左前腕に持続点滴静脈内注射をしている患者の更衣で適切なのはどれか。 | MyMerci
必修問題
問題

左前腕に持続点滴静脈内注射をしている患者の更衣で適切なのはどれか。

解説
点滴等の管が入っていたり麻痺がある患者の更衣の基本は「脱健着患(健側から脱いで患側から着る)」です。この患者は左腕が患側(点滴側)であるため、「右袖(健側)から脱ぎ、左袖(患側)から着る」のが適切です。

詳細解説

核心解説 この問題は、点滴静脈内注射 (Intravenous Infusion) 中の患者に対する更衣介助の基本技術を問うています。看護師は、患者の安全と安楽を確保し、医療デバイス(点滴ルート)のトラブル(抜去、閉塞、血管外漏出)を予防しながら更衣を援助する必要があります。この技術の根底にある原則が「最重要! 脱健着患(だっけんちゃっかん)」です。これは、「脱ぐ時は健側(良い方)から、着る時は患側(悪い方・デバイス装着側)から」という原則です。この原則に従うことで、患者の関節への負担が軽減され、点滴ルートが引っ張られるリスクを最小限に抑えられます。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 正解は「右袖から脱ぎ、左袖から着る」です。 - 脱衣時(右袖から): まず、点滴のない健側(右腕)の袖を脱がせることで、患者自身が安定した体勢で最初の動作を行えるため安全です。健側の腕が自由になった後、最後に点滴ルートが接続された患側(左腕)の袖を、点滴ボトルやチューブを絡めないように注意しながらゆっくりと抜きます。 - 着衣時(左袖から): まず、点滴ルートが接続されている患側(左腕)の袖を通します。この時、点滴チューブを袖口から通し、患者の腕を無理なく袖に通すことができます。その後、健側(右腕)の袖を通すと、最後の動作が最もスムーズに行えます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - 混同注意! ①番 (左袖から脱ぎ、右袖から着る): これは「脱健着患」の原則を全く逆に適用した誤った方法です。まず点滴のある患側(左)から脱ぐと、最初の動作で点滴ルートを引っかけやすいため危険です。着る時に健側(右)から先に着ると、最後に患側(左)の袖を通す際にチューブを無理に通すことになり、抜去や閉塞のリスクが高まります。 - 混同注意! ②番 (左袖から脱ぎ、左袖から着る): 患側から脱ぐ動作が危険である点は①と同じです。着る時は患側からで正しいですが、脱ぐ順序が間違っているため不適切です。 - 混同注意! ④番 (右袖から脱ぎ、右袖から着る): 脱ぐ順序は正しい(健側から)ですが、着る時に健側(右)から着てしまうと、最後に患側(左)の袖を通す際に点滴ルートを絡めやすいため不適切です。 関連概念の整理 (Related Concepts) この「脱健着患」の原則は、点滴ルートを持つ患者だけでなく、片麻痺 (Hemiplegia) のある患者、ギプス (Cast) やドレーン (Drain) を装着している患者など、身体の一部に障害やデバイスがある全ての患者の更衣介助に適用される基本原則です。この原則を理解することで、患者の安全を守り、安楽な更衣を支援できます。また、患者の残存機能 (Remaining Function) を最大限に活用し、自立を促す視点も重要です。
概念整理: 更衣介助の基本原則「脱健着患」は、患者の安全と医療デバイス保護のために不可欠です。脱ぐ時は健側から行い、着る時は患側から行うことで、最も効率的かつ安全に更衣を完了できます。
一目で比較!:
動作原則理由
脱衣健側(右)から最初の動作を安全・安定して行う。最後に患側の袖を抜くのでチューブが絡みにくい。
着衣患側(左)から最初にチューブを通すので無理がない。最後に健側を通すので動作がスムーズ。

看護過程ポイント: アセスメント:患者のADL(着替えの自立度)、麻痺や痛みの有無、点滴の刺入部の状態(発赤・腫脹・漏出の有無)を確認。計画・実施:原則に従い更衣を援助。患者のペースに合わせ、急がせない。点滴ルートが引っ張られていないか常に確認する。評価:点滴の持続注入がスムーズに行えているか、患者に痛みや不快感がないか、安全に更衣が完了したかを確認。
暗記のコツ: 「脱健(だっけん)・着患(ちゃっかん)」とリズムよく覚えましょう。「脱ぐ時は『健やか』な方から、着る時は『患って』いる方から」とイメージすると記憶に残りやすいです。
国試頻出ポイント: この問題は、基礎看護技術の「更衣介助」として毎年出題される頻出項目です。単に「脱健着患」という言葉を覚えるだけでなく、「なぜその順番なのか」を病態(点滴ルート保護、患者の安楽)と関連付けて説明できるようにしておきましょう。状況設定問題で「左前腕に点滴が挿入された患者への清拭介助」などと発展して出題されることもあります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「脱健着患」の順序を問うだけでなく、「点滴中の患者が入院着に着替えたいと希望した。看護師の適切な対応はどれか」という事例問題で出題されることもあります。応用問題では、患者の麻痺の部位や、点滴以外のドレーンやチューブが複数ある場合の優先順位を問われることもあります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは外科病棟の看護師です。70代男性、大腸がん (Colorectal Cancer) 術後3日目で、左前腕に持続点滴が接続されています。患者さんが「着替えたいので手伝ってほしい」とナースコールを押しました。点滴ルートはしっかりと固定されていますが、患者さんは少し不安そうな表情です。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察・アセスメント: 点滴刺入部の状態(腫脹、発赤、痛みの有無)、点滴の滴下状態、チューブの屈曲や接続部の緩みがないかを確認します。 2. 計画・準備: 患者さんに「右腕の袖から脱いでいきましょうね」と声をかけ、更衣の手順を説明します。点滴ボトルを一時的に点滴スタンドのフックから外す必要はなく、袖を通す際にチューブの長さに余裕を持たせます。 3. 実施: 最重要! 「脱健着患」の原則に従います。
- 脱衣: 「まず、点滴が入っていない右腕の袖を脱ぎましょう。ゆっくりで大丈夫ですよ。」患者さんの右腕の袖を支えながら脱がせます。次に、点滴ルートが絡まないように注意しながら、左腕の袖を抜きます。
- 着衣: 新しい衣服の左袖(患側)を広げ、「では、点滴が入っている左腕から袖を通しましょうね。」点滴チューブを袖口から通し、患者の左腕を袖に通します。最後に、右腕の袖を通していただき、衣服を整えます。 4. 確認・評価: 更衣後、点滴ルートに問題がないか(屈曲、接続部の緩み、逆流など)、滴下が保たれているかを再度確認します。「お疲れ様でした。気分はどうですか?」と声をかけ、安楽に過ごせているか確認します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 禁忌! 点滴ルートを引っ張らないこと。もしチューブが引っかかった場合は無理に引っ張らず、一度外してからやり直すか、看護師がチューブを直接保持して介助する。 - 危険所見! 更衣中に患者が疼痛を訴えた場合や、刺入部の腫脹・発赤が認められた場合は、直ちに手技を中断し、医師に報告する。 - 患者さんのプライバシーに配慮し、カーテンや扉を閉めて更衣を行い、羞恥心に配慮する。 - 高齢者の場合、更衣中の転倒に注意する。ベッド上での更衣が安全であれば、ギャッチアップして行う。
看護プロトコル: - 観察項目: 点滴刺入部の状態(局所所見)、滴下速度、患者の表情・訴え、衣服の締め付けによる循環障害の有無。 - 報告基準(SBAR): 「S: 点滴刺入部の発赤あり。B: 患者は更衣時に痛みを訴えた。A: 血管外漏出の可能性がある。R: 刺入部の交換が必要です。」 - 記録のポイント: 更衣介助の実施時間、患者の反応(協力の程度、疼痛の有無)、点滴ルートの状態(異常の有無)。
先輩看護師の一言: 「患者さんにとって『着替える』ことは、とても基本的で大切な日常生活動作です。でも、点滴があるだけで不安は大きくなります。看護師は手順を丁寧に説明し、『大丈夫ですよ』と声をかけながら介助することで、患者さんの安心感に大きく貢献できます。国試でも出る基本技術なので、『脱健着患』の意味をきちんと説明できるようにしておきましょう!」

重要概念

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