核心解説
この問題は、
創傷治癒 (Wound Healing) の4つの段階(出血・凝固期、炎症期、増殖期、成熟期)における細胞の役割を問うています。
マクロファージ (Macrophage) による貪食 (Phagocytosis) は、創傷部の壊死組織や異物、細菌を除去して創を清浄化するプロセスであり、これは炎症期の特徴です。創傷治癒の各段階でどの細胞がどのような働きをするのかを、病態生理学的に理解することが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は
炎症期 です。創傷治癒における炎症期(受傷後約3~5日)では、まず好中球 (Neutrophil) が早期に動員され、続いて
マクロファージ (Macrophage) が創部に浸潤します。マクロファージは、好中球とともに
壊死組織や細菌、異物を貪食(食べて除去) するだけでなく、創傷治癒を促進する様々な
サイトカイン (Cytokine) や
増殖因子 (Growth Factor) を放出し、次の増殖期への橋渡しをする重要な役割を担います。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の出血・凝固期(止血期)は、血小板 (Platelet) が主役となり、血栓形成と止血が行われます。マクロファージはまだ活発に働いていません。
③番の増殖期は、線維芽細胞 (Fibroblast) によるコラーゲン合成や、血管内皮細胞による新生血管形成(肉芽組織形成)が主体です。上皮化もこの時期に進みます。
④番の成熟期(リモデリング期)は、コラーゲン線維の再構築と創の収縮が行われ、瘢痕組織が成熟します。貪食活動は炎症期に比べて低下します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
創傷治癒の各段階と主な細胞の役割を整理しましょう。
| 段階 | 主な細胞 | 主な役割 |
| 出血・凝固期 | 血小板 (Platelet) | 止血、血栓形成、増殖因子放出 |
| 炎症期 | 好中球 (Neutrophil)、マクロファージ (Macrophage) | 貪食による創部の清浄化、サイトカイン/増殖因子放出 |
| 増殖期 | 線維芽細胞 (Fibroblast)、血管内皮細胞 (Endothelial cell) | 肉芽組織形成、コラーゲン合成、血管新生、上皮化 |
| 成熟期 | 線維芽細胞 (Fibroblast) | コラーゲン再構築、創収縮、瘢痕形成 |
概念整理: 創傷治癒の4段階(止血期→炎症期→増殖期→成熟期)と、各段階で主役となる細胞(血小板→好中球/マクロファージ→線維芽細胞/血管内皮細胞→線維芽細胞)の機能をセットで覚えましょう。マクロファージは「掃除屋」であり、かつ「増殖期の司令塔」という二重の役割を持つことがポイントです。
一目で比較!:
| 細胞 | 主な役割(創傷治癒) |
| 血小板 | 止血 (止血期) |
| 好中球 | 初期の細菌貪食 (炎症期) |
| マクロファージ | 貪食 + 増殖因子放出 (炎症期) |
| 線維芽細胞 | コラーゲン合成、肉芽形成 (増殖期~成熟期) |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 創部の発赤、腫脹、熱感、排膿の有無を観察。炎症期の遷延(感染の兆候)や、瘢痕拘縮のリスクを評価。
- 看護診断: 「皮膚統合性の障害」「感染リスク状態」が挙げられる。
- 看護介入: 創傷の洗浄(生理食塩水など)、適切な被覆材(ドレッシング材)の選択、栄養管理(特にタンパク質、ビタミンC、亜鉛)が重要。
暗記のコツ: 「止血(血小板)→ 炎症(マクロファージ:掃除と指令)→ 増殖(線維芽細胞:工事)→ 成熟(線維芽細胞:仕上げ)」と、キャラクターで覚えるとイメージしやすいです。
国試頻出ポイント: 「創傷治癒の各期で働く細胞とその働き」は毎年と言っていいほど出題される基本中の基本です。特に
マクロファージ と
線維芽細胞 の役割の違いは頻出です。
出題パターン注意!: 単純な「炎症期の主な細胞は?」という知識問題だけでなく、「創傷治癒を促進するために、創の安静が特に必要なのはどの時期か?」という応用問題や、糖尿病など治癒遷延因子と絡めた事例問題にも対応できるようにしておきましょう。