核心解説
この問題は、
チーム発達段階 (Team Development Stages / Tuckman's Model) における「統一期 (Norming)」の特徴を問うています。この理論は、看護チームや多職種連携チームのダイナミクスを理解する上で非常に重要です。
チーム発達は、形成期 (Forming) → 混乱期 (Storming) → 統一期 (Norming) → 機能期 (Performing) → 解散期 (Adjourning/Mourning) の順に進むというモデルが基本です。
1. **
核心概念の分析 (Key Concept)**
この問題は、チームマネジメントの基本であるTuckmanのモデルを理解しているかを試しています。統一期 (Norming) は、
混乱期 (Storming) での意見対立や葛藤を乗り越え、メンバー間で役割、規範、価値観が共有され、相互信頼と協力関係が形成される段階です。チームとしての「一体感」が生まれ、建設的なコミュニケーションが可能になります。
2. **
正解の根拠 (Answer Rationale)**
最重要! 選択肢⑤「メンバー間で役割と規範が共有され協力関係が生まれる」は、統一期 (Norming) の定義そのものです。
この段階では、リーダーシップが分散し始め、メンバー各自が自分の役割を自覚し、チーム目標のために協力する姿勢が確立されます。看護現場では、チーム内で「この場面は私がリーダーを」「この患者の情報は私がまとめる」といった暗黙の役割分担がスムーズに行われるようになる状態がこれに該当します。
3. **
誤答の分析 (Distractor Analysis)**
- ①番「チームが高い効率で目標達成に向けて機能している状態」:
混同注意! これは統一期の次の段階である
機能期 (Performing) の特徴です。統一期は「チームの基盤づくり」であり、機能期は「その基盤で最大の成果を出す」段階です。
- ②番「意見の対立が激しく役割分担をめぐる葛藤が続く状態」: これは統一期の前の段階である
混乱期 (Storming) の特徴です。
- ③番「チームが解散に向けて活動を整理し始めている状態」: これは最終段階である
解散期 (Adjourning/Mourning) の特徴です。
- ④番「メンバーが初めて集まり互いを知ろうとしている状態」: これは最初の段階である
形成期 (Forming) の特徴です。この段階ではメンバーは探り合い、リーダーの指示に依存する傾向があります。
4. **
関連概念の整理 (Related Concepts)**
統一期 (Norming) では、
チーム規範 (Team Norms) と
凝集性 (Cohesiveness) が高まります。しかし、この段階で過度な同調圧力(集団思考: Groupthink)が生じると、創造性や批判的検討が阻害される危険性もあるため、看護管理者は適切なファシリテーションが求められます。また、新メンバー加入時には、再度形成期や混乱期に戻ることもあります。
概念整理:
チーム発達段階 (Tuckman's Model): 形成期 (Forming) → 混乱期 (Storming) → 統一期 (Norming) → 機能期 (Performing) → 解散期 (Adjourning)
一目で比較!:
| 段階 | キーワード | 看護現場での例 |
|---|
| 形成期 | 探り合い・依存 | 新チーム発足。メンバーが自己紹介し、リーダーの指示を待つ。 |
| 混乱期 | 葛藤・対立 | 「夜勤の分担が不公平」「この患者のケア方針で意見が割れる」と議論が白熱。 |
| 統一期 | 協力・規範形成 | 「カンファレンスは毎朝10分」「急変時は〇〇さんがリーダー」とルールが定着。 |
| 機能期 | 高効率・自律 | リーダー不在でもチームが自律的に動き、目標を達成する。 |
看護過程ポイント: 看護管理者(師長・主任)は、チームがどの発達段階にあるかをアセスメントし、段階に応じた介入(形成期: 明確な指示、混乱期: 意見調整、統一期: 役割明確化と承認、機能期: 権限委譲)を行うことが重要です。
暗記のコツ: 各段階の頭文字を取って「F・S・N・P・A」と覚えましょう。特に「Norming (統一期)」は「Norms (規範)」ができる段階とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント: この問題は「チームマネジメント」の分野から頻出です。各段階の特徴をキーワード(例: 形成期→探索、混乱期→葛藤、統一期→規範・協力、機能期→効率)で結びつけて覚えておきましょう。状況設定問題で「このチームはどの段階か」を問われる形式も多いです。
出題パターン注意!: 「チームが機能し始め、メンバー間で役割が明確になり、協力関係が築かれている。この状態はどの段階か?」というシンプルな知識問題から、「スタッフ間で意見対立が続き、カンファレンスが停滞しているチームへの管理者の対応として適切なのはどれか?」のような応用問題へ発展します。