核心解説
この問題は、排尿(Micturition)に関わる神経支配の知識を問うています。排尿は、
排尿筋(Detrusor muscle)の収縮と
内尿道括約筋(Internal urethral sphincter)の弛緩が協調して起こります。この2つの筋を同時に支配しているのは、
副交感神経(Parasympathetic nerve)である
骨盤神経(Pelvic nerve)です。骨盤神経は排尿筋を収縮させ、同時に内尿道括約筋を弛緩させることで、尿の排出を促します。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 排尿反射(Micturition reflex)の遠心路は、脊髄の
仙髄(S2-4)から発する副交感神経線維(骨盤神経)です。この神経は、
排尿筋(Detrusor muscle)のM3受容体に作用して収縮させると同時に、
内尿道括約筋(Internal urethral sphincter)を弛緩させます。両者は同じ神経支配下にあるため、同時にコントロールされるのです。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
-
混同注意! ②番の
陰部神経(Pudendal nerve)は
体性神経(Somatic nerve)であり、
外尿道括約筋(External urethral sphincter)を支配します。これは随意運動でコントロールされるため、排尿を我慢するときに働きます。排尿筋と内尿道括約筋は支配していません。
- ①閉鎖神経、③大腿神経、④坐骨神経は下肢の運動や感覚を支配する体性神経であり、排尿筋や尿道括約筋とは全く関係がありません。
関連概念の整理 (Related Concepts): 排尿の神経支配は以下の3つに整理できます。
1.
副交感神経(骨盤神経): 排尿筋収縮 + 内尿道括約筋弛緩(排尿促進)
2.
交感神経(下腹神経): 排尿筋弛緩 + 内尿道括約筋収縮(尿貯留促進)
3.
体性神経(陰部神経): 外尿道括約筋収縮(随意排尿抑制)
概念整理: 排尿の神経制御は、副交感神経(骨盤神経)が「排尿スイッチ」のON、交感神経(下腹神経)がOFF、体性神経(陰部神経)が「緊急ブレーキ」の役割を果たします。
一目で比較!:
| 神経 | 種類 | 支配筋 | 排尿時の作用 |
| 骨盤神経 (Pelvic n.) | 副交感神経 | 排尿筋 / 内尿道括約筋 | 収縮 + 弛緩(排尿) |
| 下腹神経 (Hypogastric n.) | 交感神経 | 排尿筋 / 内尿道括約筋 | 弛緩 + 収縮(貯留) |
| 陰部神経 (Pudendal n.) | 体性神経 | 外尿道括約筋 / 骨盤底筋群 | 収縮(随意抑制) |
看護過程ポイント:
排尿障害(Urinary retention / Incontinence)のアセスメントでは、神経支配のどのレベルに問題があるかを考えます。例えば、脊髄損傷の高位によって、排尿筋と括約筋の協調が失われる
排尿筋-括約筋協調不全(Detrusor-sphincter dyssynergia)が生じることがあります。また、骨盤神経が障害されると排尿筋が収縮できず尿閉となり、陰部神経が障害されると尿失禁が生じやすくなります。
暗記のコツ: 「骨盤」=「骨(こつ)」→「骨」と「盤(ばん)」を「排出(はいしゅつ)」に結びつけて「骨盤神経は排尿を促進する(骨盤 = 排出)」と覚えましょう。陰部神経は「陰(いん)」→「隠す(かくす)」→「陰部神経は尿を我慢する(隠す)」と覚えると区別しやすいです。
国試頻出ポイント: このテーマは「排尿の神経支配」として毎年1〜2問出題される頻出分野です。特に「骨盤神経(副交感神経)」「下腹神経(交感神経)」「陰部神経(体性神経)」の3つの役割の比較がよく問われます。また、脊髄損傷や糖尿病性神経障害による排尿障害と関連させた事例問題も増えています。