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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題
2歳の男児が、自宅でテーブルクロスを引っ張り、上のやかんから熱湯を浴びて受傷した。来院時、全身の約15%に及ぶ熱傷(深達度II度)を認め、顔面と気道周囲にも熱傷がある。この患児で最も注意すべき合併症はどれか。
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1
低体温の進行
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2
熱傷部からの大量出血
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3
気道浮腫による上気道閉塞
✓ 正解
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4
頭蓋内圧亢進
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5
急性腎障害
解説
顔面や頸部・気道周囲に熱傷がある場合、熱傷後の炎症反応で急速に気道浮腫が進行し、上気道閉塞を来たすリスクが高い。小児は気道が狭いため特に注意が必要であり、早期の気管挿管が検討される。低体温も問題となるが、気道閉塞は致死的な緊急事態であり優先度が高い。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。
詳細解説
核心解説
この問題は、小児熱傷における致死的合併症の優先順位を問うています。特に 顔面・頸部熱傷 (Facial and Neck Burns) では、熱傷後の 急速な気道浮腫 (Airway Edema) による上気道閉塞が最も注意すべき致死的合併症です。小児は気道が成人より狭く、少しの浮腫でも閉塞リスクが著しく高まります。深達度II度の熱傷であっても、顔面の熱傷は 最重要! 気道熱傷の可能性を示唆するため、気道確保 (Airway Management) が最優先となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
熱傷による炎症反応で、気道粘膜が浮腫を起こし、上気道閉塞を来たします。小児(2歳)は解剖学的に喉頭・気管が狭く、軟らかいため、成人よりも急速に閉塞が進行します。最重要! 気道閉塞は「サイレントキラー」であり、呼吸音の低下や喘鳴、酸素飽和度低下に気づいた時には手遅れになることもあります。そのため、顔面熱傷の症例では、早期の予防的気管挿管が検討されることが多いです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の低体温の進行:広範囲熱傷では体温調節機能が破綻し低体温も起こりますが、致死的緊急性は気道閉塞に劣ります。②番の熱傷部からの大量出血:II度熱傷では毛細血管透過性亢進による滲出液が主体で、大量出血は稀です。④番の頭蓋内圧亢進:熱傷そのものでは通常起こらず、低酸素脳症や頭部外傷合併時などに限定されます。⑤番の急性腎障害:熱傷後の循環血液量減少による腎前性腎不全は後期に問題となりますが、急性期の致死的合併症として優先度は気道閉塞が上です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
熱傷の深達度と全身管理の優先順位を整理しましょう。I度(表皮のみ)→ II度(真皮まで)→ III度(全層)と深くなるほど、気道熱傷のリスク評価と輸液蘇生が重要になります。また、熱傷面積の評価は「9の法則」や小児では「手掌法」が用いられます。本例の15%は中等度熱傷であり、顔面を含むことから気道管理の優先順位が極めて高いと判断されます。
概念整理: 小児熱傷の急性期管理で最も優先すべきは気道確保(A:Airway)→ 呼吸(B:Breathing)→ 循環(C:Circulation)のABCアプローチです。顔面熱傷では特に気道浮腫を疑い、声のかすれ・喘鳴・咳嗽を観察します。
一目で比較!: 熱傷面積評価の「9の法則」と小児の手掌法:成人は頭頸部9%、体幹前面9%×2などですが、小児は頭部が大きく下肢が小さいため、頭頸部18%、片脚13.5%など補正が必要です。
看護過程ポイント: アセスメント(観察)→ 呼吸数、SpO2、喘鳴・陥没呼吸、声のかすれの有無。看護診断 → 「気道クリアランスの低下」または「非効果的呼吸パターン」。計画・実施 → 酸素投与準備、挿管セット準備、医師への即時報告。評価 → 呼吸状態の安定化確認。
暗記のコツ: 「顔面熱傷=気道確保が最優先!」と覚えましょう。「顔が焼けたら、まず空気の通り道」と語呂合わせで。また「小児は気道が狭く、浮腫で詰まりやすい」という解剖学的特徴もセットで。
国試頻出ポイント: 熱傷の合併症(特に気道熱傷とショック)と、その優先順位を問う出題は頻出です。特に「小児」「顔面」「気道周囲」のキーワードに注目。また「低体温」や「感染」との優先順位の比較もよく出ます。
出題パターン注意!: 単純知識問題として「顔面熱傷で最も注意すべき合併症は?」と出題されるほか、状況設定問題では「受傷後30分で喘鳴が出現した。看護師の第一対応は?」と発展して問われることがあります。常に「気道確保 → 酸素投与 → 医師報告」の流れを意識しましょう。
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
2歳男児、顔面と体幹前面に熱傷(II度、約15%)で救急外来へ搬送。母親が「テーブルクロスを引っ張ってやかんの熱湯がかかった」と説明。来院時、泣いているが声はかすれ気味。SpO2 97%(room air)、呼吸数30回/分、陥没呼吸なし。看護師として、最も優先すべき観察項目と行動を考えてください。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! 観察(アセスメント)→ 呼吸状態の継続的評価(呼吸数、陥没呼吸、喘鳴、声のかすれ、SpO2、意識レベル)。声のかすれや喘鳴が出現した場合は、気道閉塞の緊急サイン! 直ちに医師へ報告し、酸素投与(マスク・バッグバルブマスク)と気管挿管の準備を行います。報告はSBAR形式で「S:顔面熱傷の2歳児、S:声がかすれ喘鳴が出現、B:気道浮腫の進行を疑う、A:酸素投与と挿管準備を依頼、R:至急評価を」と伝えます。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
熱傷治療では、二次的な合併症(低体温、感染、循環不全)にも注意が必要ですが、気道閉塞は数分で生命を脅かすため、常に最優先。また、小児の場合は鎮静下での挿管リスクも考慮し、医師と緊密に連携。さらに、熱傷部の冷却や被覆管理も並行して行いますが、呼吸状態が不安定な場合は、呼吸管理を優先し、熱傷処置は後回しにすることもあります。
看護プロトコル: 観察項目:呼吸数(正常小児2歳:25~35回/分)、SpO2(目標95%以上)、喘鳴・陥没呼吸の有無、声のかすれ、咳嗽の性状。報告基準:喘鳴出現、SpO2 92%未満、呼吸数40回/分以上または20回/分未満、意識レベル低下。記録ポイント:観察時刻と所見、医師への報告内容と指示内容、実施した処置と患者反応。家族説明の留意点:母親へは「今はお子さんの呼吸が一番大事です。先生と一緒にしっかりケアしますね」と安心させながら、挿管の必要性を説明する場合があることを伝える。
先輩看護師の一言: 「小児の熱傷で一番怖いのは、見た目の傷よりも『気道が詰まること』です。顔にやけどをした子を見たら、まず呼吸の音を聴いて、声の様子をチェック!『さっきまで泣いてたのに静かになった』は危険信号です。すぐにDrコール!これが命を救う第一歩です。」
重要概念
- 気道熱傷 — 熱傷が気道粘膜に及んだ状態で、急速な浮腫による上気道閉塞が致命的合併症となる。顔面熱傷や頸部熱傷で強く疑う。
- 深達度II度熱傷 — 真皮まで達する熱傷。水疱形成と強い疼痛が特徴で、毛細血管透過性亢進による滲出液が生じる。
- 小児の解剖学的特徴 — 小児は成人に比べて気道が狭く、喉頭が前方に位置するため、浮腫による閉塞リスクが高い。
- ABCアプローチ — 救急蘇生の基本で、Airway(気道確保)→ Breathing(呼吸)→ Circulation(循環)の優先順位で評価・介入を行う。
- 手掌法 — 患者自身の手掌(手指を含む)の面積が体表面積の約1%に相当することを利用して熱傷面積を簡易評価する方法。小児で有用。
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