入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。 | MyMerci
必修問題
問題

入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。

解説
転倒・転落の要因には、患者自身の身体・精神状態に関わる「内的要因」と、環境に関わる「外的要因」があります。「服用中の薬剤(睡眠薬や降圧薬など)」による副作用(ふらつき等)は患者側の内的要因です。その他はすべて外的要因です。

詳細解説

核心解説 この問題は、看護安全管理において非常に重要な 転倒・転落 (Falls) のリスク要因を正しく分類できるかを問うています。転倒・転落のリスク要因は、患者自身の状態に起因する「内的要因 (Intrinsic Factors)」と、患者を取り巻く環境に起因する「外的要因 (Extrinsic Factors)」に大別されます。この区別を明確に理解することが、効果的な予防策を立案するための第一歩です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 正解は ② 服用中の薬剤 です。 最重要! 服用中の薬剤、特に 睡眠薬 (Hypnotics)降圧薬 (Antihypertensives)抗不安薬 (Anxiolytics)抗精神病薬 (Antipsychotics)利尿薬 (Diuretics) などは、ふらつき、立ちくらみ(起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension))、筋力低下、眠気などの副作用 (Adverse Effects) を引き起こし、転倒リスクを著しく高めます。これは患者の体内で発生する生理学的変化であり、患者自身の状態に起因する「内的要因」に分類されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - 混同注意! ① 履物の種類は、滑りにくい靴か、つま先が広いか、サイズが合っているかなど、患者を取り巻く物理的環境に属するため「外的要因」です。 - ③ ベッド柵の位置は、ベッドという環境設備の一部であり、患者の行動を物理的に制限・補助する環境因子です。「外的要因」に分類されます。 - ④ トイレまでの距離は、病棟の構造や動線に関する環境因子です。距離が長いと転倒リスクが高まりますが、これも患者の身体外の環境による要因なので「外的要因」です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 内的要因には、上記の薬剤以外にも、加齢による筋力低下・バランス機能低下、視力障害、認知機能低下(判断力低下)、疾患(パーキンソン病、脳血管障害の後遺症など)、脱水、低血糖などが含まれます。一方、外的要因には、床の水濡れ、段差、照明の暗さ、コード類の転がり、適切でない履物や衣服、不適切な高さのベッドや車椅子などが含まれます。転倒予防策は、これらの要因を総合的にアセスメントし、個別性のある環境調整と患者指導を行うことが基本です。
概念整理:
カテゴリー定義
内的要因 (Intrinsic)患者自身の身体的・精神的な状態や特性年齢、筋力低下、平衡感覚障害、視力障害、認知症、服用薬剤の副作用、疾患、脱水、低血圧
外的要因 (Extrinsic)患者を取り巻く物理的・社会的環境履物、床の状態(水濡れ、段差)、照明、ベッド柵、家具の配置、トイレまでの距離、廊下の手すり

一目で比較!: 転倒リスクアセスメントスコア(MFS: Morse Fall Scale など)では、転倒歴、歩行状態、薬剤の種類と数、精神状態などが主要評価項目となっています。内的要因と外的要因を混同せずに、リスクの高い患者を早期に抽出することが看護師の重要な役割です。
看護過程ポイント: - アセスメント (Assessment): 入院時・状態変化時に、上記の内的・外的要因を系統的にアセスメントします。特に 新規の薬剤追加や増量があった場合 は、必ず副作用としてのふらつきや眠気の有無を確認します。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「転倒リスク状態 (Risk for Falls)」が該当します。 - 計画・実施 (Plan/Implementation): 個別のリスク要因に基づき、環境調整(ベッドの高さ、ナースコールの位置、照明)、行動制限(必要時)、患者・家族教育、薬剤師との連携による薬剤調整の検討などを行います。
暗記のコツ: 「」と「」を分ける時は、「患者のの内側か外側か」で考えましょう。薬の作用は体内で起こるので「内」。床の水濡れは体の外側にあるので「外」。
国試頻出ポイント: 転倒・転落のリスク要因(特に内的要因としての薬剤)は、毎年何らかの形で出題される必須テーマです。単に分類を問うだけでなく、「この患者さんで転倒リスクが高いのはなぜか」という事例問題で問われることも多いです。
出題パターン注意!: 「転倒・転落の予防策として適切なのはどれか」という問題では、患者の行動制限が適切か、環境調整が適切かが問われます。薬剤の影響を無視した「一律の行動制限」は患者のQOLを低下させるため、まずは環境調整と薬剤の見直しが優先されることを覚えておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 70代女性、左大腿骨頚部骨折術後3日目。ベッド上安静が解除され、歩行器歩行訓練を開始。夜間、トイレに行くためにベッドから立ち上がろうとしたところ、ふらついて転倒しそうになり、ナースコールで看護師が駆け付けました。内服薬には睡眠薬(ゾルピデム)と降圧薬(アムロジピン)が処方されています。看護師として、この事例から何をアセスメントし、どのような予防策を追加すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察・アセスメント: 転倒の直前の状況(なぜ立ち上がったか、足元の状態、履物は滑りにくいか)を確認。次に、内的要因として 薬剤の影響 を確認します。就寝前の睡眠薬の効果が残っているか、降圧薬による起立性低血圧がないかを、バイタルサイン(座位・立位での血圧測定)とともにアセスメントします。 2. 報告・相談 (SBAR): 「S(状況): 〇〇様、術後3日目、夜間にトイレ歩行時にふらつきあり。S(背景): ゾルピデムとアムロジピンを内服中。A(アセスメント): 薬剤の副作用によるふらつきと判断。R(提案): 薬剤師に相談し、内服時間の調整や種類の変更を検討いただきたい。」 3. 介入・評価: 医師・薬剤師と連携し、内服時間を変更する、または薬剤を変更する。その間は、夜間の排泄時にナースコールを必ず使用するよう指導を強化し、トイレまでの動線の整理(障害物の除去、照明の確保)を再確認します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 転倒予防のための安易な身体拘束は原則禁止 です(身体拘束適正化の推進)。まずは環境調整と患者・家族への教育、薬剤の見直しなど、拘束に代わる手段を優先します。特に夜間の転倒はリスクが高く、転倒後の骨折や頭部外傷はADL低下の大きな要因となります。転倒リスクが高い患者には、ベッドの高さを低く設定する、マットレスを床に敷く、離床センサー(Bed sensor)を使用するなどの対策も検討します。
看護プロトコル: - 観察項目: 歩行状態(ふらつき、速度)、薬剤内服状況と副作用の有無(特に新規薬剤・増量後24時間以内)、バイタルサイン(起立性低血圧の有無)、排泄パターン(夜間頻尿の有無)、認知機能(判断力、危険認識)。 - 報告基準 (SBAR): 「転倒のリスクアセスメントスコアが高い患者」「新たにふらつきや転倒が発生した」「鎮静系・降圧系の薬剤が変更された」場合。 - 記録のポイント: 転倒リスクアセスメントのスコア、具体的なリスク要因(内的・外的)、実施した予防策(環境調整、指導内容)、患者の反応。
先輩看護師の一言: 「転倒・転落は、インシデント・アクシデントレポートで最も多い事例の一つです。『うちの病棟は大丈夫』と思わずに、すべての患者さんにリスクがある前提でアセスメントしましょう。特に、夜間のトイレ歩行は転倒のゴールデンタイムです。患者さんの『トイレに行きたい』という思いを尊重しながらも、安全に排泄できる環境と支援を一緒に考えていくことが、看護師の腕の見せ所です!」

重要概念

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