核心解説
この問題は、看護師の
守秘義務 (Duty of Confidentiality)について、どの法律に規定されているかを問うています。守秘義務とは、業務上知り得た患者の秘密を正当な理由なく他者に漏らしてはならないという法的義務であり、患者のプライバシー保護と医療への信頼を守るために極めて重要です。看護師の守秘義務は、看護師の業務や責任を定める根幹法である
保健師助産師看護師法 (Public Health Nurses, Midwives, and Nurses Act)に明確に規定されています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は③番の
保健師助産師看護師法です。同法
第42条の2 に「保健師、助産師又は看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と規定されています。これは、患者と医療従事者間の
信頼関係 (Trust Relationship)を法的に保護し、患者が安心して治療や相談を受けられる環境を保障するための規定です。違反した場合には、同法第44条の3により罰則(50万円以下の罰金)が科せられます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の
刑法 (Penal Code)は、医師、薬剤師、弁護士など、特定の資格保有者の守秘義務を第134条で規定しています(業務上秘密漏示罪)。しかし、看護師は刑法上の「秘密保持義務者」として明示されておらず、看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法の特別規定によるものです。この点が混同しやすいポイントです。
②番の
医療法 (Medical Care Act)は、医療提供体制の基盤(病院の基準、医療計画、医療広告の規制など)を定める法律であり、個々の医療従事者の守秘義務について直接規定している法律ではありません。
④番の
看護師等の人材確保の促進に関する法律は、看護師の確保や就業促進を目的とした法律であり、守秘義務に関する規定はありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
守秘義務は、看護の倫理原則の一つである
「善行 (Beneficence)」「無危害 (Non-maleficence)」「正義 (Justice)」と密接に関連します。患者の秘密を守ることは、患者に害を及ぼさず(無危害)、患者の最善の利益のために行動する(善行)ことの一部です。ただし、
例外として、感染症法に基づく届出や、裁判所からの令状に基づく情報提供など、法令に基づく開示が求められる場合があります。このような「正当な理由」がある場合の例外についても併せて理解しておくことが、国試対策として重要です。
概念整理:
守秘義務 (Duty of Confidentiality) は、患者情報の保護と医療への信頼構築に不可欠な法的・倫理的義務。看護師は
保健師助産師看護師法 第42条の2 に基づき、正当な理由なく患者の秘密を漏らしてはならない。
一目で比較!:
| 法律 | 主な内容 | 守秘義務の対象 |
| 保健師助産師看護師法 | 看護師の業務・資格・義務 | 保健師・助産師・看護師 |
| 刑法 (第134条) | 業務上秘密漏示罪 | 医師・薬剤師・弁護士等 |
| 医療法 | 医療提供体制の基盤 | (直接規定なし) |
看護過程ポイント: アセスメント段階で得た患者情報は、記録・報告・カンファレンスなど必要最小限の範囲内で取り扱い、適切に保管・管理する。情報漏洩防止のためのシステム(電子カルテのアクセス制限、書類の施錠管理など)を遵守する。
暗記のコツ: 「看護師の守秘義務は『看護師法(保健師助産師看護師法)』、医師の守秘義務は『刑法』」とセットで覚えましょう。「自分たちの法律に自分たちの義務が書いてある」とイメージすると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 看護師の業務上の義務(守秘義務、療養上の世話、診療の補助)は頻出。特に「守秘義務はどの法律か」という直接的知識問題と、事例問題の中で「守秘義務違反にあたる看護師の行動」を問う形で出題されます。