核心解説
この問題は、
臓器の移植に関する法律(臓器移植法)に基づく
脳死判定基準を問うています。脳死(Brain Death)とは、脳幹を含む全脳機能が不可逆的に停止した状態であり、法的に人の死亡とみなされます(臓器移植法第6条)。この判定には、法律で定められた厳格な基準と検査項目があり、その中に
脳波検査(Electroencephalography, EEG)が必須項目として含まれています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
臓器移植法施行規則において、脳死判定のための必須検査として「
脳波検査」が明記されています。具体的には、
平坦脳波(等電位脳波)が2回以上確認されることが必要です。これは、大脳皮質の電気的活動が完全に消失していることを証明するための客観的指標です。脳死判定は、以下の6つの基準をすべて満たす必要があります。
1.
深昏睡(GCS 3)
2.
瞳孔固定(両側4mm以上)
3.
脳幹反射の消失(対光反射、角膜反射、毛様体脊髄反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射)
4.
自発呼吸の停止(無呼吸テスト陽性)
5.
平坦脳波(脳波検査で確認)
6. これらの状態が
6時間以上持続(6歳未満は24時間以上)
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の
脳波検査が正解です。②番の
筋電図検査(Electromyography, EMG)は末梢神経・筋肉の電気的活動を評価するもので、脳機能の評価には用いません。③番の
神経伝導検査(Nerve Conduction Study, NCS)は末梢神経の伝導速度を測定し、ニューロパチーなどの診断に用います。④番の
脳脊髄液検査(Cerebrospinal Fluid Examination)は髄膜炎やくも膜下出血の診断には有用ですが、脳死判定の必須項目ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
脳死と
混同注意! 植物状態(Vegetative State)は脳幹機能が保たれ、自発呼吸や睡眠・覚醒サイクルがある点で異なります。植物状態では脳波が平坦にならず、法的な死亡とはみなされません。また、
心臓死(心停止後死亡)とは異なり、脳死では人工呼吸器などの生命維持装置により心拍が一時的に保たれることがあります。臓器移植においては、脳死下での臓器提供(Donation after Brain Death, DBD)と心停止後臓器提供(Donation after Circulatory Death, DCD)の2種類があることも押さえておきましょう。
概念整理
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脳死判定6基準: 深昏睡、瞳孔固定、脳幹反射消失、自発呼吸停止、平坦脳波、6時間(小児24時間)の観察期間
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脳波検査の役割: 大脳皮質の電気的活動が完全消失(平坦脳波)していることを確認する唯一の検査
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法律上の位置づけ: 臓器移植法第6条により、脳死は人の死亡として定義される
一目で比較!
| 状態 | 脳幹機能 | 自発呼吸 | 脳波 | 法的死亡 |
|---|
| 脳死 | 消失 | 停止 | 平坦 | 死亡 |
| 植物状態 | 保たれる | あり | 活動あり | 生存 |
| 心臓死 | 徐々に消失 | 停止 | 平坦化 | 死亡 |
看護過程ポイント
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アセスメント: 脳死判定の各項目(瞳孔径、脳幹反射、自発呼吸)を正確に評価・記録する。特に無呼吸テスト中のバイタルサイン変動に注意。
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看護診断: 「非効果的家族コーピング」や「複雑性悲嘆」が関連しやすい。家族の意思決定支援が重要。
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計画・実施: 判定前後での家族への説明・精神的ケア、臓器提供の意思確認(ドナーカードや家族の同意)の支援。
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評価: 家族が医療チームの説明を理解し、納得した意思決定ができているか評価する。
暗記のコツ
「
深瞳脳自平6」と覚えましょう!
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深: 深昏睡
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瞳: 瞳孔固定
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脳: 脳幹反射消失
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自: 自発呼吸停止
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平: 平坦脳波
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6: 6時間以上の観察
国試頻出ポイント
臓器移植法の脳死判定基準は、看護師国家試験で繰り返し出題されるテーマです。特に「脳波検査の必須性」「判定条件の数」「観察時間」が問われます。事例問題では、「脳死と植物状態の違い」「家族への看護支援」が出題されることもあります。
出題パターン注意!
「臓器移植法において、脳死判定のための必須検査として正しいものはどれか」という単純知識問題から、「脳死判定中の患者の家族に対して、看護師が行うべき対応はどれか」といった倫理的問題に発展する可能性があります。脳死判定の手順だけでなく、家族支援や倫理的判断も併せて学習しておきましょう。