核心解説
この問題は、新生児における
RSウイルス感染症 (Respiratory Syncytial Virus Infection)の感染予防策を問うています。RSウイルスは、乳幼児、特に新生児や早産児に重篤な
細気管支炎 (Bronchiolitis)や
肺炎 (Pneumonia)を引き起こす主要な病原体です。感染経路を正確に理解し、適切な予防策を選択することが看護師に求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
RSウイルスの主な感染経路は、
最重要! **飛沫感染 (Droplet Transmission)** と **接触感染 (Contact Transmission)** です。
- **飛沫感染**: 感染者の咳やくしゃみによる飛沫(約5μm以上の粒子)を吸入することで感染します。
- **接触感染**: ウイルスが付着した手指や医療機器、玩具、寝具などを介して感染します。RSウイルスは環境表面で長時間生存することが知られています。
したがって、適切な予防策は、飛沫感染対策(サージカルマスクの着用、患者の個室隔離またはコホーティング(集団隔離))と接触感染対策(手袋・ガウンの着用、手指衛生の徹底、患者専用の器具使用)を**併用**することです。これらは「RSウイルス感染対策ガイドライン」でも推奨される標準的な方法です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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混同注意! **①番「標準予防策のみ」**: 標準予防策 (Standard Precautions) はすべての患者に適用される基本ですが、RSウイルスのような特定の病原体には、感染経路別予防策 (Transmission-Based Precautions) を追加する必要があります。「標準予防策のみ」では飛沫や接触による伝播を完全には防げません。
- **②番「個室隔離は不要」**: 飛沫感染対策の基本は個室隔離です。新生児は免疫力が未熟で重症化リスクが高いため、個室隔離またはコホーティングによる空間的隔離が必要です。この選択肢は誤りです。
- **③番「空気感染対策のみ」**: 空気感染 (Airborne Transmission) は、結核や麻疹、水痘などのように、空気中に長時間浮遊する小さな粒子(飛沫核)を吸入することで起こります。RSウイルスは空気感染しないため、N95マスクや陰圧室は必要ありません。これが最大の誤解ポイントです。
- **⑤番「飛沫感染対策のみ」**: 飛沫感染対策だけでは、接触感染による伝播(例: 看護師の手指を介した感染)を防げません。RSウイルス対策には両方の対策が不可欠です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
感染予防策の階層を理解しましょう。
1. **標準予防策**: すべての患者に適用(手指衛生、手袋、ガウン、マスクなど)。
2. **感染経路別予防策**: 病原体の主な感染経路に応じて追加。
- **接触感染予防策**: MRSA、RSウイルス、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症など。
- **飛沫感染予防策**: インフルエンザ、RSウイルス、風疹、ムンプス、髄膜炎菌性髄膜炎など。
- **空気感染予防策**: 結核、麻疹、水痘、播種性帯状疱疹など。
混同注意! **RSウイルスとインフルエンザ**はどちらも飛沫感染と接触感染が主体です。一方、**麻疹 (Measles)** や**水痘 (Varicella)** は空気感染も加わるため、より厳格な予防策(N95マスク、陰圧室)が必要です。
概念整理: RSウイルス感染症の予防策は、**飛沫感染対策 + 接触感染対策**の併用が基本です。空気感染対策は不要です。
一目で比較!:
| 感染経路 | 代表的な疾患 | 予防策 |
| 飛沫 + 接触 | RSウイルス、インフルエンザ | サージカルマスク、手袋、ガウン、個室 |
| 空気 | 結核、麻疹、水痘 | N95マスク、陰圧個室 |
| 接触のみ | MRSA(創部感染) | 手袋、ガウン、専用器具 |
看護過程ポイント:
- **アセスメント**: 新生児の呼吸状態(呼吸数、陥没呼吸、SpO2、喘鳴)を頻回に観察。母親の感染状況や面会者の健康状態も確認。
- **看護診断**: 【感染リスク状態】/【気道クリアランスの非効果的】/【非効果的呼吸パターン】
- **計画**: 飛沫+接触感染対策の徹底。バイタルサイン、酸素飽和度モニタリング。必要に応じた酸素療法、吸引、吸入の準備。
- **実施**: パリビズマブ(シナジス)の予防投与(特にハイリスク児)の確認と実施。
- **評価**: 感染が他の新生児やスタッフに伝播していないか、患児の呼吸状態が安定しているかを評価。
暗記のコツ: 「RSウイルスは『飛沫で飛び、手で触る』」と覚えましょう。飛沫感染と接触感染の両方を対策するイメージです。
国試頻出ポイント: 「感染経路と予防策の組み合わせ」は頻出。RSウイルスは小児看護学・新生児看護の定番問題です。空気感染と混同しないように注意。
出題パターン注意!: 「新生児室でRSウイルス感染が発生。看護師の行動で適切なのはどれか?」のような状況設定問題で出題されることが多いです。例えば「ガウンと手袋を着用する」「患者を個室に移動する」「N95マスクを着用する(これは誤り)」など。