核心解説
この問題は、感染経路(Route of Infection)のうち「飛沫感染(Droplet Infection)」を正しく理解しているかを問うています。感染経路の分類と、各疾患の主な伝播様式を正確に把握することが、感染対策(Infection Control)の基本となります。
最重要! 感染経路の分類は、
標準予防策(Standard Precautions) と
経路別予防策(Transmission-Based Precautions) の選択に直結するため、国試でも頻出の核心テーマです。
正解の根拠(Answer Rationale)
正解は
インフルエンザ(Influenza) です。インフルエンザウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどにより排出される、
5μm以上の飛沫(Droplet) を吸入することで感染します。飛沫は
約1~2m の範囲で落下し、空気中を長時間漂わないため、飛沫感染対策としては「マスク着用」と「患者間の距離確保(約2m)」が基本となります。
誤答の分析(Distractor Analysis)
混同注意! それぞれの選択肢の主な感染経路は以下の通りです。
①
疥癬(Scabies):主に
接触感染(Contact Infection)。ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が、感染者との直接的な皮膚接触や、寝具・衣類を介した間接接触により伝播します。
②
破傷風(Tetanus):主に
経皮感染(Percutaneous Infection)。土壌中に存在する破傷風菌(Clostridium tetani)が、傷口から体内に侵入することで発症します。ヒトからヒトへの感染はありません。
③
デング熱(Dengue Fever):主に
節足動物媒介感染(Vector-borne Infection)。デングウイルスを保有するネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)に刺されることで感染します。
関連概念の整理(Related Concepts)
感染経路を分類する際、
混同注意! 「飛沫感染」と「空気感染(Airborne Infection)」の違いは極めて重要です。
| 感染経路 | 飛沫の大きさ | 到達距離 | 代表疾患 | 予防策 |
| 飛沫感染 | 5μm以上 | 約1~2m | インフルエンザ、風疹、マイコプラズマ肺炎、髄膜炎菌性髄膜炎 | マスク、患者間距離確保 |
| 空気感染 | 5μm未満(飛沫核) | 長時間空気中を浮遊 | 結核、麻疹、水痘 | N95マスク、陰圧個室隔離 |
概念整理: 感染経路は、接触感染(疥癬、MRSA)、飛沫感染(インフルエンザ、風疹)、空気感染(結核、麻疹)、経皮感染(破傷風、B型肝炎)、媒介動物感染(デング熱、マラリア)、経口感染(ノロウイルス、O157)に大別されます。各経路の特徴と代表疾患は確実に暗記しましょう。
一目で比較!: 「飛沫感染 vs 空気感染」は、感染対策室への報告や病室の隔離区分を判断する上で必須の知識です。飛沫の大きさ(5μm)と空気中での挙動の違いをしっかり区別しましょう。
看護過程ポイント:
アセスメント:患者の咳症状の有無、発熱の経過、周囲の感染状況を確認。
看護診断:『感染リスク状態(Risk for Infection)』。
計画・実施:標準予防策に加え、飛沫感染予防策(サージカルマスク、手袋、個室または cohort 隔離)を実施。
評価:新たな感染者が発生していないか、予防策が適切に継続されているか。
暗記のコツ: 「飛沫(しぶき)」と「空気(くうき)」のイメージで覚えましょう。飛沫は「しぶき=飛び散ってすぐ落ちる」、空気は「空気中をふわふわ漂う」というイメージで、それぞれの予防策(マスク vs N95マスク)を結びつけると記憶に定着しやすいです。
国試頻出ポイント: 感染経路別予防策は、毎年1~2問は出題される必須項目です。「疾患名」と「感染経路」、そして「その感染経路に対する具体的な予防策(マスクの種類、隔離の種類)」のセットで問われます。特に、飛沫感染と空気感染を混同する誤答が非常に多いので、注意深く学習しましょう。
出題パターン注意!: 「インフルエンザが流行している病棟で、新たに発熱と咳嗽が出現した患者がいる。看護師が最初に行うべき感染対策はどれか?」のような状況設定問題に発展することが多いです。単なる知識暗記ではなく、「なぜその対策が必要か」を根拠を持って説明できるようにしておきましょう。