腎臓による水分と電解質の調節において、血漿浸透圧の上昇を感知して分泌が促進されるホルモンはどれか。 | MyMerci
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生体リズムと恒常性
問題

腎臓による水分と電解質の調節において、血漿浸透圧の上昇を感知して分泌が促進されるホルモンはどれか。

解説
バソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)は視床下部で合成され、血漿浸透圧の上昇(または循環血液量の減少)を感知して下垂体後葉から分泌される。腎臓の集合管に作用して水の再吸収を促進し、体内の水分を保持して浸透圧を正常範囲に戻す。アルドステロンはナトリウムの再吸収を促進する。
同じテーマの次の問題内部環境の恒常性(ホメオスタシス)を維持するための調節機構として、正しいものはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、腎臓による水分と電解質調節のメカニズム、特に 血漿浸透圧 (Plasma Osmolality) の調節に関わるホルモンについて問うています。体内の水分バランスを維持するためのフィードバックシステム を理解することが鍵となります。血漿浸透圧が上昇すると、体内は「脱水状態」であると感知し、水分を保持しようとするホルモンが分泌されます。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題は、水分と電解質のバランスを司るホルモンのうち、浸透圧変化 に直接反応するものを特定する問題です。浸透圧受容体 (Osmoreceptor) は視床下部に存在し、血漿浸透圧のわずかな変化(1-2%程度)を感知します。この刺激が、下垂体後葉からのホルモン分泌を促します。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は バソプレシン (Vasopressin / 抗利尿ホルモン ADH) です。最重要! 血漿浸透圧が上昇(または循環血液量が減少)すると、視床下部の浸透圧受容体が刺激され、下垂体後葉からバソプレシンが分泌されます。バソプレシンは腎臓の 集合管 (Collecting Duct) に作用し、水の透過性を高めて水の再吸収を促進します。これにより尿量が減少し、体内に水分が保持され、血漿浸透圧は正常範囲に戻ります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! レニン (Renin) は、血圧低下や腎血流量の減少を感知して腎臓の傍糸球体細胞から分泌されます。浸透圧上昇は直接的な分泌刺激ではありません。
混同注意! アルドステロン (Aldosterone) は副腎皮質から分泌され、ナトリウム (Na⁺) の再吸収とカリウム (K⁺) の排泄を促進します。これは レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAAS) の一部で、主に循環血液量(血圧)の調節に関与します。
混同注意! アンジオテンシンII (Angiotensin II) は強力な血管収縮作用とアルドステロン分泌促進作用を持ち、血圧上昇に寄与します。浸透圧を直接感知して分泌されるホルモンではありません。
混同注意! 心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) は心房の伸展(循環血液量増加)を感知して分泌され、ナトリウムと水の排泄を促進(利尿作用)して血圧を下げます。浸透圧上昇時には逆の作用が必要です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 浸透圧調節と循環血液量調節は密接に関連していますが、センサーとエフェクターが異なります。浸透圧調節 は主にバソプレシン(ADH)と口渇中枢(Thirst Center)によって行われ、循環血液量調節 は主にRAASとANPによって行われます。バソプレシン分泌は、強い循環血液量減少(例えば出血時)にも刺激されます。
概念整理: 血漿浸透圧上昇(体内水分不足) → 視床下部浸透圧受容体刺激 → 下垂体後葉 → バソプレシン(ADH)分泌↑ → 腎集合管での水再吸収↑ → 尿量↓ → 浸透圧低下。これに対し、循環血液量減少(血圧低下)は、RAAS(レニン→アンジオテンシンII→アルドステロン)を活性化し、Na⁺と水の再吸収を促進します。
一目で比較!:
ホルモン主な分泌刺激主な作用
バソプレシン (ADH)血漿浸透圧↑ 循環血液量↓水再吸収↑ (集合管)
アルドステロンアンジオテンシンII K⁺↑Na⁺再吸収↑ K⁺排泄↑
ANP心房伸展 (循環血液量↑)Na⁺排泄↑ 利尿

看護過程ポイント: アセスメント: 脱水時(口渇、皮膚ツルゴール低下、尿量減少)は血漿浸透圧上昇を疑い、バソプレシンの分泌促進状態をアセスメント。逆に、水中毒時(低ナトリウム血症、意識障害)はバソプレシンの過剰分泌(SIADH)を疑う。 看護介入: 脱水患者への輸液療法(特にバソプレシン分泌を抑制する低張液の適応を理解)や、術後のバソプレシン分泌亢進状態(ストレス、疼痛)を考慮した水分管理が重要。
暗記のコツ: 「バソプレシン(ADH)は『水を保有する』ホルモン」と覚えましょう。「A(Anti)D(Diuretic)H(Hormone)= 抗利尿ホルモン」は、文字通り「尿を出さない(水を再吸収する)」ホルモンです。血漿が濃くなった(浸透圧↑)時に出て、水を薄めようとします。
国試頻出ポイント: 各ホルモンの「分泌を促進する因子」と「作用部位・作用機序」が頻出です。特に「何を感知して分泌されるか(刺激)」と「その結果、体内で何が増減するか」をセットで覚えておくと、問題が解きやすくなります。事例問題では「高Na血症患者の尿量減少」からバソプレシン作用亢進を推測する問題もよく出ます。
出題パターン注意!: 単純なホルモンと作用の組み合わせ問題から、「心不全患者の肺水腫に対し、ANPとバソプレシンの作用の違いを踏まえた看護介入を選べ」 といった、病態と複数のホルモン作用を統合する問題へと発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 70代男性、脳梗塞後の経管栄養管理中。看護師が日勤帯にバイタルサイン測定を行うと、血圧 90/60 mmHg、脈拍 110回/分(頻脈)。血清Na値 150 mEq/L(高値)、BUN 30 mg/dLと高値を示しました。尿量は 300 mL/日と乏尿です。家族から「昨日から口渇の訴えが強かった」と聞いています。この患者さんはどのような状態であり、看護師は何を優先すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察 (Assessment): バイタルサイン(頻脈、低血圧)と検査値(高Na血症、高BUN、乏尿)から、脱水 (Dehydration) による 循環血液量減少 (Hypovolemia) と診断できます。血漿浸透圧の上昇が強く疑われ、体内ではバソプレシン(ADH)が最大限に分泌され、水を保持しようとしている状態です。2. 報告 (Report / SBAR): S(状況): 「経管栄養中の〇〇様、脱水状態です。乏尿と高Na血症があります。」 B(背景): 「昨日から口渇を訴えており、水分摂取量が不足している可能性があります。」 A(アセスメント): 「循環血液量減少性脱水により、ADHが過剰分泌され、乏尿となっていると考えます。」 R(提案): 「医師の指示のもと、輸液療法 (Fluid Therapy) の開始と経管栄養の水分量調整が必要です。」3. 介入 (Intervention): 最重要! まずは医師に報告し、指示を受けて 輸液ルートの確保点滴の開始 を行います。経管栄養の水分量を見直し、追加水分(白湯など)の投与を検討します。4. 評価 (Evaluation): 輸液後、尿量が増加し、血圧が上昇、血清Na値が正常化するか経過観察します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 高齢者では急速な輸液による心不全(肺水腫)に注意 が必要です。特に心機能が低下している患者では、輸液速度と尿量、SpO₂を厳密にモニタリングします。また、口渇を訴える患者には、誤嚥リスクを評価した上で、安全に水分を摂取できる方法(とろみ調整、口腔ケアなど)を提供します。
看護プロトコル: 観察項目: バイタルサイン(特に血圧、脈拍、SpO₂)、尿量(1時間ごと)、意識レベル、皮膚ツルゴール、口渇の有無、体重変化、検査値(Na, K, BUN, Cr, 浸透圧)。報告基準 (SBAR): 「血圧が80mmHg台に低下、尿量が20mL/h未満、血清Naが150mEq/Lを超えた場合」は直ちに報告。記録のポイント: 輸液開始時間、種類、速度、尿量、バイタルサインの変化、患者の反応(口渇の改善、不快感の有無)を経時的に記録。
先輩看護師の一言: 「『飲みたい』『おしっこが出ない』という患者さんの言葉は、体内の水分バランスの重要なサインです!検査値と合わせてアセスメントし、医師に『この患者さんは脱水でADHがガンガン出てますよ』と伝えられる看護師になりましょう。国試でも、『なぜこの患者さんは尿量が少ないのか?』という視点が問われます。病態を想像しながら勉強すると、現場でも役立ちますよ!」

重要概念

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