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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

4歳の女児が、熱性痙攣で救急外来に搬送された。来院時、全身性の強直間代発作が続いており、発作開始から10分が経過している。看護師の対応として適切なのはどれか。

解説
熱性痙攣でも5分以上持続する発作は、痙攣重積状態に移行するリスクがある。10分以上続く発作に対しては、速やかに抗痙攣薬(ジアゼパム静注またはダイアップ坐薬)で発作を停止させる必要がある。解熱薬は痙攣の停止には効果がなく、口に物を入れることは誤嚥や歯牙損傷のリスクがあるため禁忌である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、小児の 熱性痙攣 (Febrile Seizure) の急性期対応、特に 最重要! 痙攣重積状態 (Status Epilepticus) への移行を防ぐための看護介入を問うています。発作開始から10分が経過している時点で、自然に治まる可能性は低く、積極的な発作停止処置が必要です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 熱性痙攣 (Febrile Seizure) は、生後6ヶ月から5歳までの小児に多く、発熱に伴って生じる痙攣発作です。多くは単純性で5分以内に自然停止しますが、5分以上持続する場合は痙攣重積状態のリスクがあり、脳障害を防ぐために速やかな薬物治療が必要です。この問題では「発作開始から10分経過」という時間経過が最も重要な判断基準となります。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ④の「抗痙攣薬(ジアゼパム)の静脈内投与の準備をする」が正解です。痙攣重積状態に対しては、第一選択薬として ジアゼパム (Diazepam) の静脈内投与 (IV) が行われます。静脈路が確保できない場合は、ダイアップ坐薬 (Diazepam Rectal Tube) の使用も検討されます。看護師は医師の指示の下、速やかに投与の準備を進める役割があります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ① 口に割り箸を噛ませる:混同注意! 禁忌行為 (Contraindicated)。口腔内に物を挿入すると、歯牙の損傷や誤嚥、嘔吐反射を誘発し、かえって危険です。舌を噛むことはあっても重大な障害には至らないため、口に物を入れてはいけません。 - ② 直ちに解熱薬を坐薬で挿入する:混同注意! 解熱薬は発熱の原因に対する対症療法であり、痙攣そのものを止める効果はありません。また、痙攣中に坐薬を挿入することは刺激となり、発作を悪化させたり、肛門粘膜を損傷するリスクがあります。 - ③ 氷枕で頭部を冷却する:発熱による脳への影響を軽減するための補助的ケアですが、痙攣を停止させる直接的な効果は期待できません。優先順位は発作の停止です。 - ⑤ 発作が治まるまで経過観察する:単純性熱性痙攣で短時間(5分以内)ならこの対応もありえますが、本例は「10分経過」しているため、経過観察のみでは危険 (Dangerous) です。痙攣重積状態への移行を疑い、積極的に介入する必要があります。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 熱性痙攣は単純性と複雑性に分類されます。単純性は全身性で5分未満、24時間以内に再発しないもの。複雑性は部分発作、15分以上持続、24時間以内に再発するもの。複雑性熱性痙攣は、てんかん発症のリスクが高いため、フォローアップが必要です。また、髄膜炎 (Meningitis)急性脳症 (Acute Encephalopathy) との鑑別も重要です。
概念整理: 熱性痙攣 (Febrile Seizure) は発熱に伴う良性の痙攣だが、5分以上の持続は痙攣重積 (Status Epilepticus) と捉え、積極的な抗痙攣薬投与が必要。痙攣中の安全確保は、気道確保と転落防止が優先。
一目で比較!:
状態対応
単純性熱性痙攣 (5分以内)経過観察、体位管理、解熱処置
複雑性熱性痙攣 / 痙攣重積 (5分以上)抗痙攣薬投与 (ジアゼパム静注/坐薬)、酸素投与、バイタルサイン・SpO2モニタリング

看護過程ポイント: - アセスメント: 発作の持続時間、発作型(全身性/部分性)、発熱の有無と程度、意識状態、呼吸状態、既往歴。 - 看護診断: 【非効果的気道浄化 (Ineffective Airway Clearance)】【外傷リスク状態 (Risk for Injury)】【非効果的脳組織灌流リスク状態 (Risk for Ineffective Cerebral Tissue Perfusion)】。 - 介入: 側臥位保持、気道確保、酸素投与、抗痙攣薬の準備と投与、バイタルサイン・SpO2モニタリング、静脈路確保、保護者への説明と安心感の提供。
暗記のコツ: 「痙攣はタイムアタック!」5分を超えたらジアゼパム(Diazepam)を準備。『熱性痙攣ガイドライン』では時間がすべて。
国試頻出ポイント: 痙攣発作時の看護で最も問われるのは「安全な体位(側臥位)」と「気道確保」、「口に物を入れない」という禁忌事項。そして、「5分以上続く発作への対応」が頻出の判断基準。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(口に物を入れるのは禁忌か?)から、事例問題へ発展。「5分経過」「10分経過」「意識が戻らない」「呼吸が不安定」などの情報から、優先すべき看護介入を選択させる問題が頻出。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 夜間、4歳の女児が39.5℃の高熱とともに全身痙攣を起こし、救急外来に搬送されました。母親は「初めてのことで怖くて何もできなかった」とパニック状態です。来院時、女児は全身を硬直させ、手足をガクガクと動かしており、呼びかけに反応しません。バイタルサインは、HR 150回/分、SpO2 96%(室内気)。発作開始からすでに10分が経過しています。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 最重要! 観察 → アセスメント → 報告: まず、発作の持続時間(10分経過)を医師に報告し、痙攣重積状態の可能性を伝えます。同時に、側臥位 (Lateral Position) にして気道を確保し、酸素投与(5L/分、マスク)を開始します。バイタルサイン(特にSpO2)と心拍モニターを装着します。 2. 介入: 医師の指示を受け、ジアゼパム静脈内投与 (Diazepam IV) の準備をします。すでに静脈路があれば、生食でフラッシュし投与可能な状態にします。または、ダイアップ坐薬 (Diazepam Rectal Tube) を準備し、医師の指示で挿入します。 3. 評価: 薬剤投与後、発作が2〜3分以内に停止したかを確認します。発作が止まったら、再度バイタルサイン、意識レベル(JCS)、呼吸状態を評価します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 禁忌行為 (Contraindicated):口に指やタオル、割り箸などを入れない。無理に体を押さえつけない(骨折のリスク)。発作中は転落防止のためベッド柵を上げ、周囲の危険物を取り除く。投薬後は呼吸抑制に注意し、SpO2モニタリングを継続する。
看護プロトコル: SBARでの報告例:S「4歳女児、熱性痙攣で発作開始から10分経過。全身性強直間代発作継続中」 B「来院時HR150、SpO2 96%、発熱39.5℃」 A「痙攣重積状態の疑い。気道確保と酸素投与済み」 R「ジアゼパム静注の指示を仰ぎたい」
先輩看護師の一言: 「熱性痙攣の子どもを目の前にすると、親御さんは本当に怖い思いをしています。『大丈夫ですよ、一緒に落ち着かせましょうね』と声をかけながら、看護師は冷静に、時間を計り、医師に報告する。これがプロの仕事です。痙攣を見たら、まず時計を見てください。時間が何よりの判断材料です!」

重要概念

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