核心解説
この問題は、
動脈血ガス分析 (Arterial Blood Gas Analysis, ABG) の基本である
pH (水素イオン濃度指数) の解釈を問うています。
血液のpHは生体内の恒常性(ホメオスタシス)を維持するための最も重要な指標の一つであり、正常範囲は
7.35~7.45 と厳密に調節されています。pH 7.25はこの範囲を下回っているため、
最重要! アシドーシス (Acidosis) / 酸性血症 (Acidemia) と判断します。この問題では「状態」だけを問うているため、原因(呼吸性か代謝性か)の特定は不要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢④が正解です。動脈血pH 7.25は正常範囲(7.35~7.45)を下回っており、これは体内で
水素イオン (H+) 濃度が上昇 している状態、すなわち
アシドーシス (Acidosis) を意味します。
pH 7.25は緊急性を要する可能性のある中等度のアシドーシスであり、迅速な原因検索と対応が必要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:
混同注意! 「代償性 (Compensated)」とは、生体が呼吸数や腎臓の機能を変化させてpHを正常範囲に戻そうとしている状態を指します。pHが7.25と異常値を示している時点で、代償が不十分(非代償性)または代償が破綻している状態です。
②番:pHが正常範囲を上回った状態(>7.45)を
アルカローシス (Alkalosis) / アルカリ血症 (Alkalemia) と言います。pH 7.25は低いため、誤りです。
③番:「呼吸性 (Respiratory)」は原因を特定する分類です。pH単独では原因は判別できず、
PaCO2 と
HCO3- の値が必要です。この設問は「状態」を尋ねているため、原因分類は不要です。
⑤番:正常範囲は7.35~7.45です。7.25は明らかに異常値です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ABG解釈の基本ステップを確実に押さえましょう。
1.
pHを見る:正常(7.35-7.45)か、アシドーシス(7.45)か。
2.
原因を特定する:
PaCO2(正常値: 35-45 mmHg) と
HCO3-(正常値: 22-26 mEq/L) を確認。PaCO2の異常なら呼吸性、HCO3-の異常なら代謝性。
3.
代償の評価:pHが異常なら非代償性。pHが正常範囲に戻っていれば代償性。
概念整理:
動脈血ガス分析 (ABG) におけるpHの解釈。pH 7.35未満 =
アシドーシス (Acidemia)。pH 7.45超 =
アルカローシス (Alkalemia)。原因の特定にはPaCO2とHCO3-の同時評価が必須。
一目で比較!:
| 状態 | pH | PaCO2 (呼吸性因子) | HCO3- (代謝性因子) |
|---|
| 呼吸性アシドーシス | 低下 | 上昇 | 正常 (慢性では上昇) |
| 呼吸性アルカローシス | 上昇 | 低下 | 正常 (慢性では低下) |
| 代謝性アシドーシス | 低下 | 正常 (代償では低下) | 低下 |
| 代謝性アルカローシス | 上昇 | 正常 (代償では上昇) | 上昇 |
看護過程ポイント:
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アセスメント:ABG採血後の
バイタルサイン (Vital Signs) と
呼吸状態(呼吸数、深さ、リズム、SpO2)の同時評価。意識レベル(アシドーシスによる意識障害の有無)も確認。
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看護診断 (Nursing Diagnosis):ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange) または非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern)。
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計画・実施:医師の指示に基づく
酸素療法 (Oxygen Therapy)、原因疾患に応じた治療(例:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)への輸液・インスリン投与、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪への非侵襲的陽圧換気(NPPV))。
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評価:pHが正常範囲に改善しているか、原因となるPaCO2やHCO3-が是正されているか。
暗記のコツ:
pH の「p」は「potential(可能性)」、「H」は「水素 (Hydrogen)」。pHが低い(