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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

生後2週の新生児が、哺乳力低下と体温上昇を主訴に来院した。体温38.5℃、心拍数180回/分、呼吸数60回/分。顔色は不良で、末梢冷感を認める。この新生児の状態として最も注意すべき病態はどれか。

解説
新生児期の哺乳力低下、発熱、頻脈、頻呼吸、末梢循環不全は、新生児敗血症を示唆する重要な徴候である。新生児は免疫機能が未熟であり、感染症が急速に重症化するため、血液培養検査と抗菌薬投与を含む早期の治療介入が必要である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、新生児期(Neonatal Period)特有の症状から、最も注意すべき重篤な病態をアセスメントする能力を問うています。新生児は免疫機能が未熟であり、感染症が急速に全身性に進行するリスクが極めて高いです。特に、哺乳力低下(Poor Feeding)発熱(Fever)頻脈(Tachycardia)頻呼吸(Tachypnea)末梢冷感(Cool Periphery)は、全身性炎症反応症候群(SIRS)から敗血症(Sepsis)へと進行している可能性を示す、極めて重要なサインです。新生児敗血症(Neonatal Sepsis)は、発見と治療開始が遅れると、敗血症性ショック(Septic Shock)や播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こし、生命予後を大きく左右するため、最重要な鑑別疾患となります。 1. 核心概念の分析: この問題の核心は、非特異的な症状の組み合わせから、生命を脅かす全身性感染症を疑う臨床推論(Clinical Reasoning)です。新生児の体温調節中枢は未熟で、感染症に対して高体温だけでなく低体温を示すこともあり、症状は多様です。しかし、哺乳力低下は新生児の不調を示す最も敏感な指標の一つです。これに循環不全を示唆する頻脈・末梢冷感が加わることで、敗血症(Sepsis)の可能性が非常に高まります。 2. 正解の根拠: ① 新生児敗血症(Neonatal Sepsis)が正解です。問題文の症状(哺乳力低下、発熱、頻脈、頻呼吸、顔色不良、末梢冷感)は、新生児の全身性感染症において典型的に見られる所見です。特に、末梢冷感と頻脈は、代償性ショック(Compensated Shock)の徴候であり、循環血液量の維持が困難になりつつある状態を示しています。早期の血液培養採取と経験的抗菌薬(Empiric Antibiotics)投与、そして全身管理が必須です。 3. 誤答の分析: - ② 混同注意! 新生児一過性多呼吸(Transient Tachypnea of the Newborn, TTN)は、主に出生直後~24時間以内に見られる呼吸障害で、肺液の吸収遅延が原因です。本例は生後2週であり、発熱や末梢循環不全を伴わないため、不適切です。 - ③ 新生児メレナ(Melena Neonatorum)は、新生児期の消化管出血(黒色便)を指します。問題文に吐血や血便の記載はなく、感染徴候の説明が主であるため、病態が合致しません。 - ④ 先天性胆道閉鎖症(Biliary Atresia)は、胆汁うっ滞による持続性の黄疸(灰白色便)と肝腫大が主症状です。感染徴候や哺乳力低下を初発症状とすることは稀です。 - ⑤ 先天性心疾患(Congenital Heart Disease)は、チアノーゼや心雑音、哺乳時の呼吸困難などが主症状ですが、発熱を伴うことは通常ありません。本例のような急性の感染徴候を説明できません。 4. 関連概念の整理: 新生児敗血症の診断には、血液培養(Blood Culture)がゴールドスタンダードです。また、CRP(C反応性蛋白)プロカルシトニン(Procalcitonin, PCT)などの炎症マーカーが上昇します。予防には、B群溶血性連鎖球菌(GBS)スクリーニングと分娩時の予防的抗菌薬投与が重要です。
概念整理: 新生児の非特異的症状 → 敗血症を疑う!
- 哺乳力低下、元気がない(活気不良)
- 体温異常(発熱または低体温)
- 頻脈、頻呼吸
- 末梢循環不全(皮膚の斑紋、末梢冷感、CRT延長)
- 黄疸の出現・増悪
これらの症状が一つでも見られたら、最重要 敗血症を疑い、直ちに医師へ報告する。
一目で比較!: 新生児の呼吸困難の鑑別
疾患発症時期主症状発熱の有無
新生児敗血症生後数日~数週哺乳力低下、頻脈、末梢冷感あり(または低体温)
新生児一過性多呼吸出生直後~24時間多呼吸、呻吟、軽度の低酸素血症なし
先天性心疾患生後早期チアノーゼ、心雑音、哺乳困難なし(感染合併時を除く)

看護過程ポイント: 新生児敗血症の看護
- アセスメント: バイタルサイン(特に体温と心拍数)の頻回測定、末梢循環(皮膚色、CRT、足背動脈触知)、哺乳状態の観察。
- 看護診断: 【感染リスク状態】/ 【ショックリスク状態】/ 【非効果的母乳哺育】
- 計画・介入: 医師の指示に基づき、抗菌薬の確実な投与、輸液管理(ルート確保と輸液ポンプ管理)、保温(サーモケア)。呼吸状態の悪化に備え、酸素投与と呼吸補助の準備。
- 評価: 症状の改善(体温の正常化、哺乳力の回復、末梢循環の改善)。
暗記のコツ: 「新生児敗血症のキーワードは『ムラサキ』」と覚えましょう。
- :哺乳力低下
- :体温異常(Raise / Low)
- :酸素化不良(頻呼吸、SpO2低下)
- :循環不全(Ketsueki junkan fuzenshou)
国試頻出ポイント: 新生児の状態を評価する問題では、必ず「哺乳力低下」と「活気の有無」に注目すること。これらは最も早期の異常サインです。また、発熱がなくても低体温(36.0℃以下)は敗血症の重要な徴候です。
出題パターン注意!: 事例問題で「生後◯日の新生児が哺乳力低下と体温上昇で来院。看護師の最初の対応は?」と出題された場合、最重要な対応は「バイタルサイン測定と全身状態の観察(特に呼吸循環状態)」と「直ちに医師へ報告」です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ: あなたは新生児室の看護師です。生後10日の女児が、母親から「母乳をあまり飲まなくなった。なんとなく元気がない」と訴えられ来院しました。バイタルサインを測定すると、体温38.2℃、心拍数182回/分、呼吸数64回/分、SpO2 96%(室内気)。顔色は蒼白で、皮膚を観察すると斑紋(Mottling)が見られ、末梢は冷たく、毛細血管再充満時間(CRT)は4秒でした。 看護介入と判断戦略:
1. 観察: 直ちに全身状態を評価します。最重要 呼吸状態(努力呼吸の有無)、循環状態(脈拍の強さ、血圧、CRT)、神経状態(啼泣の強さ、筋緊張)をSystematicに観察します。SpO2モニターと心拍数モニターを装着します。
2. アセスメント: 「哺乳力低下 + 発熱 + 頻脈 + 頻呼吸 + 末梢循環不全」は、新生児敗血症による代償性ショック(Compensated Shock)とアセスメントします。呼吸数増加は代謝性アシドーシスに対する代償である可能性も考慮します。
3. 報告(SBAR): 医師へ「S(状況): 生後10日女児、哺乳力低下と発熱。B(背景): 特記事項なし。A(アセスメント): 敗血症による代償性ショックを疑います。R(勧告): 至急診察と血液培養、抗菌薬投与の指示をお願いします。」と報告します。
4. 介入: 医師の指示のもと、静脈路を確保し、輸液(維持輸液+バックアップ)を開始します。抗菌薬(アンピシリン+ゲンタマイシン or セフォタキシム)の投与を準備します。体温管理(クーリングまたは保温)を実施し、呼吸状態が悪化した場合に備えて酸素投与と呼吸補助の準備を行います。 患者安全・注意事項:
- 敗血症性ショックへの進行に注意。血圧が低下し始めたら非代償性ショック(Decompensated Shock)であり、急速に状態が悪化します。
- 感染対策として、標準予防策(Standard Precautions)を徹底し、必要に応じて接触感染予防策を追加します。
- 家族への説明:母親に「赤ちゃんが感染症を起こしている可能性があります。今から検査と治療を始めます。」と状況を簡潔に伝え、不安を軽減するよう努めます。
看護プロトコル: 新生児敗血症疑い時の観察・報告基準
- 観察項目: バイタルサイン(最低30分~1時間毎)、SpO2、CRT、尿量(おむつの湿り具合)、血糖値(低血糖のリスク)、哺乳状態。
- 報告基準(SBAR): 上記参照。
- 記録のポイント: 症状出現時刻と経過、実施したケアとその反応を詳細に記録する。
先輩看護師の一言: 「新生児の『なんとなくおかしい』は、大人の急変と同じくらい怖いサインです。『母乳を飲まない』『元気がない』という母親の言葉を決して見逃さないでください。それが敗血症の最初のSOSかもしれません。バイタルサインをしっかり測って、全身を観察する。それがあなたの最初の使命です!」

重要概念

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