核心解説
この問題は、
ショック (Shock)の分類とその原因を問うています。ショックは、組織への酸素供給が需要に見合わなくなる生命を脅かす病態です。原因によって大きく4つに分類され、それぞれ病態生理と看護介入が異なります。特に、原因を正しく特定することが、適切な治療と看護ケアの第一歩となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ②番の
敗血症性ショック (Septic Shock)が正解です。敗血症性ショックは、細菌感染(特にグラム陰性桿菌の産生する
エンドトキシン (Endotoxin))が引き金となり、全身性の炎症反応(SIRS: Systemic Inflammatory Response Syndrome)が過剰に起こる病態です。この炎症性サイトカインの作用により、末梢血管が著しく拡張し(血管麻痺)、血管透過性が亢進して血管内の血液が組織へ漏出します。結果として、循環血液量は十分でも有効循環血液量が減少し(血液分布異常性ショックの一種)、血圧が低下します。これは、細菌感染に直接起因する唯一のショック分類です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の
心原性ショック (Cardiogenic Shock)は、
急性心筋梗塞 (AMI)や重症心筋症など、心臓のポンプ機能が著しく低下することで起こるショックです。原因は心臓自体の障害であり、細菌感染ではありません。
③番の
アナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock)は、薬剤や食物などに対する
アレルギー反応(I型アレルギー)によって、急激な血管拡張と気道浮腫が生じるショックです。原因は抗原抗体反応であり、細菌感染ではありません。
④番の
循環血液量減少性ショック (Hypovolemic Shock)は、大量出血(外傷、消化管出血)や高度脱水(熱傷、下痢)により、血管内の血液量そのものが絶対的に減少することで起こるショックです。原因は体液喪失であり、細菌感染ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ショックの4大分類をまとめます。
| 分類 | 主な原因 | 病態の特徴 |
| 循環血液量減少性 | 出血、脱水 | 血液量の絶対的減少 |
| 心原性 | 心筋梗塞、不整脈 | 心ポンプ機能の低下 |
| 血液分布異常性 | 敗血症、アナフィラキシー | 血管拡張・血管透過性亢進 |
| 閉塞性 | 肺塞栓症、心タンポナーデ | 血流の物理的閉塞 |
敗血症性ショックは「血液分布異常性ショック (Distributive Shock)」の代表例であり、さらに細菌感染が原因であることを押さえましょう。アナフィラキシーショックも血液分布異常性ですが、原因がアレルギーである点が異なります。
概念整理: ショックは組織低灌流の病態であり、原因により分類される。細菌感染が原因のショックは敗血症性ショック(血液分布異常性)のみ。エンドトキシンによる血管拡張と血管透過性亢進が血圧低下の主因。
一目で比較!:
| ショックの種類 | 原因 | 中心静脈圧 (CVP) | 末梢血管抵抗 |
| 循環血液量減少性 | 出血/脱水 | 低下 | 上昇 |
| 心原性 | 心ポンプ不全 | 上昇 | 上昇 |
| 敗血症性(初期) | 細菌感染 | 正常 or 低下 | 低下 |
看護過程ポイント: アセスメントでは、発熱・悪寒戦慄の有無、皮膚の色調(初期は紅潮、進行期は冷たく湿潤)、尿量減少を観察。看護診断は「非効果的組織灌流(脳・腎・末梢)」「感染リスク状態」。介入は、感染源のコントロール(抗菌薬投与、デブリードマン)、輸液療法(大量輸液蘇生)、昇圧薬(ノルアドレナリン)投与の準備とモニタリング。
暗記のコツ: 「ショックの原因は『ポンプ(心原性)・タンク(循環血液量減少性)・ホース(血液分布異常性)・流路閉塞(閉塞性)』と覚える。細菌はホース(血管)を緩める原因とイメージしよう。」
国試頻出ポイント: ショックの原因と分類の組み合わせは毎年と言っていいほど出題される。特に「敗血症性ショック=細菌感染」「アナフィラキシーショック=アレルギー」という原因の違いを混同しないように。また、各ショックに対する初期輸液(クリスタロイド液 vs 昇圧薬)の違いも頻出。
出題パターン注意!: 近年は単純な分類問題から、「術後患者のショック状態の原因を特定せよ」といった事例問題に発展。例えば「大腸癌術後3日目、発熱と低血圧が出現。ショックの原因は何か?」→敗血症性ショックを疑う。また「腹部大動脈瘤術後、ドレーンから新鮮血が多量に排出、血圧低下」→循環血液量減少性ショック(出血性)を疑う、など状況判断が求められる。