核心解説
この問題は、
小児看護学 (Pediatric Nursing) の中でも特に重要な
原始反射 (Primitive Reflexes) の出現時期と消失時期に関する知識を問うています。
原始反射は、新生児・乳児期に一過性にみられる反射で、中枢神経系(特に大脳皮質)の成熟に伴い消失します。 この反射の有無や消失時期の異常は、神経発達の指標として非常に重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢1の
手掌把握反射 (Palmar Grasp Reflex) は、
最重要! 出生時から存在し、生後3~4か月頃に消失する代表的な原始反射です。これは、指を手のひらに触れると強く握り込む反射で、哺乳類の幼体が母親にしがみつくための進化的な名残と考えられています。問題文の「出生時からみられ、生後4か月ころに消失する」という条件に完全に合致します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:
手掌把握反射 (Palmar Grasp Reflex) →
正解
②番:
混同注意! 足底把握反射 (Plantar Grasp Reflex) は、足の裏のつけ根を刺激すると足の指が屈曲する反射です。手掌把握反射とよく似た名前ですが、消失時期が異なります。
消失時期は生後9~10か月頃 であり、問題文の「4か月」には該当しません。
③番:
パラシュート反射 (Parachute Reflex / Parachute Response) は、乳児を空中で支え、前方に傾けると両腕を伸ばす反射です。
出現時期は生後8~9か月頃で、その後生涯持続します。出生時からはみられず、消失もしないため、誤りです。
④番:
混同注意! Babinski反射 (バビンスキー反射 / Babinski Sign) は、足の裏の外側をかかとからつま先に向かって刺激したときに、母趾が背屈し、他の趾が扇状に開く反射です。新生児・乳児では陽性で正常ですが、
消失時期は1~2歳頃 であり、問題文の条件には合いません。なお、成人での陽性は錐体路障害を示す病的反射となります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
原始反射は、以下のように出現・消失時期をセットで覚えることが国試対策の鍵です。
| 反射名 | 出現時期 | 消失時期 |
|---|
| モロー反射 (驚愕反射) | 出生時 | 生後3~4か月 |
| 手掌把握反射 | 出生時 | 生後3~4か月 |
| 吸引反射 (吸啜反射) | 出生時 | 生後3~4か月 |
| 非対称性緊張性頸反射 (ATNR) | 出生時 | 生後3~4か月 |
| 足底把握反射 | 出生時 | 生後9~10か月 |
| パラシュート反射 | 生後8~9か月 | 生涯持続 |
概念整理:
原始反射 (Primitive Reflexes) は、脳幹や脊髄レベルの反射であり、大脳皮質の発達(髄鞘化)に伴って抑制・統合されます。この反射の残存や消失遅延は、脳性麻痺などの神経発達障害を示唆する重要なサインです。
一目で比較!: 手掌把握反射(出生時~3-4か月) vs 足底把握反射(出生時~9-10か月)を「手は早く(3-4か月)、足は遅く(9-10か月)」と覚えましょう。
看護過程ポイント: 乳児健診や発達評価の場面では、原始反射の有無とその時期をアセスメントします。反射の誘発方法(手掌把握反射は母指を手のひらに当てる)を正しく理解し、異常所見があれば医師へ報告し、神経学的フォローアップにつなげます。
暗記のコツ: 「原始反射 3・4・5」と覚えましょう!「生後3~4か月で消失する主な原始反射は5つ」→ モロー反射、手掌把握反射、吸引反射、非対称性緊張性頸反射、ガラント反射(側彎反射)です。
国試頻出ポイント: 各原始反射の「出現時期」と「消失時期」を正しく区別できるかが問われます。特に、手掌把握反射(早期消失)と足底把握反射(後期消失)のペア、パラシュート反射(後期出現・生涯持続)の特異性は毎年チェックされています。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(どの反射か)だけでなく、事例問題で「生後5か月の乳児。この反射がまだみられるのは正常か?」という発達評価の問題としても出題されます。