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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

7歳の女児が、学校で突然意識を失い倒れた。教師の話では、数秒間全身が硬直した後に、四肢をガクガクと震わせるような動きがあったという。発作は約3分で自然に停止し、現在は意識が混濁している。この女児の状態として最も考えられるのはどれか。

解説
全身の硬直(強直相)に続いて四肢の律動的な震え(間代相)がみられる発作は、全般性強直間代発作の典型的な経過である。発作後は意識混濁(発作後状態)がみられる。7歳の熱性痙攣は通常6歳までであるため、熱性痙攣の可能性は低い。初回発作であっても、脳波検査や画像検査が必要である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、小児のてんかん (Epilepsy)発作のうち、最も典型的な全般性発作 (Generalized Seizure)の病態と症状を問うています。発作の経過を正確に分析できるかが鍵となります。

核心概念の分析 (Key Concept)
この問題の核心は、発作の種類をその経過と症状から鑑別することです。特に、発作の起始部位と症状の広がり方が重要です。
1. 発作の経過: 「全身が硬直(強直相)」→「四肢をガクガク震わせる(間代相)」という順序は、全般性強直間代発作 (Generalized Tonic-Clonic Seizure; GTCS)の典型的なパターンです。
2. 発作後の状態: 発作後、意識が混濁している(発作後状態 / Postictal State)こともGTCSの特徴です。
3. 発作の持続時間: 約3分で自然に停止した点も、GTCSの一般的な経過に合致します(長時間続く場合はてんかん重積状態 (Status Epilepticus)として緊急対応が必要)。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ④番の全般性強直間代発作 (Generalized Tonic-Clonic Seizure)は、意識消失とともに全身の筋が強直(硬直)し、その後、四肢や体幹が律動的に間代(けいれん)する発作です。発作後には深い眠りや意識混濁(発作後状態)がみられることが多く、本例の症状と完全に一致します。看護師は、発作の観察項目(発作の起始部位、経過、持続時間、意識レベル、発作後の状態)を正確に記録することが求められます。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- ①番 複雑部分発作 (Complex Partial Seizure / Focal Impaired Awareness Seizure): 意識障害はみられますが、部分発作であるため症状は身体の一部(例:口唇の自動症、手の動き)に限局することが多く、全身の強直・間代はみられません。本例の「全身の硬直」と矛盾します。
- ②番 失神発作 (Syncope / Fainting): 一過性の全脳虚血による意識消失で、けいれんを伴うこともありますが、通常は数秒~数十秒で回復し、発作後の意識混濁が長く続くことは稀です。また、全身の律動的な震え(間代相)を伴うことは通常ありません。
- ③番 熱性痙攣 (Febrile Seizure): 通常、生後6ヶ月から6歳未満の小児に、高熱(38℃以上)に伴って起こる発作です。7歳の女児であり、発熱の記載がないため、熱性痙攣の可能性は極めて低いです。
- ⑤番 点頭発作 (Infantile Spasms / West Syndrome): 乳児期(通常3~12ヶ月)に発症し、首や体幹が突然、前屈する発作(鞠躬発作 / サラーム発作)を特徴とします。7歳でみられることはなく、症状も本例とは全く異なります。

関連概念の整理 (Related Concepts)
てんかん発作は大きく全般発作 (Generalized Seizure)部分発作 (Focal Seizure)に分類されます。全般発作は両側大脳半球が同時に異常興奮することで起こり、部分発作は大脳の一部から始まります。GTCSは全般発作の代表例であり、発作中の観察(意識、瞳孔、呼吸、皮膚色、発作の起始・経過・持続時間)と発作後のケア(気道確保、安全確保、安静、観察)が看護の基本です。鑑別診断として、心原性失神や熱性痙攣、てんかん重積状態を常に念頭に置く必要があります。

概念整理: てんかん発作の分類
分類特徴代表例
全般発作両側大脳半球が同時に異常興奮。意識消失を伴う。全般性強直間代発作 (GTCS)、欠神発作
部分発作大脳の一部から始まり、意識障害の有無で単純/複雑に分類。単純部分発作(焦点性発作)、複雑部分発作(意識減損焦点性発作)

一目で比較!: GTCS vs 失神 vs 熱性痙攣
特徴GTCS失神熱性痙攣
原因脳の異常放電脳血流低下発熱(生後6ヶ月~6歳)
発作の経過強直相→間代相急な意識消失(通常けいれんなし)強直間代発作が多い
持続時間通常1~3分数秒~数十秒通常5分以内
発作後状態意識混濁(数分~数時間)速やかに意識回復傾眠傾向(30分~1時間)

看護過程ポイント: 発作時の看護
- アセスメント: 発作の前兆(オーラ)、起始部位、経過、持続時間、意識レベル、呼吸状態、顔色、瞳孔、発作後の状態(Todd麻痺の有無)。
- 看護診断: 外傷リスク状態非効果的気道クリアランス不安(患者・家族)
- 計画・実施: 安全確保(周囲の危険物除去、頭部保護、無理に押さえつけない)、気道確保(可能なら側臥位)、発作の観察・記録。必要に応じてジアゼパム (Diazepam) 静注など救急処置の準備。
- 評価: 発作の再発予防(抗てんかん薬の服用状況)、発作後の意識レベル回復、外傷の有無。

暗記のコツ: 「全身カチカチ(強直)→ ガクガク(間代)→ ぼーっとする(発作後状態)」というストーリーで覚えましょう!これがGTCSの3拍子です。

国試頻出ポイント: てんかん発作の種類と症状の組み合わせは毎年出題されます。特にGTCSと複雑部分発作、欠神発作(ぼんやりする発作)の違いは必ず押さえましょう。

出題パターン注意!: 単純な知識問題に加え、「発作中の看護で正しいのはどれか(例:無理に開口しない、側臥位にする、など)」や「発作後の対応で優先すべきことはどれか(例:安静の確保、医師への報告、検査の準備)」といった状況設定問題に発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは小児病棟の看護師です。7歳の女児が、学校で発作を起こし救急搬送されてきました。到着時、意識は混濁しており、保護者(母親)が付き添っています。学校の先生からの情報では、発作は約3分で自然に停止したとのことです。バイタルサインは、体温36.5℃、脈拍100回/分、血圧100/60mmHg、呼吸数20回/分、SpO2 98%(室内気)です。あなたはまず何を観察し、どのように介入すべきでしょうか?

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! 発作後(Postictal State)の患者への看護は、安全確保と継続的な観察が最優先です。
1. 観察 (Observation): まず 気道・呼吸・循環 (ABC) の評価を最優先します。意識レベル(Glasgow Coma Scale)、呼吸状態(努力呼吸・チアノーゼの有無)、SpO2、脈拍、血圧を確認。発作後の意識混濁は通常、時間とともに改善しますが、改善しない場合はてんかん重積状態や頭蓋内病変の可能性を考慮します。
2. アセスメント (Assessment): 学校からの情報(発作の経過)を基に、GTCSの可能性が高いとアセスメント。発熱がないことから熱性痙攣は否定。頭部外傷の有無も確認します。
3. 報告 (Report / SBAR): 医師へ SBAR で報告します。
- Situation: 「7歳女児、学校で約3分間の全般性強直間代発作後、意識混濁状態で搬送されました。」
- Background: 「てんかんの既往は不明、発熱はなし。」
- Assessment: 「GTCSの発作後状態と考えられます。現在バイタルサインは安定、呼吸状態も問題ありません。」
- Recommendation: 「経過観察と共に、精査(脳波、頭部CT/MRI)の準備を提案します。発作の再発に備え、救急カートの準備と、必要に応じてジアゼパムの指示を仰ぎたいです。」
4. 介入 (Intervention): 患者を側臥位にして気道を確保し、誤嚥を予防。周囲の安全を確保し、安静を促します。発作が再発しないか、継続的にモニタリングします。保護者への説明と不安の緩和も重要な看護介入です。
5. 評価 (Evaluation): 意識レベルの回復傾向、バイタルサインの安定、発作の再発の有無を評価します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 混同注意! 発作中の対応:無理に患者を押さえつけない。口に物を入れない(歯牙損傷や誤嚥のリスク)。
- 危険なサイン: 発作が5分以上続く(てんかん重積状態)、発作直後の意識回復がない、発作が連続して起こる、発作後に麻痺が残る(Todd麻痺の遷延)。これらは緊急対応が必要です。
- 特定集団の特殊性: 小児は成人に比べ、発作後の意識障害が長引くことがありますが、注意深く観察します。初回発作の場合は、保護者への情報提供(てんかんについて、発作時の対応、検査の必要性)が重要です。

看護プロトコル: 発作時の観察・記録ポイント
1. 発作前: 前兆(オーラ)の有無、意識レベル、顔色。
2. 発作中: 起始部位と広がり方、眼球の動き(偏位、対光反射)、強直/間代の部位と順序、持続時間、呼吸状態(チアノーゼ、呼吸停止の有無)、尿失禁・便失禁・咬舌の有無。
3. 発作後: 意識レベルの回復時間と状態、麻痺(Todd麻痺)の有無、訴え(頭痛、疲労感など)。

先輩看護師の一言: 「発作の観察は、『いつ、どこから始まって、どのように広がり、いつ終わったか』がすべてです!この情報が、医師の診断や治療方針を大きく左右します。国試でも現場でも、発作の観察ポイントは『物語を記録する』つもりで覚えましょう。焦らず、安全第一で、患者さんとご家族の不安に寄り添うことも忘れずに!」

重要概念

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