核心解説
この問題は、
労働安全衛生法 (Industrial Safety and Health Act) に基づく
過重労働対策 のうち、
医師による面接指導(面接指導制度)の実施基準を問うています。看護師も医療従事者として、自身の労働環境や健康管理を理解するために重要な知識です。
最重要! この制度は、労働者の長時間労働による健康障害(特に脳・心臓疾患や精神障害)を予防するために設けられています。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): この問題のテーマは、労働安全衛生法第66条の8(面接指導)です。事業者は、労働者の時間外・休日労働時間が
1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる場合、その労働者から申出があったときは、医師による面接指導を実施しなければなりません。この
80時間という基準は、「
過労死ライン (Karoshi Line)」として広く知られ、脳・心臓疾患の業務上認定基準とも関連しています。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は⑤番の「1か月当たり80時間を超えた場合」です。これは、労働安全衛生法施行規則で明確に定められた数値です。この基準を超えると、脳血管疾患や虚血性心疾患などの発症リスクが有意に高まることが疫学調査で示されています。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①(60時間超):
混同注意! これは
時間外労働の上限規制(罰則付き)の基準の一つです。2024年4月から建設業など一部業種にも適用拡大されましたが、医師の面接指導の基準は80時間です。
- ②(40時間超): これは法定労働時間(週40時間)を超える時間外労働の開始ラインですが、面接指導の基準ではありません。
- ③(120時間超): これは過労死認定の極めてリスクが高いラインとして知られていますが、面接指導の法的基準は80時間です。
- ④(100時間超): これも過労死リスクが非常に高い数値ですが、面接指導の法的な基準ではありません。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 過重労働対策には、
面接指導の他に、
時間外労働の上限規制(原則月45時間、年360時間、特別条項で月100時間未満など)、
ストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10)、
産業医の選任などがあります。これらをセットで理解することが国試対策上重要です。
概念整理:
過重労働対策 の中核は
労働安全衛生法 に規定されています。医師による面接指導は、労働者の健康障害を未然に防ぐための「
二次予防」的な位置づけです。基準となる時間外・休日労働時間は
80時間/月 と記憶しておきましょう。
一目で比較!:
| 制度 | 基準(時間外労働時間) | 根拠法 |
| 医師による面接指導 | 月80時間超 | 労働安全衛生法第66条の8 |
| 時間外労働の上限(一般) | 月45時間(原則)年360時間 | 労働基準法第36条(36協定) |
| 時間外労働の上限(特別条項) | 月100時間未満年720時間以内 | 労働基準法第36条(特別条項付き36協定) |
| 過労死認定基準(脳・心臓疾患) | 発症前1か月に100時間超または2~6か月平均80時間超 | 労働者災害補償保険法 |
看護過程ポイント: 看護師が自身の健康管理として、あるいは産業看護職として労働者を支援する際、
面接指導の申出を促す役割があります。労働者の疲労蓄積度(自覚症状、睡眠状況、勤務状況など)をアセスメントし、必要に応じて面接指導の受診を勧奨します。
暗記のコツ: 「
80時間」は「ハチマル」と覚えましょう。「ハチマル(80)を超えたら、医師の面談!」と語呂合わせで記憶すると定着しやすいです。また、過労死ラインは100時間という数字もありますが、
最重要! 国試で問われる「面接指導の法的基準」は「
80時間/月」です。
国試頻出ポイント: 看護師国家試験では、労働安全衛生法の「医師による面接指導」の基準として
80時間を直接問う問題や、「過重労働対策の一環として正しいのはどれか」という形で出題されます。数字の正確な暗記が得点に直結します。
出題パターン注意!: 単純な数値問題としてだけでなく、「長時間労働が続く看護師Aさんに、産業看護職としてどのような対応をするか」といった状況設定問題(事例問題)に発展することもあります。その場合、面接指導の勧奨や、労働時間管理の相談、休息の確保などの具体的な介入が問われます。