核心解説
この問題は、
職業性疾病 (Occupational Disease) のうち、特に
情報機器作業 (VDT作業 / Visual Display Terminal Work) によって引き起こされる健康障害を問うています。情報機器(コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)の長時間使用は、眼精疲労や視力低下といった
眼症状のほか、頸肩腕症候群や精神ストレスなどを引き起こすことが知られています。この問題では、情報機器作業との因果関係が最も強い「視力障害」が正解となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 情報機器作業(VDT作業)に伴う健康障害は、
VDT症候群 (Visual Display Terminal Syndrome) と呼ばれます。主な症状は、目の疲れ(眼精疲労)、視力低下、ドライアイ、肩こり、手首の痛み(手根管症候群)など多岐にわたります。選択肢の中で、情報機器作業に最も特徴的で頻度の高い症状は
視力障害です。眼精疲労から調節緊張が続き、一時的または持続的な視力低下を引き起こします。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番の
じん肺 (Pneumoconiosis)は、鉱山や建設現場などで粉塵を長期間吸入することで発症する職業性疾病です。情報機器作業とは関係ありません。
③番の
振動障害 (Vibration Syndrome)は、チェーンソーや削岩機などの振動工具を長時間使用する作業者に発生します。いわゆる「白ろう病」が代表例で、情報機器作業は該当しません。
④番の
皮膚障害 (Skin Disorder)は、化学物質(有機溶剤や洗剤など)による接触皮膚炎やアレルギー反応が代表的です。情報機器作業では稀であり、眼症状ほど直接的・頻回な関係はありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
職業性疾病の分類を覚える際は、「
何を扱う作業か」と「
どの臓器に障害が出るか」を結びつけることが重要です。
- 粉塵 → じん肺(呼吸器)
- 振動工具 → 振動障害(末梢循環・神経)
- 化学物質(有機溶剤・重金属) → 皮膚障害・神経障害・肝障害など
- 情報機器(VDT) → 視力障害・頸肩腕症候群(眼・筋骨格系)
- 騒音 → 難聴(聴覚器)
概念整理:
VDT症候群 (VDT Syndrome)は、情報機器作業による複合的な健康障害です。眼精疲労(調節緊張・ドライアイ)と筋骨格系症状(頸肩腕症候群)が二大症状です。眼症状は初期から現れることが多く、視力障害として自覚される場合もあります。
一目で比較!:
| 職業性疾病 | 原因作業 | 主な障害部位 |
|---|
| じん肺 | 粉塵作業(鉱山、建設) | 肺 |
| 振動障害 | 振動工具(チェーンソー) | 手指の血管・神経 |
| VDT症候群(視力障害) | 情報機器作業 | 眼、頸・肩・腕 |
| 皮膚障害 | 化学物質取り扱い | 皮膚 |
暗記のコツ: 職業性疾病は「原因となる作業」と「症状」をセットでイメージすると覚えやすいです。VDT作業なら「目がしょぼしょぼする(眼精疲労)」「ピントが合わない(視力低下)」を連想しましょう。
国試頻出ポイント: 職業性疾病は、特定の作業と疾病の組み合わせを問う問題が頻出です。特にVDT症候群(眼症状・頸肩腕症候群)は毎年必ず押さえておきたい分野です。近年は「情報機器作業による健康障害」として、眼以外の筋骨格系症状もセットで問われることが増えています。
出題パターン注意!: 「情報機器作業による健康障害はどれか」という単純な知識問題に加えて、「事務職で長時間パソコン作業を行う女性。眼精疲労と手のしびれを訴えている。考えられる職業性疾病はどれか」といった事例問題にも対応できるようにしておきましょう。
看護過程ポイント:
アセスメント (Assessment)では、作業環境(画面の輝度・照明・椅子の高さ・作業時間・休憩の有無)を評価します。
看護介入 (Nursing Intervention)では、適切な休憩の推奨(1時間ごとに10分)、ストレッチ指導、眼精疲労に対する温罨法や点眼薬の使用について指導します。
評価 (Evaluation)では、症状の改善度と作業姿勢の改善状況を確認します。