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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

3歳の男児が熱性けいれんで救急外来に搬入された。来院時、全身性の強直間代性けいれんが持続しており、発症から20分が経過している。看護師の最初の対応として最も適切なのはどれか。

解説
熱性けいれんが15分以上持続する場合はけいれん重積状態と判断し、速やかに抗けいれん薬(ジアゼパム坐剤または静注など)を投与する必要がある。頭部冷却や体動抑制はけいれんの停止には効果がない。口腔内への異物挿入は窒息の危険があるため禁忌である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、熱性けいれん (Febrile Seizure) の中でも特に緊急性の高い けいれん重積状態 (Status Epilepticus) に対する看護師の初期対応を問うています。発症から20分経過しているという情報が非常に重要です。通常の熱性けいれんは多くの場合5分以内に自然停止しますが、15分以上持続するものは重積状態と判断され、早急な薬物治療介入が必要です。放置すると脳への低酸素状態が持続し、神経学的後遺症のリスクが高まります。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 熱性けいれんは、生後6か月から5歳までの小児に発熱に伴って生じるけいれん発作で、単純型と複雑型に分類されます。単純型は全身性発作で15分未満、24時間以内に再発しないものを指します。一方、本問のように持続時間が15分を超えるもの、部分発作や24時間以内に再発するものは混同注意! 複雑型熱性けいれんに分類され、けいれん重積状態への移行リスクが高くなります。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): けいれんが20分持続している時点で、けいれん重積状態 (Status Epilepticus) と判断します。治療の第一選択は、ベンゾジアゼピン系抗けいれん薬(ジアゼパム坐剤・静注、またはミダゾラム口腔内液など)の速やかな投与です。看護師は、医師の指示のもと、または施設のプロトコルに従い、抗けいれん薬の投与準備(静脈路の確保、薬液の準備)を最優先で行います。最重要! 発作の持続時間を短縮することが、予後改善に直結します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番:アンビューバッグでの高濃度酸素投与は、けいれんによる呼吸抑制や低酸素状態への対応として重要ですが、優先順位としては抗けいれん薬の投与が先です。けいれんを止めなければ酸素投与の効果も限定的です。発作中は気道確保に努め、SpO2をモニタリングしながら、まずは薬物で発作を止めることが優先です。 - ②番:氷枕での頭部冷却は、けいれんそのものを止める効果はなく、発熱への対応としては解熱剤の投与が優先されます。冷却による不快感が発作を誘発・増悪させる可能性もあります。 - ③番:口にタオルを噛ませる行為は絶対禁忌! 歯の損傷、窒息、誤嚥の原因となり、患者にさらなる危険を及ぼします。舌を噛むリスクよりも気道閉塞のリスクの方がはるかに高いです。 - ⑤番:患児をしっかりと抱きかかえて体動を抑制することは、かえって患児の興奮や筋緊張を高め、けいれんを増悪させる可能性があります。発作中は安全な場所(床など)に寝かせ、周囲の危険物を取り除くことが基本です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 熱性けいれんと鑑別すべき疾患として、髄膜炎 (Meningitis)急性脳症 (Acute Encephalopathy)低血糖 (Hypoglycemia)電解質異常 (Electrolyte Imbalance) などがあります。特に、意識障害が遷延する場合や、左右差のある発作、髄膜刺激徴候(項部硬直など)を伴う場合は、髄膜炎や脳症を疑う必要があります。小児のけいれん対応では、ABC(気道・呼吸・循環)の評価と同時に、発作の種類・持続時間・意識レベルの観察が極めて重要です。
概念整理: 熱性けいれん(Febrile Seizure)は、発熱に伴う良性のけいれん発作。単純型(全身性、15分未満)と複雑型(部分発作、15分以上、再発あり)に分類。けいれん重積状態は15分以上持続する発作で、緊急対応が必要。
一目で比較!:
特徴単純型熱性けいれん複雑型熱性けいれん
発作型全身性強直間代発作部分発作・全身性発作
持続時間15分未満15分以上
24時間内再発なしあり
対応経過観察・解熱処置抗けいれん薬投与・精査

看護過程ポイント: アセスメント: 発作開始時刻、持続時間、発作の種類(全身性or部分発作)、意識レベル、バイタルサイン、SpO2、血糖値。 看護診断: 「非効果的気道クリアランス」「外傷リスク状態」「非効果的脳組織灌流リスク状態」。 計画・実施: 気道確保・酸素投与、抗けいれん薬投与(医師指示)、バイタルサイン・SpO2モニタリング、発作の観察記録。 評価: 発作の停止、呼吸状態・意識レベルの回復。
暗記のコツ: 「熱性けいれん15分ルール」→ 15分を超えたら「重積状態」と覚えましょう。タイマーが鳴ったら(15分経過)「薬(抗けいれん薬)が必要」とイメージしてください。口腔内への異物挿入は「ダメ!絶対!(窒息)」と声に出して覚えましょう。
国試頻出ポイント: 熱性けいれんの定義と分類(単純型vs複雑型)、けいれん重積状態の定義と初期対応(抗けいれん薬投与の優先)、発作時の看護(異物挿入の禁止、安全確保)は毎年のように出題される必須項目です。特に「15分」という時間と「抗けいれん薬」の選択肢の組み合わせは頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「患児が来院時、けいれんは止まっているが体温39.5℃、意識はややもうろうとしている。母親は初めてのけいれんに驚いている。看護師の対応で最も適切なのはどれか。」のような状況設定問題に発展します。この場合、母親への説明と解熱処置、経過観察が優先されるなど、状況に応じた判断が求められます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 夜間の小児救急外来。3歳男児、39.8℃の発熱あり。母親が「急に白目をむいて手足をガクガクさせ始めて、もう30分近くになります」と訴え来院。診察室で全身性の強直間代発作が持続している。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! 1. 直ちに発作開始からの経過時間を確認(30分)→ 重積状態と判断。 2. 気道確保(頭部後屈・あご先挙上法、必要時口腔内吸引)、酸素投与(マスクで5L/分)、SpO2モニター装着。 3. 静脈路の確保を試みながら、同時に医師に報告:「3歳男児、熱性けいれん、発作持続30分、重積状態です。抗けいれん薬の準備をします。」 4. 医師の指示(またはプロトコル)に従い、ジアゼパム坐剤(または静注)を準備・投与。 5. 発作の経過(持続時間、左右差、眼球偏位など)を詳細に記録。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 絶対禁忌:口腔内への異物挿入、過度な体動抑制。 発作中は誤嚥に注意し、側臥位(回復体位)をとらせることが基本。酸素飽和度が低下した場合は、アンビューバッグによる補助換気も検討。けいれんが長引く場合、二次性脳障害(低酸素性脳症)を予防するために、発作の早期終息が最優先。
看護プロトコル: 観察項目: 発作の種類・持続時間・左右差・眼球偏位・意識レベル(Japan Coma Scale: JCS / Glasgow Coma Scale: GCS)・バイタルサイン(特に呼吸数とSpO2)・体温。 報告基準(SBAR): Situation(状況:3歳男児、熱性けいれん重積状態)、Background(背景:発熱、発作持続30分)、Assessment(評価:発作止まらず、SpO2 92%に低下)、Recommendation(提案:抗けいれん薬投与、酸素投与継続)。 記録のポイント: 発作開始時刻・終了時刻、使用した薬剤名・投与量・投与経路、発作の経過、投与後の変化を時系列で正確に記録。
先輩看護師の一言: 「小児のけいれん対応で一番大事なのは『慌てないこと』と『時間を測ること』です。ストップウォッチを意識して押す習慣をつけましょう。そして、口に物を入れたくなりますが、絶対にダメ! それをすることで窒息させてしまうリスクの方がはるかに高いです。看護師は、発作を止めるお薬(抗けいれん薬)の準備と、安全な環境を整えることが仕事です。落ち着いて、手順を一つずつ確実にこなしていきましょう。」

重要概念

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