核心解説
この問題は、
フィジカルアセスメント (Physical Assessment) における
診察方法の違いを問うています。フィジカルアセスメントの基本である
視診 (Inspection)・触診 (Palpation)・打診 (Percussion)・聴診 (Auscultation)のそれぞれで何が評価できるのかを理解することが鍵です。
1. **
核心概念の分析 (Key Concept)**: フィジカルアセスメントでは、
触診は手指や手掌を使って組織の硬さ、大きさ、形状、温度、圧痛、弾性、そして腫脹(はれ)の有無などを評価する技術です。特にリンパ節の評価では、触診が必須の方法となります。
2. **
正解の根拠 (Answer Rationale)**:
最重要! リンパ節の腫脹 (Lymph Node Enlargement) は、視診では確認できない場合が多く、触診によってその部位、大きさ、硬さ、可動性、圧痛の有無を判断します。よって、④が正解です。
3. **
誤答の分析 (Distractor Analysis)**:
①
混同注意! 腱反射 (Tendon Reflex) は、
反射ハンマー (Reflex Hammer)を用いて評価する
深部腱反射 (Deep Tendon Reflex)の一種であり、触診で判断するものではありません。
②
瞳孔反射 (Pupillary Reflex) は、
ペンライト (Penlight)を使用して光刺激を与え、瞳孔の収縮を
視診で評価する方法です。触診では判断しません。
③
腸蠕動運動 (Bowel Movement / Peristalsis) は、腸が内容物を送り出す運動であり、その音(蠕動音)を
聴診 (Auscultation)で評価します。触診で蠕動運動そのものの有無を判断することはできません。
4. **
関連概念の整理 (Related Concepts)**: フィジカルアセスメントの手順は「視診→触診→打診→聴診」の順で行うのが基本ですが、腹部は「視診→聴診→打診→触診」の順で行われます。これは、触診や打診によって腸蠕動音に影響が出るのを避けるためです。
概念整理:
フィジカルアセスメントの4つの基本技術
| 診察方法 | 評価する内容(例) |
| 視診 (Inspection) | 皮膚の色調、創部の状態、瞳孔の大きさ・形、胸部の動き、浮腫の有無 |
| 触診 (Palpation) | リンパ節の腫脹、皮膚温、圧痛、腫瘤の硬さ・可動性、脈拍の触知 |
| 打診 (Percussion) | 肺の含気量(鼓音・濁音)、腹部のガス貯留(鼓腸)、肝臓・脾臓の境界 |
| 聴診 (Auscultation) | 心音、呼吸音、腸蠕動音、血管雑音 |
一目で比較!
| アセスメント項目 | 主な診察方法 | 使用器具 |
| 腱反射 | 打診(反射) | 反射ハンマー |
| 瞳孔反射 | 視診 | ペンライト |
| 腸蠕動運動 | 聴診 | 聴診器 |
| リンパ節の腫脹 | 触診 | 手指(特に示指・中指・環指の指腹) |
看護過程ポイント: リンパ節の触診は、
系統的アセスメント (Systematic Assessment)の一部として行います。特に、
発熱や感染徴候がある患者さん、または
悪性腫瘍 (Malignancy)の患者さんでは、
表在リンパ節(頸部、腋窩、鼠径部など)の触診を漏れなく実施し、腫脹の有無をアセスメントすることが重要です。
暗記のコツ: 「
視・触・打・聴(し・しょく・だ・ちょう)」という順番を「
シ・ショク・ダ・チョウ」とリズムで覚えましょう。ただし、腹部だけは「
視・聴・打・触(し・ちょう・だ・しょく)」と順番が変わることも合わせて暗記しましょう。
国試頻出ポイント: フィジカルアセスメントの基本技術は、毎年必ず出題される必須項目です。特に、診察方法と評価内容の組み合わせ(例:「腸蠕動音は聴診で評価する」「リンパ節腫脹は触診で評価する」)は、単純暗記ではなく、なぜその方法で評価するのかを病態生理と結びつけて理解しておくと、応用問題にも対応できます。
出題パターン注意!: 「フィジカルアセスメントにおいて、打診で評価できるのはどれか」といった基本知識問題から、「腹部膨満がある患者へのアセスメントで、最初に行うべき診察法はどれか」という看護過程を問う事例問題にも発展します。状況に応じて適切な診察法を選択できるようにしておきましょう。