核心解説
この問題は、生体の内部環境を一定に保つ
ホメオスタシス (Homeostasis) の調節機構に関する基礎的な理解を問うています。ホメオスタシスの中心的な調節方式は
ネガティブフィードバック制御 (Negative Feedback Control) です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ④番が正解です。ネガティブフィードバック制御は、生体内で何らかの変動(例:体温の上昇、血糖値の上昇)が生じた後に、その変化を感知し、
変化を打ち消す方向に効果器(汗腺、インスリン分泌細胞など)を働かせて、基準値に戻す仕組みです。これがホメオスタシス維持の基本メカニズムです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番のフィードフォワード制御 (Feedforward Control) は、変化が生じる「前」にそれを予測して調節する仕組み(例:食事を見ただけで唾液や胃液が分泌される)です。「変化が生じた後」としている点が誤りです。
②番のネガティブフィードバックは「打ち消す方向」に働くのが正しく、「変化を増強する方向」は
ポジティブフィードバック (Positive Feedback) の説明です。
③番のポジティブフィードバックは、変化を増幅する方向に働くため、ホメオスタシス維持に「常に」寄与するわけではありません。分娩時の子宮収縮(オキシトシンによる正の連鎖)や、血液凝固カスケードなど、特定のプロセスを迅速に完了させるために一時的に働きます。これが恒常性を乱す方向に働くこともあります。
⑤番はポジティブフィードバックの説明を「変化を打ち消す方向」と誤って述べており、これはネガティブフィードバックの定義です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
3つの制御方式を明確に区別しましょう。
| 制御方式 | 動作のタイミング | 作用方向 | 例 |
| ネガティブフィードバック | 変化の後 | 変化を打ち消す(抑制) | 体温調節、血糖調節、血圧調節 |
| ポジティブフィードバック | 変化の後 | 変化を増強する(促進) | 分娩、血液凝固、神経インパルス伝導 |
| フィードフォワード | 変化の前 | 変化を予測して準備 | 食事による消化液分泌、運動前の心拍数増加 |
概念整理: ホメオスタシスの維持には、主に
ネガティブフィードバック (Negative Feedback) が用いられます。これは、システムの出力が入力に対して抑制的に働く制御方式です。一方、分娩や血液凝固などの限定的なプロセスでは
ポジティブフィードバック (Positive Feedback) が利用され、これは出力が入力を促進するように働きます。
一目で比較!: 「ネガティブ」は「否定・打ち消し」、「ポジティブ」は「肯定・促進」と覚えましょう。フィードフォワードは「未来予測型」の制御です。
暗記のコツ: エアコンのサーモスタットをイメージしてください。室温が設定温度より上がったら(変化)、冷房を作動させて温度を下げる(打ち消す)。これが
ネガティブフィードバック (Negative Feedback) です。
国試頻出ポイント: 「ネガティブフィードバック」と「ポジティブフィードバック」の定義と具体例は、生理学の基本問題として頻出です。特に分娩時の子宮収縮や、出血時の血液凝固カスケードは代表的なポジティブフィードバックの例としてよく出題されます。
出題パターン注意!: 単純な定義問題だけでなく、「発熱時のふるえ(シバリング)」はどの制御方式か?といった、病態と結びつけた応用問題に発展することがあります。