核心解説
この問題は、
静脈血採血 (Venipuncture)の基本手技における適切な手順を問うています。静脈血採血は、患者の苦痛を最小限に抑え、安全に検体を採取するための正確な技術が求められる、看護師の基本業務です。特に止血と刺入後のケアは、皮下出血(血腫)や感染予防に直結するため、国試でも頻出です。
最重要!採血後は、血管壁の穿刺孔と皮膚の穿刺孔がずれているため、十分な圧迫時間を確保しないと止血が不十分になります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は④です。
採血後の止血は、穿刺部位を揉まずに5分以上しっかり圧迫することで、止血を確実にし、皮下出血(血腫)を予防します。抗凝固薬(ワルファリン、DOACなど)内服中の患者さんや、血小板減少症のある患者さんでは、さらに長時間(10〜15分程度)の圧迫が必要な場合もあります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意!採血部位から2〜3cm中枢側は近すぎます。駆血帯は
穿刺部位から7〜10cm中枢側に巻くのが適切です。近すぎると、穿刺部の静脈が十分に怒張せず、また駆血による圧迫が穿刺部位に影響を及ぼす可能性があります。
② 血管の走行に合わせた刺入角度は
10〜20度が標準です。60度では深部の動脈を穿刺するリスクが高まり、静脈壁を貫通してしまう可能性が高いため、不適切です。
③ 採血後は、まず抜針し、直後に刺入部位を
清潔なガーゼで確実に圧迫します。抜針と同時に圧迫することで、血管内への空気の混入(空気塞栓)も予防できます。「圧迫しながら抜針」は抜針時にガーゼがずれたり、圧迫力が不十分になるため適切ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
静脈血採血の手順全体を整理します。準備(患者確認、物品準備)→ 駆血帯装着(7〜10cm中枢側)→ 穿刺部位の消毒(中心から外側へ)→ 穿刺(10〜20度、ベベルアップ)→ 採血管への注入(減圧採血管を使用)→ 駆血帯の解放(最初に!)→ 抜針と同時圧迫 → 止血確認(5分以上)→ 検体のラベリングと転送。この一連の流れを正しく覚えましょう。
概念整理: 静脈血採血の目的は、診断や治療のための血液検体を、安全かつ確実に、患者の苦痛を最小限にして採取することです。手技の各ステップには、解剖学的な根拠(血管の走行、深さ)と感染防止、止血のメカニズムが関わっています。
一目で比較!:
| 項目 | 適切な方法 | 不適切な方法 |
|---|
| 駆血帯の位置 | 穿刺部位の7〜10cm中枢側 | 2〜3cm中枢側(近すぎる) |
| 穿刺角度 | 10〜20度 | 60度(深すぎる、動脈穿刺リスク) |
| 抜針時の圧迫 | 抜針後、直ちにガーゼで圧迫 | 圧迫しながら抜針(圧迫が不十分) |
| 止血時間 | 5分以上(揉まずに圧迫) | 短時間の圧迫(血腫リスク) |
看護過程ポイント: 【アセスメント】穿刺部位の静脈の状態(怒張、硬結、痛み)、患者の抗凝固薬内服歴、出血傾向の有無を確認する。【計画】穿刺部位と止血時間を決定する。【実施】患者に声をかけながら、清潔操作を徹底し、適切な手技で採血する。【評価】止血を確認し、穿刺部位に血腫や痛みがないか観察する。
暗記のコツ: 静脈血採血の角度は「10〜20度」と覚えましょう。10度は「時計の短針が10を指す角度」とイメージすると覚えやすいです。駆血帯の位置は「7〜10cm」=「指7〜10本分の幅」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 駆血帯の位置、刺入角度、止血時間の数値(7〜10cm、10〜20度、5分以上)はほぼ毎年何らかの形で出題されます。単純暗記ではなく、なぜその数値なのか(解剖学的根拠、止血の機序)を理解しておくと、状況設定問題にも対応できます。
出題パターン注意!: 「抗凝固薬内服中の患者への採血後の止血時間は?」→「10〜15分以上」という応用問題や、「穿刺部位に血腫ができた。その原因として考えられる看護師の行動は?」→「止血時間が不十分だった」という問題にも発展します。