み。大動脈弁閉鎖を示し、波形が正常である指標の一つ。
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