2歳の男児が、誤ってボタン電池を飲み込んだ可能性があり、母親に連れられて小児科外来を受診した。母親は「30分前に部屋で遊… | MyMerci
さまざまな状況にある小児と家族への看護
問題

2歳の男児が、誤ってボタン電池を飲み込んだ可能性があり、母親に連れられて小児科外来を受診した。母親は「30分前に部屋で遊んでいたら、口に何か入れているのを見つけました。机の上にあったボタン電池がなくなっています」と話す。男児は泣いているが、呼吸状態に異常はない。看護師の最初の対応として最も適切なのはどれか。

解説
ボタン電池の誤飲は、食道に留まると粘膜損傷や穿孔を起こす危険がある。まずX線撮影で電池の位置を確認することが最優先である。無症状でも経過観察はせず、吐かせる行為は禁忌である。

詳細解説

核心解説 この問題は、小児の異物誤飲 (Foreign Body Ingestion in Children)、特に ボタン電池 (Button Battery) の誤飲に対する初期対応を問うています。ボタン電池は食道に留まると、粘膜への圧迫壊死や電気分解による組織障害(化学熱傷)を引き起こし、穿孔 (Perforation) や瘻孔形成 (Fistula Formation) といった致死的合併症を起こす危険があります。 そのため、緊急性が極めて高く、最重要! まず腹部単純X線撮影 (Abdominal X-ray) で、食道内に留まっているか胃内に通過したかを確認することが最優先の対応となります。無症状であっても決して経過観察はせず、吐かせる行為は食道損傷や誤嚥のリスクがあるため禁忌です。 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 選択肢③ 腹部単純X線撮影の準備をする が正解です。ボタン電池はX線不透過性であるため、X線写真で位置を正確に特定できます。 この情報をもとに、緊急内視鏡的除去(食道に留まっている場合)または経過観察(胃内に通過し無症状の場合)の判断が行われます。まず画像検査で位置を確認することが、すべての対応の第一歩です。 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意!内視鏡による除去の準備をする: X線撮影で電池の位置を確認する前には実施できません。 もし胃内に通過している場合は緊急内視鏡適応ではなく、経過観察となる可能性があります。まずは画像評価が優先です。 ② 牛乳を飲ませて様子をみる: 牛乳の摂取は食道損傷のリスクを軽減せず、むしろ診断や処置の妨げになる可能性があります。 誤飲直後の食物や水分の経口摂取は原則として禁止です。 ④ 吐かせるために咽頭を刺激する: 禁忌行為です! ボタン電池が食道内にある場合、吐かせることで食道粘膜を二次的に損傷させたり、気道に詰まらせて窒息を引き起こす危険があります。経過観察のため帰宅を指示する: 危険です! ボタン電池の誤飲は緊急対応が必要な事態です。無症状でも食道障害が進行する可能性があり、帰宅させることはできません。 関連概念の整理 (Related Concepts): ボタン電池の誤飲と、混同注意! 硬貨(コイン)や玩具の誤飲は、ボタン電池とは異なり、食道通過障害がなければ経過観察となることもあります。しかし、ボタン電池は化学損傷(腐食性損傷)を起こすため、全てのケースで医療機関での評価が必須です。特に食道入口部や中部で停滞しやすいため、X線で確認し、食道内であれば24時間以内の緊急内視鏡除去が推奨されます。 概念整理: ボタン電池誤飲の病態は、電気分解による水酸化ナトリウム生成→アルカリ腐食→組織壊死→穿孔というメカニズムです。陰極側(-)で水酸化物イオン(OH-)が発生し、組織を溶解します。発症から2時間以内でも深刻な損傷が生じることがあり、迅速な対応が生命予後を左右します。 一目で比較!:
異物の種類主なリスク初回画像診断初期対応
ボタン電池化学熱傷・穿孔必須:腹部単純X線緊急内視鏡準備
硬貨・玩具窒息・閉塞必要に応じて無症状なら経過観察も
鋭利なもの(針・画鋲)穿孔・出血必須:X線緊急内視鏡・外科相談
看護過程ポイント: - アセスメント: 誤飲した物の種類・形状・個数・経過時間、子どもの呼吸状態・喘鳴・嘔吐・流涎の有無、母親の観察情報の正確性。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「誤嚥リスク状態 (Risk for Aspiration)」「外傷リスク状態:食道穿孔 (Risk for Injury: Esophageal Perforation)」「非効果的気道クリアランス (Ineffective Airway Clearance)」。 - 計画・実施: 速やかなX線撮影の準備(前処置は不要)、内視鏡・外科医への連絡体制確保、患児の安全確保(抑制や体位保持の検討)、母親への不安緩和と今後の流れの説明。 - 評価: X線で食道内確認→緊急内視鏡へ。胃内通過かつ無症状なら24~48時間の入院観察と排便確認。 暗記のコツ: 「ボタン電池が来たら、まずはレントゲン(X線)!」 と覚えましょう。最重要! ボタン電池は金属部分がありX線に写る(不透過性)ので、「X線撮影で位置確認が最優先」です。混同注意! 吐かせる・牛乳を飲ませるは絶対にしない。理由は「食道損傷」と「誤嚥」の危険があるからです。 国試頻出ポイント: この問題の形式は、「異物誤飲の初期対応の優先順位」を問う出題です。最重要! 特にボタン電池と硬貨の管理の違い、無症状でも絶対に帰宅させないこと、吐かせる行為の禁忌がよく問われます。状況設定問題では、「母親が『子どもが元気だから大丈夫ですか』と聞いてきた時の看護師の対応」などに発展します。 出題パターン注意!: 「誤飲発見から来院までの時間」や「具体的な症状の有無」が事例として追加され、判断を問われる問題に注意! 例えば、「発見から1時間、無症状、X線で胃内に確認→経過観察入院が適切」「発見から30分、喘鳴あり、X線で食道中部に確認→緊急内視鏡除去が適切」のように、状況に応じたアセスメントが求められます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 2歳男児、A君がボタン電池誤飲の疑いで救急外来に来院しました。母親は「30分前、机の上にあったリモコンの電池がない。口に入れたみたい」と不安そうに話します。A君は泣いているものの、呼吸は安定しており、喘鳴や流涎、咳嗽はありません。バイタルサインは正常範囲内です。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察 (Observation): 呼吸状態(喘鳴・陥没呼吸・努力呼吸の有無)、咳嗽の有無、嘔吐や吐血の有無、顔色・口唇色、流涎の有無、腹部膨満の有無。 2. アセスメント (Assessment): 「誤飲から30分経過。現在無症状だが、ボタン電池が食道に停滞している可能性は否定できない。食道穿孔のリスクを考慮し、緊急対応が必要」と判断します。 3. 報告 (Report: SBAR): 「S(状況): 2歳男児、30分前にボタン電池誤飲の可能性。現在無症状。B(背景): 母親が口に入れているのを目撃。A(アセスメント): 食道損傷のリスクが高いため、X線による位置確認と緊急内視鏡の準備が必要。R(提案): 腹部単純X線のオーダーと、内視鏡可能な消化器内科・外科へのコンサルトをお願いします。」 4. 介入 (Intervention): 指示に基づき腹部単純X線撮影を準備。 前処置は不要。患児を仰臥位で固定し、防護衣を着用。母親には「X線で電池の場所を確認します。その後、医師が治療方針を決めます」と説明し、不安を軽減します。飲食は絶飲食とします。 5. 評価 (Evaluation): X線で食道内に確認→緊急内視鏡除去の準備。胃内通過→入院観察(絶飲食・バイタルサイン・腹部症状・便中排出口の確認)へ。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 絶対禁忌:吐かせる行為、経口摂取(牛乳・水・食物すべて) - 誤嚥防止:泣いている児の抑制に注意。急に動いて内視鏡や吸引チューブに衝突しないよう安全な体位を確保。 - 母親への説明:経過観察の重要性(たとえ胃内通過しても、遅発性穿孔のリスクがあるため数日間の入院観察が必要な場合がある)。 看護プロトコル: - 観察項目: バイタルサイン、SpO2、呼吸音、腹部症状(疼痛・嘔吐・腹部膨満・吐血・下血)、便中の異物確認。 - 報告基準 (SBAR): 上記参照。特に呼吸状態の悪化や腹痛の訴えがあれば即時報告。 - 記録のポイント: 誤飲した物の種類・形状・個数・色、誤飲した時刻、来院時の症状の有無、X線結果、医師の指示内容、母親への説明内容。 - 家族への説明の留意点: 「ボタン電池はとても危険です。たとえ元気に見えても、食道に引っかかると穴が開く可能性があります。まずはX線で場所を調べます。もし食道にあればすぐに内視鏡で取り出します。胃の中なら、しばらく入院して経過を見ます。自宅では何も食べさせないでください。」と、簡潔かつ具体的に伝えます。 先輩看護師の一言: 「ボタン電池の誤飲は、『見た目は元気』が一番危ないです!国試の勉強では『まずはX線!吐かせるな!絶飲食!』の3つを絶対に覚えてください。現場では、母親が『元気だから帰りたい』と言うこともあります。そんな時こそ、私たち看護師が『危険だから入院が必要です』としっかり説明できる知識とコミュニケーション力が求められます。この問題はまさにその基礎です!」

重要概念

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