麻疹(はしか)に罹患した4歳の女児が入院した。医療従事者がこの女児の病室に入室する際に、標準予防策に加えて必ず実施すべき… | MyMerci
さまざまな状況にある小児と家族への看護
問題

麻疹(はしか)に罹患した4歳の女児が入院した。医療従事者がこの女児の病室に入室する際に、標準予防策に加えて必ず実施すべき感染対策はどれか。

解説
麻疹は空気感染するため、医療従事者はN95マスクを着用する必要がある。麻疹ウイルスは空気中を長時間浮遊し、感染力が極めて強いため、サージカルマスクでは不十分である。ゴーグルやガウンは体液曝露のリスクに応じて着用するが、麻疹の空気感染対策として最も優先されるのはN95マスクである。

詳細解説

核心解説 この問題は、感染経路別予防策における麻疹 (Measles)の正しい感染対策を問うています。麻疹は空気感染 (Airborne Transmission)を起こす代表的な疾患であり、空気感染予防策として最も重要なのは最重要!「N95マスク(微粒子用呼吸器)」の着用です。麻疹ウイルスは空気中を数時間にわたり浮遊し続ける性質があり、患者が咳をしたり呼吸をしたりするだけで、同じ部屋や隣接するエリアにいる感受性のある人に感染します。このため、入室するすべての医療従事者はサージカルマスクでは不十分であり、高いフィルター効率を持つN95マスク(またはそれと同等の呼吸器)の着用が必須となります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
麻疹 (Measles)は、空気感染(飛沫核感染)と接触感染の両方で伝播しますが、特に空気感染のリスクが高い疾患です。医療機関における感染対策の基本は標準予防策 (Standard Precautions)に加え、感染経路に応じた経路別予防策 (Transmission-Based Precautions)を実施することです。麻疹の場合、空気感染予防策 (Airborne Precautions)として、①N95マスクの着用、②陰圧個室への隔離、③入室時の手指衛生と個人防護具(PPE)の適切な着脱が求められます。サージカルマスクは飛沫感染対策には有効ですが、空気中の微粒子(飛沫核)を100%防ぐことはできないため、麻疹の対策には不十分です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- ②番のサージカルマスクの着用は、インフルエンザや風疹(飛沫感染)には有効ですが、麻疹(空気感染)には効果が不十分です。
- ③番のゴーグルの着用は、眼球粘膜への飛沫や血液曝露を防ぐためのもので、麻疹の空気感染予防とは直接関係がありません(ただし、気管挿管などエアロゾル発生を伴う処置時には併用が推奨される場合があります)。
- ④番のヘッドキャップの着用は、手術時の清潔保持や頭髪からの落下菌防止が目的で、感染経路予防策として麻疹に特化した対策ではありません。
- ⑤番のガウンの着用は、皮膚や衣類への血液・体液・分泌物の接触を防ぐ接触感染予防策であり、麻疹の空気感染対策として最優先されるものではありません。 関連概念の整理 (Related Concepts)
空気感染する主な疾患は麻疹、水痘 (Varicella)、結核 (Tuberculosis)の3つです。これらはすべてN95マスクと陰圧個室管理が必要です。一方、飛沫感染(風疹、ムンプス、インフルエンザ、髄膜炎菌感染症)にはサージカルマスクと個室(陰圧不要)が推奨されます。感染経路の違いをしっかり整理しておきましょう。 概念整理
- 空気感染(飛沫核感染):麻疹、水痘、結核 → N95マスク + 陰圧個室
- 飛沫感染:風疹、ムンプス、インフルエンザ、髄膜炎菌感染症 → サージカルマスク + 個室(陰圧不要)
- 接触感染:MRSA、ノロウイルス、クロストリジオイデス・ディフィシル → ガウン + 手袋 一目で比較!
感染経路代表疾患優先PPE隔離環境
空気感染麻疹 水痘 結核N95マスク陰圧個室
飛沫感染風疹 インフルエンザ ムンプスサージカルマスク個室(陰圧不要)
接触感染MRSA ノロウイルス CDガウン 手袋個室またはコホート隔離
看護過程ポイント
- アセスメント:患者の咳症状の有無、発疹の性状(麻疹ではカタル期にコプリック斑が特徴的)、ワクチン接種歴の確認。
- 看護診断:感染リスク状態(麻疹ウイルスの空気感染による他者への伝播リスク)
- 計画:N95マスクの適切な着用、陰圧個室の準備と環境整備、スタッフ全員への周知。
- 実施:入室前に手指衛生、N95マスクのフィットチェック実施、退室後のマスク廃棄と手指衛生の徹底。
- 評価:スタッフのPPE遵守状況の確認、麻疹発症者(医療従事者含む)の有無の監視。 暗記のコツ
「麻疹(はしか)は、空気に乗ってはし(走)るように広がる!」と覚えましょう。麻疹ウイルスは空気中を数時間浮遊し、同じ部屋にいなくても感染します。だからこそ「N95マスク」と「陰圧個室」が必要です。サージカルマスクは飛沫対策で「しぶき」を防ぐイメージ、N95マスクは「空気の微粒子」をキャッチするイメージで区別すると覚えやすいです。 国試頻出ポイント
看護師国家試験では、感染経路別予防策と必要な個人防護具(PPE)の組み合わせが頻出です。特に「麻疹・水痘・結核」は空気感染でN95マスク、「風疹・ムンプス・インフルエンザ」は飛沫感染でサージカルマスク、という分類は確実に覚えておきましょう。事例問題で「患者に発疹と発熱があり、感染症が疑われる。どのような感染対策をとるべきか」と問われた場合、感染経路を推定できるようにしておくことが合格への鍵です。 出題パターン注意!
「標準予防策に加えて、空気感染予防策として適切なのはどれか」→N95マスクを選ぶ。「飛沫感染予防策として適切なのはどれか」→サージカルマスクを選ぶ。このように、感染経路とPPEの組み合わせを正確に結びつける問題が繰り返し出題されています。また、「麻疹患者が使用した病室を、次の患者に使用する前にどのような処置が必要か」という応用問題も出題されるため、陰圧管理と十分な換気時間(通常は1時間以上)も併せて学習しておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
夜間、小児病棟に4歳の女児が発熱(39.2℃)と全身の発疹を主訴に救急外来を受診し、麻疹と診断されて入院しました。あなたは受け持ち看護師として、この女児の病室に入室する必要があります。女児は咳が強く、N95マスクを着用していません(年齢のため着用困難)。あなたはどのような個人防護具(PPE)を着用して入室すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察:入室前に、女児の状態(呼吸状態、発疹の範囲、咳の程度)を確認。病室が陰圧管理されているか、換気状態をチェック。
2. アセスメント:麻疹は空気感染するため、最重要! N95マスクの着用が必須。サージカルマスクでは不十分。また、咳による飛沫も飛散するため、可能であればゴーグルやフェイスシールドも併用する。
3. 報告:医師や看護師長に、女児の状態(特に呼吸状態や酸素飽和度)をSBAR(Situation-Background-Assessment-Recommendation)で報告。
4. 介入:N95マスクを着用し、手指衛生を実施して入室。必要に応じてガウンと手袋を追加(体液曝露のリスクがある場合)。女児が咳をしている場合は、可能であればサージカルマスクを着用させる(年齢的に困難な場合は、ベッド周囲にカーテンや飛沫防止策を追加検討)。
5. 評価:入室後も女児のバイタルサイン(特に呼吸数、SpO2)をモニター。発疹の増悪や呼吸困難の有無を確認。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 重要:N95マスクは着用前に必ずフィットチェック(密着確認)を行うこと。顔の形に合わないマスクでは漏れが生じ、感染防御効果が低下します。
- 麻疹は感染力が極めて強く、ワクチン未接種の医療従事者は感染リスクが高いため、ワクチン接種歴(麻疹抗体価)を確認しておくことが望ましい。
- 陰圧個室でない場合は、病室のドアを閉め、換気システムを確認。可能であればHEPAフィルター付き空気清浄機を設置する。
- 小児患者の場合、N95マスクの着用が困難なことが多いため、医療従事者のPPEを徹底し、患者のマスク着用は強制しない。代わりに、咳エチケット(ティッシュで口を覆うなど)を指導する。 看護プロトコル
- 観察項目:体温、呼吸数、SpO2、咳の頻度と性状、発疹の範囲と色調、意識レベル、水分摂取量。
- 報告基準(SBAR):S「麻疹患者の呼吸状態が悪化」B「4歳女児、麻疹と診断、入院中」A「呼吸数が増加、SpO2が92%に低下」R「酸素投与と医師の診察が必要」
- 記録のポイント:入退室時のPPE着脱状況、患者の症状経過、スタッフの感染曝露リスク評価。
- 家族への説明の留意点:麻疹は感染力が強いこと、面会制限の必要性(ワクチン未接種者は面会禁止)、予防接種の重要性をやさしく説明。 先輩看護師の一言
「感染対策は、自分自身と患者さん、そして他の患者さんを守るためにあるんだよ。麻疹(はしか)は空気感染するから、『ちょっとだけ』とか『すぐだから』と言ってサージカルマスクで入室するのは絶対にダメ!N95マスクはきちんとフィットチェックしてから使うこと。そして、陰圧個室がない場合は、ドアを閉めて換気をよくして、入る人は全員N95マスクを徹底する。『うつらない・うつさない』が私たち看護師の責任だよ。国試でも現場でも、感染経路とPPEの組み合わせは確実に覚えておいてね!」

重要概念

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