妊娠高血圧症候群の病態として正しいのはどれか? | MyMerci
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周産期の異常と看護
問題

妊娠高血圧症候群の病態として正しいのはどれか?

解説
妊娠高血圧症候群の基本病態は血管内皮障害と血管攣縮であり、これにより臓器灌流が低下する。循環血液量はむしろ減少傾向、腎血流量は低下し蛋白尿を生じ、凝固系は亢進し血栓傾向となる。
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詳細解説

核心解説 この問題は 妊娠高血圧症候群 (Pregnancy-Induced Hypertension; PIH) の基本病態を問うています。PIHの本質は、胎盤形成不全を起点とした全身性の血管障害であり、単なる高血圧症とは全く病態が異なります。最重要! 正解は 血管内皮障害と血管攣縮による臓器灌流低下 です。胎盤のらせん動脈がうまくリモデリングされないことで虚血状態となり、そこから血管作動性物質や炎症性サイトカインが放出され、全身の 血管内皮細胞 (Vascular Endothelial Cells) を傷害します。これにより血管透過性が亢進し、血管攣縮が生じ、各臓器への血流が低下することで、蛋白尿、高血圧、肝機能障害、DICなど多彩な症状を引き起こします。 正解の根拠 (Answer Rationale): ③の血管内皮障害と血管攣縮はPIHの最も中心的な病態であり、全身の臓器灌流低下を来たすため、母体と胎児双方に影響を及ぼします。この病態により、腎血流低下 → 糸球体濾過率低下 → 蛋白尿、脳血管攣縮 → 頭痛・子癇、肝血流低下 → HELLP症候群などが発生します。 誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①「腎血流量増加による蛋白尿」は逆です。PIHでは腎血流は減少し、糸球体の血管内皮障害(糸球体内皮症)により蛋白尿が出現します。
②「副腎皮質ホルモン過剰分泌による高血圧」はクッシング症候群の病態であり、PIHとは無関係です。
④「循環血液量増加による高血圧」は本態性高血圧や腎性高血圧でみられる機序の一つですが、PIHでは血管透過性亢進と血管内脱水により 循環血液量はむしろ減少 します。
⑤「凝固系抑制による出血傾向」も逆です。PIHでは 血管内皮障害 により組織因子が露出し、凝固系が亢進 し、DICによる血栓傾向を来たしやすいため、出血傾向は後期にみられることがありますが、病態の本質ではありません。 関連概念の整理 (Related Concepts): PIHの重症度分類(妊娠高血圧症、妊娠高血圧腎症、子癇、加重型妊娠高血圧腎症)と、各病型の違いを理解しておきましょう。また、HELLP症候群 (溶血・肝酵素上昇・血小板減少)子癇 (Eclampsia) への進展を防ぐための早期発見と管理が重要です。 概念整理: PIHの病態は「胎盤虚血 → 血管内皮障害 → 血管攣縮 → 臓器灌流低下 → 高血圧・蛋白尿・多臓器障害」という一連の流れです。正常妊娠では循環血液量が増加しますが、PIHではそれが起こりにくく、むしろ減少傾向にあることを押さえましょう。 一目で比較!: PIH vs 本態性高血圧(Essential Hypertension):PIHは血管内皮障害が起点であり、蛋白尿や臓器障害を伴う。本態性高血圧は長期的な末梢血管抵抗の増大が主で、PIHとは病態が根本的に異なります。 看護過程ポイント: アセスメント:血圧測定(安静時の正確な値)、尿蛋白(随時尿・24時間蓄尿)、体重増加・浮腫の観察。母体の自覚症状(頭痛、視覚異常、上腹部痛)と胎児well-being(胎児心拍数、NST)の評価。看護診断:子癇発作リスク状態、胎児循環不全リスク状態、体液過剰/不足のリスク。介入:安静保持(左側臥位)、食事指導(塩分制限)、薬物療法(降圧薬・MgSO4)の確実な実施と副作用観察。 暗記のコツ: 「胎盤がイジケる → 血管がキズつく → 全身が縮こまる」と覚えましょう。胎盤形成不全(イジケる)→ 血管内皮障害(キズつく)→ 血管攣縮(縮こまる)の流れです。 国試頻出ポイント: PIHの基本病態と、それに基づく看護介入(安静、食事、薬物、発作時対応)は毎年のように出題されます。特に「なぜ安静が必要か(子宮胎盤血流改善)」「なぜ左側臥位か(大静脈圧迫解除)」の根拠まで問われます。 出題パターン注意!: 単純な病態の知識問題に加えて、「妊娠高血圧腎症の妊婦が頭痛と視覚異常を訴えた。看護師の優先的な対応は?」という状況設定問題で、子癇前兆のアセスメントと緊急対応を問う出題が増えています。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 32歳初産婦、妊娠36週。妊婦健診で血圧156/98mmHg、尿蛋白(3+)を指摘され、妊娠高血圧腎症の診断で緊急入院となりました。患者は「昨日から頭がガンガンする。目の前がチカチカする。」と訴えています。バイタルサインは血圧164/102mmHg、脈拍92回/分、呼吸20回/分、SpO2 98%です。あなたは受け持ち看護師として、まず何をすべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! この患者は子癇前兆(頭痛、視覚異常)を呈しており、子癇発作のリスクが極めて高い状態です。
1. 環境調整: 個室、暗く静かな環境を整え、刺激を最小限にします(光・音・接触の制限)。
2. 安全確保: ベッド柵を上げ、発作時に備えて気道確保の物品(口腔エアウェイ、吸引器)を準備します。
3. モニタリング: 血圧(5~10分毎)、胎児心拍数モニター(連続)、深部腱反射(亢進していないか)、意識レベル、呼吸状態を確認します。
4. 医師への報告(SBAR): 「S: 妊娠高血圧腎症で入院中の患者。B: 先ほどから頭痛と視覚異常を訴えています。A: 血圧は164/102mmHg、尿蛋白(3+)、深部腱反射は亢進しています。R: 子癇発作のリスクが高いため、MgSO4の投与指示と発作時対応の確認をお願いします。」
5. 薬物療法の準備: 硫酸マグネシウム(MgSO4)点滴の準備と投与中の観察(呼吸数低下、腱反射消失、尿量減少に注意)。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): MgSO4投与中の呼吸抑制に注意! 呼吸数が12回/分未満、腱反射消失、尿量が25ml/時未満の場合は、中毒の可能性があるため直ちに医師へ報告し、拮抗薬である グルコン酸カルシウム (Calcium Gluconate) の準備をします。また、子癇発作時は、患者を左側臥位にし、気道確保、酸素投与、静脈路確保を迅速に行います。 看護プロトコル: 観察項目:血圧(4時間毎、急変時は随時)、尿蛋白(毎日)、体重(毎日)、浮腫の程度、深部腱反射、自覚症状(頭痛、視覚異常、上腹部痛)、胎児心拍数、子宮収縮の有無。報告基準:血圧160/110mmHg以上、尿蛋白(2+)以上、頭痛・視覚異常・上腹部痛の出現、深部腱反射亢進、胎児心拍数異常。記録のポイント:バイタルサインと自覚症状の経時的変化を具体的に記録(例:「15時、血圧162/100mmHg、『目の前がチカチカする』と訴えあり、個室へ移動し安静を保った」)。 先輩看護師の一言: 「PIHの患者さんは『自分は大丈夫』と思っていることが多いですが、症状は急変する可能性があります。『いつもと違う』をキャッチするアセスメント力が命を救います。特に『頭が痛い』『目がチカチカする』『胃のあたりが痛い』という訴えは、子癇やHELLP症候群のサインかもしれないと常に意識して観察してくださいね!」

重要概念

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