核心解説
この問題は、
切迫早産 (Threatened Premature Labor) の診断基準を正確に理解しているかを問うています。切迫早産とは、妊娠22週から36週未満(妊娠37週未満)の間に、早産になりかかる徴候(子宮収縮、頸管変化)が認められるが、まだ分娩に至っていない状態を指します。診断の3つの柱は、
①妊娠週数(22週~36週)、②規則的な子宮収縮の存在、③頸管の変化(開大・展退・短縮)です。
最重要! 「破水の確認」は、前期破水 (Premature Rupture of Membranes, PROM) または早産 (Preterm Labor) の診断に直結する所見であり、切迫早産の診断基準には含まれません。破水が確認された場合は、子宮内感染(絨毛膜羊膜炎)のリスクが高まるため、切迫早産とは全く異なる管理(感染予防、分娩誘発など)が必要となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢2「破水の確認」は、切迫早産の診断基準ではありません。
最重要! 切迫早産は「切迫(もう少しで起こりそう)」状態であり、破水は「実際に早産が開始した(またはその直前)」状態です。破水が確認された場合は、
前期破水 (PROM) または
早産 (Preterm Labor) として診断・管理されます。よって、これが正解となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①「規則的な子宮収縮の存在」は、切迫早産の診断に必須の所見です(通常、10分間に1回以上の規則的な子宮収縮)。
③「妊娠22週から36週までの妊娠期間」は、切迫早産の定義に含まれる週数です(22週以降、37週未満)。
④「頸管の開大と展退」は、子宮頸管が柔らかくなり(展退)、開き始める(開大)変化であり、切迫早産の診断基準です。
⑤「頸管長の短縮(25mm未満)」は、超音波検査で評価される重要な客観的指標です。頸管長が短縮しているほど早産リスクが高まります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
| 状態 | 定義 | 破水の有無 | 主な管理 |
|---|
| 切迫早産 | 妊娠22~36週に早産の兆候あり。分娩に至っていない | なし | 安静、子宮収縮抑制薬(リトドリンなど)、頸管縫縮術(必要時) |
| 前期破水 (PROM) | 分娩発来前に破水した状態 | あり | 感染予防(抗生物質)、妊娠週数に応じた管理(待機管理または分娩誘発) |
| 早産 (Preterm Labor) | 妊娠22週~36週に分娩が開始した状態 | あり/なし | 分娩進行の評価、必要に応じた分娩介助、新生児蘇生準備 |
概念整理: 切迫早産は「早産になりかけ」の状態。診断の3要素は「妊娠週数」「子宮収縮」「頸管変化」。破水が確認された時点で、切迫早産ではなく、前期破水または早産と診断される。この区別は看護介入(安静度、薬物療法、感染対策)に直結する。
一目で比較!:
| 項目 | 切迫早産 | 前期破水 (PROM) |
|---|
| 破水 | なし | あり |
| 子宮収縮 | 規則的(あり) | あり/なし |
| 感染リスク | 低い | 高い |
| 看護の優先 | 子宮収縮抑制・安静 | 感染予防・分娩誘発判断 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 妊娠週数の確認、子宮収縮の頻度・持続時間・強度、頸管長の測定、破水の有無(羊水漏出の有無、pHテスト)。
看護診断: 「早産のリスク状態」「胎児損傷のリスク状態(早産に伴う)」など。
計画: 安静度の確保、子宮収縮抑制薬(リトドリン塩酸塩)投与と副作用モニタリング(動悸、振戦、低カリウム血症など)、肺成熟促進のためのステロイド投与(ベタメタゾン)の準備。
実施: バイタルサイン測定、胎児心拍数モニタリング、安静の促し、感染徴候(発熱、羊水混濁)の観察。
評価: 子宮収縮の軽減、頸管長の改善、早産への移行防止。
暗記のコツ: 「切迫(切れ目なく迫っている)=もうすぐ起こりそうだが、まだ起きていない」状態。破水は「もう起きた(前期破水)」か「起きつつある(早産)」とイメージ。診断基準は「収縮+頸管変化+週数」と3点セットで覚え、「破水」は別物と区別しよう。
国試頻出ポイント: 切迫早産の診断基準、管理(子宮収縮抑制薬、安静度、ステロイド投与)、前期破水との鑑別は、毎年のように出題される重要テーマ。特に「破水の確認」が診断基準に含まれないことは、頻出の引っかけポイント!
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「妊娠30週の妊婦が規則的な腹痛を訴えて来院。内診で頸管開大2cm、超音波で頸管長20mm。看護師のアセスメントで適切なのは?」といった状況設定問題に発展。この場合は、「切迫早産の診断」→「子宮収縮抑制薬の投与」→「安静」→「ステロイド投与の準備」という判断の流れが問われる。