パルスオキシメータで測定される SpO2 の値が信頼できない要因として適切でないのはどれか。 | MyMerci
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問題

パルスオキシメータで測定される SpO2 の値が信頼できない要因として適切でないのはどれか。

解説
パルスオキシメータは動脈血中の酸素飽和度を測定するもので、貧血は酸素運搬能は低下するが、酸素飽和度自体は影響を受けないため SpO2 値は信頼できる。末梢循環不全、爪のマニキュア、メトヘモグロビン血症、一酸化炭素中毒(COHb)は誤差や測定不能の原因となる。

詳細解説

核心解説 この問題は、パルスオキシメータ (Pulse Oximeter) の測定原理と、測定値である SpO2 (経皮的酸素飽和度) の信頼性に影響を与える要因を理解しているかを問うています。
パルスオキシメータは、指尖などの末梢組織を透過する赤色光と赤外光の吸光度の差を利用し、酸素化ヘモグロビン (Oxyhemoglobin, HbO2) と還元ヘモグロビン (Deoxyhemoglobin, HHb) の比率を算出します。この原理を理解すれば、どの要因が誤差を生むかが明確になります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ③番の貧血 (Anemia)は、血液中のヘモグロビン (Hemoglobin, Hb) の絶対量が減少した状態ですが、酸素飽和度そのもの(酸素化Hbの割合)は正常であることがほとんどです。パルスオキシメータは「酸素を運べるHbの割合」を測るため、貧血ではSpO2値は正常範囲を示すため、信頼性に影響を与えません。貧血による組織低酸素は酸素運搬能の低下が原因であり、酸素飽和度の低下ではありません。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
末梢循環不全 (Peripheral Circulatory Failure): ショックなどで末梢血流が低下すると、パルスオキシメータが拍動性の血流(脈波)を検出できなくなり、波形が不安定になったり、測定不能になります。SpO2値が信頼できなくなる代表的な要因です。
メトヘモグロビン血症 (Methemoglobinemia): メトヘモグロビン (MetHb) は酸素と結合できず、かつ赤色光と赤外光をほぼ同程度に吸収するため、パルスオキシメータの測定値が85%前後に固定される特徴があります。明らかな誤差要因です。
爪にマニキュアを塗布している: 特に青色や黒色などの濃い色のマニキュアは、光を吸収し、センサーの発光部と受光部の間で減衰を起こし、正しい測定を妨げます。信頼性低下の要因です。
一酸化炭素中毒 (Carbon Monoxide Poisoning): 一酸化炭素ヘモグロビン (COHb) は酸素化ヘモグロビンとほぼ同じ波長の光を吸収するため、パルスオキシメータはCOHbを酸素化Hbと誤認識し、実際の酸素飽和度よりも高値を示します(偽正常化)。絶対に信頼できない状況です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
パルスオキシメータの原理と誤差要因を整理すると、以下のようになります。
測定対象影響する要因影響しない要因
酸素化Hbと還元Hbの比率末梢循環不全、メトHb、COHb、マニキュア、強い外光、体動貧血(Hb濃度低下)、多血症(Hb濃度上昇)
混同注意! 「酸素飽和度 (SpO2)」と「酸素含量 (CaO2)」は異なります。貧血では酸素飽和度は正常でも、酸素含量は低下します。この違いを理解しておきましょう。
概念整理: パルスオキシメータの測定原理は「動脈血中の酸素化ヘモグロビンの割合」です。測定値を歪めるのは、①光の経路を妨げるもの(爪のマニキュア、強い外光)、②血流を検出できないもの(末梢循環不全、体動)、③異常ヘモグロビン(メトHb、COHb)による分光吸収特性の変化です。貧血はHb量の問題であり、Hbの質(酸素化の割合)には影響しません。
一目で比較!:
状態SpO2測定値実際の酸素飽和度(SaO2)
貧血正常(例: 98%)正常
一酸化炭素中毒高値(例: 98%)低値(例: 70%)
メトヘモグロビン血症85%前後に固定低値

看護過程ポイント: アセスメント: SpO2値が低い時は、まず患者の状態(呼吸音、呼吸パターン、意識レベル、チアノーゼの有無)を観察し、機械の誤差かどうかを判断します。指尖の冷感や脈波波形の振幅も確認します。介入: マニキュアを除去する、センサーの位置を変える、末梢循環を改善するための保温やマッサージを行います。CO中毒やメトHb血症が疑われる場合は、動脈血液ガス分析 (ABG) でのSaO2測定を依頼します。
暗記のコツ: 「パルスオキシメータは酸素の『質』を測る、貧血は酸素の『量』の問題」と覚えましょう。『量』の問題(貧血、多血症)はSpO2に影響しません。『質』の問題(CO中毒でHbが酸素の代わりにCOと結合、メトHb血症でHbが酸化され酸素を運べなくなる)はSpO2を偽装します。
国試頻出ポイント: 「SpO2の信頼性に影響する因子」は毎年のように出題されます。特に「貧血は影響しない」「CO中毒では高値に出る」の2点は必ず押さえましょう。状況設定問題では「SpO2が低いが、患者の状態と一致しない」場合に、パルスオキシメータの誤差要因を考えさせる出題が頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(この問題)から、「術後の患者のSpO2が88%を示している。観察すべき項目として適切なものは?」といった状況設定問題へ発展します。SpO2低下時は、気道確保、呼吸状態評価、酸素投与の必要性と並行して、パルスオキシメータの誤差要因も確認するという一連の流れを身につけましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario):
夜勤中のICUで、70歳代の男性患者(肺炎で挿管管理中)のSpO2アラームが88%で鳴りました。患者の顔色は良好で、呼吸は人工呼吸器に同調しており、喘鳴も聴取されません。SpO2が信頼できるかどうか、どのようにアセスメントしますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察: まず患者全体の状態を素早く観察します(呼吸音、チアノーゼの有無、冷汗、意識レベル)。次にパルスオキシメータの波形を確認します。波形が小さい、または乱れている場合は末梢血流の問題を疑います。
2. アセスメント: 患者の手指が冷たくないか、体動やアーチファクトはないか、センサーの位置は正しいかを確認します。SpO2値が患者の状態と乖離している場合(例: 患者は元気に見えるのにSpO2が低い)、誤差を疑います。
3. 最重要! 報告と介入: 誤差の可能性を考慮しつつ、最悪を想定します。まず医師に報告し、動脈血液ガス分析 (ABG) をオーダーしてもらい、実際のSaO2とPaO2を確認します。同時に、酸素投与量の確認や気管内チューブの位置確認など、気道・呼吸・循環の再評価を行います。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
危険! パルスオキシメータの値だけに頼らず、必ず患者の全身状態(視診、聴診、触診)と併せて総合評価してください。特にCO中毒やメトHb血症の患者ではSpO2が正常でも低酸素血症が進行している可能性があります。ABGが最も信頼できる指標であることを忘れないでください。
看護プロトコル: 観察項目: SpO2値、脈波波形、末梢の保温状態、爪の状態、Hb値。報告基準 (SBAR): 「S(状況): 患者Aさん、SpO2が88%に低下しています。B(背景): 肺炎で挿管中です。A(アセスメント): 波形が小さく、手指が冷たいため、末梢循環不全による誤差の可能性が高いと考えますが、呼吸状態も確認中です。R(提案): ABGのオーダーをお願いします。」
先輩看護師の一言: 「国試では『パルスオキシメータは○○なときに信頼できない』という知識が問われますが、臨床では『この患者さんのSpO2は本当に正しいのか?』と常に疑いながらアセスメントする力が求められます。SpO2の数値だけを追わず、患者さんの顔色や呼吸の様子、波形の形をセットで見る習慣をつけましょう!」

重要概念

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