核心解説
この問題は、
チアノーゼ (Cyanosis) の定義、つまり皮膚や粘膜が青紫色に見える原因物質についての基本知識を問うています。チアノーゼは、血液中の酸素を運搬する役割を終えた
脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン) が、末梢毛細血管内で一定量(通常
5g/dL以上)に増加することで発生します。この現象を理解するには、
ヘモグロビン (Hemoglobin) の酸素運搬機能と、酸素飽和度の概念を正しく把握することが不可欠です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! チアノーゼの原因となるのは、酸素と結合していない「脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン)」です。動脈血が組織で酸素を放出すると、ヘモグロビンは酸素を失い、暗赤色(青紫色)を呈します。この脱酸素化ヘモグロビンの絶対量が
5g/dL以上 になると、皮膚や粘膜(口唇、爪床など)の薄い部分を通してその色が透けて見え、チアノーゼとして認識されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
①番
ビリルビン (Bilirubin) は、赤血球のヘモグロビンが分解されて生じる黄色の色素で、これが増加すると
黄疸 (Jaundice) を引き起こします。チアノーゼとは全くの別物です。
②番
ヘモグロビン (Hemoglobin) 自体は、酸素を運搬する赤血球中のタンパク質です。チアノーゼは「ヘモグロビン全体の量」ではなく、「酸素と結合していないヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン)」の絶対量が増加することが原因です。貧血でヘモグロビンが低い患者は、重度の低酸素血症でも脱酸素化ヘモグロビンの絶対量が5g/dLに達せず、チアノーゼが出現しにくいという特徴があります。
③番
ヘモグロビンA1c (HbA1c) は、過去1~2ヶ月の血糖コントロール状態を反映する指標であり、チアノーゼとは無関係です。
関連概念の整理 (Related Concepts): チアノーゼは、その原因となる病態によって
中心性チアノーゼ と
末梢性チアノーゼ に分類されます。中心性チアノーゼは心疾患(例:ファロー四徴症)や肺疾患(例:肺炎)による動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下が原因で、全身に現れます。一方、末梢性チアノーゼは、寒冷やショックによる末梢血管の収縮や血流うっ滞が原因で、四肢末端(手指、足趾、鼻尖など)に限局して現れます。
概念整理:
チアノーゼ (Cyanosis) = 皮膚・粘膜が青紫色になる状態。原因は
脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン) の絶対量増加(
5g/dL以上)。酸素飽和度(SpO2)の低下や末梢循環不全が主な病態生理。
一目で比較!:
| 項目 | チアノーゼ | 黄疸 |
| 原因物質 | 脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン) | ビリルビン |
| 色調 | 青紫色 | 黄色 |
| 主な原因 | 低酸素血症、循環不全 | 肝疾患、溶血、胆道閉塞 |
暗記のコツ: 「チアノーゼ=青紫色」のイメージから、酸素を失った
脱酸素化ヘモグロビン の色を連想しましょう。酸素と結合したヘモグロビンは「鮮やかな赤色(動脈血)」、酸素を離したヘモグロビンは「暗い赤紫色(静脈血)」です。チアノーゼは、この静脈血の色が皮膚を通して見えている状態と覚えると良いでしょう。
国試頻出ポイント: チアノーゼの定義(原因物質と閾値
5g/dL)は、看護師国家試験で繰り返し出題される基本中の基本です。また、中心性と末梢性の鑑別、貧血患者ではチアノーゼが出現しにくいという点も併せて出題されます。
出題パターン注意!: 単純な穴埋め問題だけでなく、「慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者の観察項目としてチアノーゼが適切かどうか」といった状況設定問題や、「心不全患者の末梢性チアノーゼのアセスメント」に関連して出題されることもあります。