長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 図のA(足底部)にクッションを挿入する目的はどれか。 | MyMerci
必修問題
問題

長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 図のA(足底部)にクッションを挿入する目的はどれか。


 

解説
仰臥位で足部が重力や布団の重みで底屈(足先が下を向く)した状態が続くと、アキレス腱が拘縮して「尖足(せんそく)」となります。これを予防するために足底にクッション(フットボード等)を当てて足関節を直角(良肢位)に保ちます。

詳細解説

核心解説 この問題は、長期臥床 (Prolonged Bed Rest) 患者の ポジショニング (Positioning) の目的、特に 足底部 (Sole of the Foot) へのクッション挿入の根拠を問うています。仰臥位で重力や掛け布団の重みにより足先が下を向く 足底屈位 (Plantar Flexion) が持続すると、アキレス腱が短縮・拘縮し、歩行時に踵が接地できない変形である 尖足 (Equinus Foot / Pes Equinus) を来たします。この拘縮は一度完成するとリハビリでの改善が非常に困難なため、予防が最優先となります。最重要! 足底部にクッションを当て、足関節を底背屈0度(直角)の 良肢位 (Functional Position / Good Limb Position) に保持することが、尖足予防のための基本的かつ必須の看護ケアです。 正解の根拠 (Answer Rationale) 図のAに示された足底部へのクッション(フットボード)は、足が自然に底屈するのを物理的に防ぎ、足関節を直角に保つためのものです。これによりアキレス腱の短縮と尖足変形の発生・進行を予防します。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! 各選択肢の予防方法は異なる部位と介入が必要です。 - 褥瘡の予防 (Pressure Ulcer Prevention): 骨突出部(仙骨部、踵骨部、大転子部など)への圧力持続を避けることが目的。踵部が床に直接接触しないようにするために、下腿部全体を支える方法(踵浮かせ)は有効ですが、足底部へのクッションは直接的な予防策ではありません。 - 腓骨神経麻痺の予防 (Peroneal Nerve Palsy Prevention): 腓骨頭部(膝外側下方)の圧迫が原因となるため、膝関節外側の保護が予防策です。 - 深部静脈血栓症の予防 (Deep Vein Thrombosis Prevention): 下肢の血流停滞を防ぐため、弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法、下腿の自動・他動運動が中心であり、足底へのクッションは直接的な予防効果を持ちません。 関連概念の整理 (Related Concepts) - 良肢位 (Functional Position): 関節拘縮を予防するための肢位。足関節は底背屈0度、膝関節は伸展位、股関節は伸展・軽度外転位。 - 拘縮 (Contracture): 長期臥床による関節可動域制限。尖足は代表的な拘縮の一つ。 - 廃用症候群 (Disuse Syndrome): 長期臥床により生じる全身の身体的・精神的機能低下。筋萎縮、関節拘縮、骨粗鬆症、起立性低血圧、褥瘡、深部静脈血栓症など多岐にわたる。
概念整理: 尖足予防 = 足関節の良肢位保持。クッション・フットボード・ギプス固定などで足首を直角に固定する。観察項目は足関節の角度、アキレス腱の硬さ、踵部の皮膚状態。 一目で比較!:
合併症予防のための主要介入関連するポジショニング部位
尖足足関節を直角に保持足底部へのクッション
褥瘡圧力分散・除圧・体位変換踵部、仙骨部、大転子部
腓骨神経麻痺膝外側の除圧腓骨頭部の保護
深部静脈血栓症下肢の積極的運動・弾性ストッキング下腿全体
看護過程ポイント: アセスメント: 足関節の自動・他動可動域、アキレス腱の緊張、患者の意識レベル(自分で足首を動かせるか)。計画: 足底部に適切な硬さのクッションを当て、足関節が常に直角に保たれるよう環境を整える。医師の指示があれば足関節固定装具の使用も検討。実施: 2時間毎の体位変換時にポジショニングのズレを確認・修正。掛け布団の重みで足が押されていないか確認する。評価: 足関節の可動域制限(特に背屈制限)の有無。 暗記のコツ: 「尖足(せんそく)」=「線(セン)が足を下に引っ張る」とイメージ。「足の指が線路のように地面を向いてしまう」と覚えましょう。予防には「足の裏にクッションを当ててストップ!」がキーワードです。 国試頻出ポイント: ポジショニングの目的は毎年必ず出題されます。特に「足底部へのクッション=尖足予防」は超頻出。褥瘡予防との混同に注意してください。 出題パターン注意!: 単純な「目的」の知識問題に加え、「図や写真を見て目的を選ばせる問題」や、「事例問題で『この患者に必要なポジショニングはどれか』という形でも出題されます。視覚的なイメージと結びつけて覚えましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 脳梗塞の後遺症で右片麻痺があり、長期臥床中の80代女性。看護師が午前中のバイタルサイン測定とポジショニング調整のため病室を訪れると、患者の右足が掛け布団の重みで強く底屈し、足底部のクッションが脇にずれているのを発見しました。患者は「足がつったみたいに痛い」と不快感を訴えています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず足のポジショニングを整え直し、足関節を直角に戻して痛みを緩和します。次に、クッションがずれた原因をアセスメントします(患者の体動によるものか、掛け布団の重みによるものか、クッションの固定方法の問題か)。SBAR報告の例: 「S(状況): 〇〇様、右足のポジショニングがずれていました。B(背景): 掛け布団の重みで足が底屈していました。A(アセスメント): 尖足予防のための良肢位が保持できていません。R(提案): 足の位置を直しましたが、掛け布団を支えるベッドブリッジの使用を検討したいです。」 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): クッションを強く押し付けすぎると、逆に踵部への圧迫が強まり褥瘡の原因になるため注意。また、患者の意識がなく足を自分で動かせない場合は、より注意深くポジショニングを確認する必要があります。
看護プロトコル: 観察項目: 足関節の角度(直角か)、アキレス腱の硬さ、踵部の皮膚の発赤・損傷、クッションの位置のズレ。記録のポイント: ポジショニングの方法(足底部にクッション使用)、実施時間、患者の反応、足関節の状態。家族への説明: 「足首が下を向いたまま固まってしまうと、将来的に歩く練習をする時に足の裏が地面につかなくなってしまいます。その予防のために、このように足の裏にクッションを当てて形を整えています。」 先輩看護師の一言: 「ポジショニングは、『やったら終わり』ではありません。患者さんが動いたり、看護師のケアの後で布団が掛け直されたりして、すぐにズレます。体位変換のたびに確認する習慣をつけましょう。『たかがクッション』と侮ると、後々患者さんの歩行能力に大きな影響を残すことになります。国試の知識を、患者さんの生活を守るための実践力に変えてくださいね!」

重要概念

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