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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

1歳の乳児が、泣き叫んだ後に呼吸が止まり、顔色が真っ青になったというエピソードで母親が心配して来院した。来院時は機嫌良く遊んでおり、バイタルサインに異常はない。この乳児の状態として最も考えられるのはどれか。

解説
泣き入りひきつけ(憤怒痙攣)は、1〜2歳の幼児に多く、強い怒りや泣き声の後に息を止めることでチアノーゼや失神を起こす現象である。発作後はすぐに回復し、神経学的後遺症を残さない。てんかん発作とは異なり、誘因が明らかで発作後の意識回復が速やかである点が特徴である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、乳幼児期に特徴的な発作性疾患である 泣き入りひきつけ(憤怒痙攣) の鑑別を問うています。泣き入りひきつけは、強い怒りや恐怖、痛みなどの情動ストレスが誘因となり、乳児が激しく泣いた後、呼気の途中で息を止めてしまうことで生じる非てんかん性の発作です。来院時には症状が消失しており、バイタルサインも正常で、患児が機嫌良く遊んでいることから、発作後の神経学的後遺症がない良性の疾患であることが推測できます。 核心概念の分析 (Key Concept)
この問題の核心は、乳幼児期の一過性の意識消失発作の鑑別です。泣き入りひきつけは、情動ストレス→激しい啼泣→呼気停止→低酸素状態→チアノーゼ・意識消失 という一連の病態生理を理解することが鍵です。重要なのは、てんかん発作とは異なり、脳の異常な電気的興奮ではなく、単純な呼吸停止による二次的な低酸素が原因である点です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 泣き入りひきつけは、発症年齢が1~2歳頃がピークで、誘因が明確(この事例では泣き叫んだ後)であり、発作持続時間が短く(多くは1分以内)、自然に呼吸が再開し回復が速やかであることが特徴です。来院時に症状がなく機嫌良く遊んでいる状態は、この良性の経過を典型的に示しています。神経学的発達に影響を与えず、予後は極めて良好です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 乳幼児突然死症候群 (SIDS) は、睡眠中に予告なく死亡する病態であり、泣き叫んだ後に呼吸が止まり、その後回復するという経過はとりません。SIDSは致死的であり、回復することはありません。 ③ 胃食道逆流症 (GERD) は、ミルクや胃内容物の逆流による嘔吐や不機嫌が主症状で、意識消失を伴う発作を起こすことは通常ありません。 ④ 失神発作は、脳血流の一時的な低下による一過性の意識消失ですが、乳幼児では典型的な誘因として泣き入りひきつけが挙げられ、本問の状況はまさにこれに該当します。失神はあくまで症候名であり、原因疾患として泣き入りひきつけが最も考えられます。 ⑤ てんかん発作は、脳の異常な電気的活動によるもので、誘因がなく突然発症することが多く、発作後に意識がもうろうとしたり(錯乱状態)、異常行動が続くことがあります。泣き入りひきつけのように、情動ストレスが明確な誘因となることは稀であり、発作後の回復も速やかではありません。 関連概念の整理 (Related Concepts)
泣き入りひきつけには、青色型(チアノーゼ型)と蒼白型(失神型)があります。本症例のように顔色が真っ青になるのは蒼白型に近い症状ですが、泣き入りひきつけ全体として、てんかん発作との鑑別が最も重要です。発症年齢、誘因、発作中の状況、発作後の回復状態を詳細に確認することが診断の決め手となります。 概念整理
泣き入りひきつけ (Breath-Holding Spell) は、1~3歳の乳幼児に好発する、情動ストレスを契機とした非てんかん性発作です。病態は、激しい啼泣後の呼気停止による低酸素血症とそれに続く脳低酸素状態であり、自然に呼吸が再開すれば後遺症なく回復します。発症年齢、誘因、発作の持続時間と回復状態が、てんかん発作との鑑別における重要なポイントです。 一目で比較!
特徴泣き入りひきつけてんかん発作
誘因明らか(怒り・恐怖・痛み)誘因なし・または不明
発症年齢1~3歳がピーク全年齢(特に乳幼児期は多様)
発作中の状態啼泣後に呼吸停止・チアノーゼ/蒼白全身痙攣・意識消失・異常行動
発作後回復速やか・機嫌良いもうろう状態・疲労・睡眠
神経学的後遺症なし(良性)原因疾患による

看護過程ポイント
アセスメントでは、発作の状況(誘因、発作中の呼吸状態、顔色、意識、持続時間、発作後の回復状態)を母親から詳細に聴取します。看護診断としては「知識不足(母親の不安に関連)」が優先されます。看護計画では、泣き入りひきつけが良性の疾患であること、発作時の正しい対応(無理に息を吹き込まず、静かに見守る)を母親に説明し、不要な心配を軽減させることが重要です。評価は、母親が発作時の対応方法を理解し、不安が軽減されたかどうかで行います。 暗記のコツ
泣き入りひきつけは「1~3歳の幼児が、怒って泣いた後に、『息を止めて』顔色が悪くなる」と覚えましょう。キーワードは「誘因が明らか」「短時間」「自然回復」「予後良好」です。てんかん発作と混同しないように、「誘因あり=泣き入りひきつけ、誘因なし=てんかん」とイメージすると良いでしょう。 国試頻出ポイント
泣き入りひきつけは、乳幼児期の発作性疾患の鑑別問題として頻出です。特に、てんかん発作との違いを問う問題や、母親の不安への対応(看護介入)を問う状況設定問題として出題されます。発作時の正しい対応(無理に刺激しない、呼吸を促さない)と、医療機関受診のタイミング(初回発作、発作が長引く場合)も併せて覚えておきましょう。 出題パターン注意!
事例問題として、「1歳6ヶ月の女児。母親が『買い物中におもちゃを買ってもらえず、大声で泣いた後、突然顔色が青ざめ、呼びかけに反応しなくなった。数十秒で元に戻った』と来院」のような形式で出題されます。選択肢には、てんかん、SIDS、失神発作などが並びます。発作の状況説明から、泣き入りひきつけを選べるようにしておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド この事例では、来院時には症状が消失し、患児は機嫌良く遊んでいます。臨床現場での看護師の役割は、母親の不安を軽減し、正しい知識を提供することです。 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
1歳の乳児が、母親に連れられて小児科外来を受診しました。母親は「スーパーでお菓子を買ってもらえず、大声で泣きわめいた後、突然息を止めたようになり、顔色が真っ青になりました。その後、30秒ほどで元に戻りましたが、すごく怖くなってすぐに連れてきました」と不安そうに話します。来院時のバイタルサインは正常で、患児は機嫌良く外来の待合室で遊んでいます。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
まず、母親から発作の状況を詳細に聴取します(観察)。次に、患児の全身状態(バイタルサイン、意識レベル、顔色、活気)を確認し、現時点で異常がないことをアセスメントします(アセスメント)。医師へSBARで報告し(S: 泣き入りひきつけ疑い、B: 発作後症状消失、A: バイタルサイン正常、R: 経過観察と母親への説明)、指示を仰ぎます。看護介入としては、母親に対して、泣き入りひきつけが良性の疾患であり、発作時の対応(落ち着いて見守る、無理に口を開けたりしない)と、予防的な対応(欲求不満を溜めさせない環境調整)を具体的に指導します(介入)。母親の不安が軽減し、正しい対応を理解したことを確認します(評価)。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
最重要! 発作中は、保護者は慌てて乳児の体を揺さぶったり、口の中に指を入れたりしないように指導します(誤嚥や窒息のリスク)。また、泣き入りひきつけが長引く場合(1分以上)や、初回発作である場合、発熱や頭部外傷を伴う場合は、脳波検査などの精査が必要になることがあるため、医療機関への相談を促します。安全面では、転倒・転落予防の観点から、発作が起きた時は安全な場所に寝かせることを指導します。 看護プロトコル
観察項目:発作の誘因、持続時間、発作中の呼吸状態・顔色・意識レベル、発作後の回復状態。報告基準(SBAR):発作の状況、患児の現在の状態(特に神経学的所見)。記録のポイント:発作のエピソード(時間、誘因、症状、経過)、母親への説明内容とその反応。家族への説明の留意点:良性疾患であることの安心感を与えつつ、注意すべき症状(発作が長引く場合、痙攣を伴う場合など)を明確に伝える。 先輩看護師の一言
「泣き入りひきつけを初めて見るお母さんは、本当に怖い思いをします。『心配しないでくださいね、よくあることなんですよ』と優しく伝え、発作が起きた時の具体的な対応を、お母さんがイメージできるように説明してあげてください。国試でも、『母親への説明』が問われることが多いので、看護師としての関わり方をしっかり覚えておきましょう!」

重要概念

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