核心解説
この問題は、体内の体液コンパートメントにおける電解質組成の基本的な知識を問うものです。
細胞外液 (Extracellular Fluid: ECF) は、血漿 (Plasma) と間質液 (Interstitial Fluid) から構成され、その電解質組成は細胞内液 (Intracellular Fluid: ICF) とは大きく異なります。この違いを理解することが、輸液療法 (Fluid Therapy) や電解質異常 (Electrolyte Imbalance) の看護の基礎となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 細胞外液の主要な陽イオン (Cation) は
ナトリウムイオン (Na+) であり、主要な陰イオン (Anion) は
塩化物イオン (Cl-) と
重炭酸イオン (HCO3-) です。選択肢⑤はこのうち、最も主要な陽イオンと陰イオンの組み合わせとして正しいと言えます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①: リン酸イオン (Phosphate Ion) は、主に細胞内液の主要な陰イオンです。細胞外液には少量しか存在しません。
②: カリウム (K+) は細胞内液の主要な陽イオンです。細胞外液の陽イオンはナトリウムが主体です。
③: カルシウム (Ca2+) は細胞外液に存在しますが、その濃度はナトリウムよりもはるかに低く、主要な陽イオンとは言えません。また、タンパク質 (Protein) は陰イオンとして働きますが、細胞外液(特に血漿)にも存在しますが、主要な陰イオンは塩化物イオンと重炭酸イオンです。
④: カリウムは細胞内液の主要陽イオンです。重炭酸イオンは細胞外液の主要陰イオンの一つですが、陽イオンが間違っています。
関連概念の整理 (Related Concepts): 細胞内液の主要陽イオンは
カリウム (K+)、主要陰イオンは
リン酸イオン (HPO4 2-) と
タンパク質 (Protein) です。この細胞外液と細胞内液の電解質組成の差が、細胞の静止膜電位 (Resting Membrane Potential) を維持し、神経や筋肉の興奮伝導に不可欠です。看護師は、この組成の差異を理解することで、脱水や浮腫、不整脈などの病態をアセスメントできます。
概念整理: 体液の電解質組成は、細胞外液(Na+ と Cl- 主体)と細胞内液(K+ と リン酸イオン 主体)で全く異なる。この差は能動輸送(Na+/K+ ATPaseポンプ)によって維持されている。
一目で比較!:
| 項目 | 細胞外液 (ECF) | 細胞内液 (ICF) |
|---|
| 主要陽イオン | ナトリウム (Na+) | カリウム (K+) |
| 主要陰イオン | 塩化物イオン (Cl-) / 重炭酸イオン (HCO3-) | リン酸イオン (HPO4 2-) / タンパク質 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 血清電解質検査の結果を評価する際、まずNa+とK+の値を確認。低Na+血症では意識障害、高K+血症では心電図変化(T波増高)に注意する。
計画・実施: 輸液療法では、患者の細胞外液量と電解質バランスを考慮した輸液製剤(例:生理食塩水、乳酸リンゲル液)を選択する。
暗記のコツ: 「外はナトリウムと塩素(食塩)、中はカリウムとリン(カリリン)」と覚えましょう。細胞外液の代表は「生理食塩水(NaCl)」、細胞内液は「カリウム(K)」と連想すると記憶に残りやすいです。
国試頻出ポイント: この基本は、電解質異常(高Na血症、低Na血症、高K血症、低K血症)の病態と看護、輸液療法の選択、心電図異常の鑑別など、様々な場面で応用問題として出題されます。特に高K血症と低K血症の心電図変化は頻出です。