核心解説
この問題は、
全身性けいれん発作 (Generalized Convulsive Seizure) を起こしている患者に対する急性期看護における
行動の優先順位 を問うています。発作中は、患者自身が自分の行動を制御できず、周囲の環境や家具などにぶつかって
外傷 (Trauma) を負うリスクが最も高まります。したがって、発作を目の当たりにした看護師の最初の行動は、患者の安全を物理的に確保すること、つまり「周囲の環境整備」です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 発作中は、患者を無理に押さえつけたり、口にタオルなどを詰め込んだりすることは禁忌です(歯牙破損や誤嚥のリスク)。まずは、ベッド柵を上げる、周囲の机や椅子、点滴スタンドなどの危険物を遠ざけることで、患者がけいれん中にぶつかって生じる
頭部外傷や骨折 を予防します。これが
患者安全 (Patient Safety) の最優先事項です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
① 気道確保:けいれん発作中は、無理に気道確保しようとすると、患者の顎を強く押さえつけることになり、かえって気道を閉塞させたり、嘔吐を誘発したりするリスクがあります。発作がおさまってから、安全に気道確保(下顎挙上法など)を行います。
② 末梢静脈路の確保:治療上は重要ですが、発作中の患者に針を刺す行為は極めて危険で、針の誤刺や血管損傷を招くため、優先順位は低いです。
③ 心電図モニターの装着:発作の原因精査(てんかんか、不整脈による痙攣か)のために必要ですが、発作が続いている最中に装着することは困難であり、安全確保が先決です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
けいれん発作の対応手順(C-A-Bの変形)を覚えておきましょう。
1.
C (Circulation):発作の持続時間を確認(5分以上続く場合は
てんかん重積状態 (Status Epilepticus) の可能性)。
2.
A (Airway):発作終了後、気道確保。発作中は危険。
3.
B (Breathing):呼吸状態の確認。
しかし、これらより先に
環境安全 が来ることを忘れないでください。
概念整理
けいれん発作時看護の優先順位は「環境安全 > 観察 > 治療介入」です。まず患者を傷つけるリスクを排除し、次に発作の様子(どの部位から始まったか、持続時間、意識レベル)を観察します。治療(静脈路確保、抗けいれん薬投与)はその後の段階です。
一目で比較!
| 状況 | 最優先行動 | 理由 |
|---|
| 全身性けいれん発作中 | 周囲の環境整備 | 外傷予防(頭部打撲・骨折など)が最優先 |
| 発作終了後(意識障害あり) | 気道確保 | 舌根沈下や分泌物による気道閉塞のリスク |
| 発作が長引く(5分以上) | 医師への迅速な報告 | てんかん重積状態の治療(抗けいれん薬投与)が必要 |
看護過程ポイント
-
アセスメント:発作の誘因(服薬忘れ、発熱、低血糖など)、発作型(部分発作か全般発作か)、持続時間、発作後の意識状態(もうろう状態)を評価する。
-
看護診断:「外傷リスク状態(Risk for Trauma)」が最優先。次に「気道クリアランスの低下(Ineffective Airway Clearance)」、「転倒リスク状態(Risk for Falls)」。
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計画・実施:ベッド柵を上げ、周囲の危険物を排除する。発作がおさまったら、安全を確認しながら側臥位にし、気道確保と口腔内の観察を行う。バイタルサイン測定と医師への報告。
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評価:発作中の外傷の有無、発作後の呼吸状態の安定、発作の再発の有無。
暗記のコツ
「けいれん患者を目の前にしたら、まずは『お掃除』!」
周囲の危険物を「掃除」して安全スペースを作ることをイメージしましょう。患者を押さえつけず、口に何も入れず、ただ観察するだけ。これが基本です。
国試頻出ポイント
このテーマは、
「発作中の看護」 として毎年必ずと言っていいほど出題されます。特に「無理に押さえつけてはいけない」「口に物を入れてはいけない」という禁忌行為と、「発作がおさまるのを待ってから気道確保や観察を行う」という優先順位が頻出です。事例問題では、「患者がベッドから転落しそう」という状況で、最初に行うべき行動を選ばせる形で出題されます。