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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

生後8か月の乳児が誤飲により気道異物を来たし、意識が消失した。救急外来に搬入され、医師が気管挿管を試みているが、声門の確認が困難で挿管できない。この状況で看護師が次に準備すべき物品はどれか。

解説
乳幼児の気道異物で声門確認困難かつ挿管不能の場合、緊急気道確保として輪状甲状靭帯穿刺・切開が考慮される。経鼻エアウェイやバッグバルブマスクは気道閉塞を解除できない。気管切開は手技が難しく時間がかかるため、小児では輪状甲状靭帯穿刺が優先される。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、生後8か月の乳児における緊急気道確保のアルゴリズムを問うています。特に、気道異物 (Foreign Body Airway Obstruction, FBAO) により意識消失し、医師による気管挿管 (Tracheal Intubation) が困難な「挿管不能・換気困難 (Cannot Intubate, Cannot Ventilate, CICV)」状況での対応が核心です。小児の解剖学的特徴として、喉頭が成人より頭側に位置し、声門が前方にあるため、喉頭展開が難しく、挿管困難に陥りやすいことを理解しておきましょう。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題のテーマは「小児の緊急外科的気道確保 (Emergency Surgical Airway in Pediatrics)」です。乳幼児では、成人のように経口挿管が困難な場合、次のステップとして輪状甲状靭帯穿刺・切開 (Cricothyroidotomy) が推奨されます。この手技は、輪状甲状靭帯 (Cricothyroid Membrane) を穿刺し、酸素を送り込むことで、一時的に酸素化を図る救命処置です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 選択肢1「輪状甲状靭帯穿刺用の針とカテーテル」が正解です。これは、小児の気道確保困難ガイドライン(DASガイドライン (Difficult Airway Society Guidelines) など)で、CICV状況における最終的な救命手段として位置づけられています。8か月児では気管切開は解剖学的に困難であり、輪状甲状靭帯穿刺が最も迅速で確実な方法です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ②番「気管切開チューブ」: 混同注意! 気管切開 (Tracheostomy) は、輪状甲状靭帯穿刺よりも侵襲が大きく、手技に時間がかかり、小児では解剖学的リスクが高いため、緊急時の第一選択とはなりません。計画的な気道確保や長期管理に用いられます。 - ③番「喉頭鏡マッキントッシュ型」: これは成人用の曲がったブレードを持つ喉頭鏡で、すでに医師が挿管を試みて困難な状況です。別のタイプの喉頭鏡(直型ブレードなど)を準備することはありますが、「声門確認が困難」という情報から、別の器具よりも外科的気道確保の準備が優先されます。 - ④番「用手換気用のバッグバルブマスク」: 混同注意! バッグバルブマスク (Bag-Valve-Mask, BVM) は、気道異物による完全閉塞がある場合、換気を送り込むことができず、かえって異物を押し込むリスクがあります。CICV状況では効果が期待できません。 - ⑤番「経鼻エアウェイ」: 意識消失している患者では、経鼻エアウェイ (Nasopharyngeal Airway) は咽頭反射が消失しているため有用ですが、気道異物による完全閉塞を解除することはできません。あくまで補助的なエアウェイであり、根本的な解決にはなりません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 最重要! 小児の気道確保困難時のアルゴリズムを押さえましょう。基本は「気道異物除去 (Foreign Body Removal)(背部叩打法・胸部突き上げ法)→ バッグバルブマスク換気 → 気管挿管 → 外科的気道確保」の流れです。また、乳幼児では輪状甲状靭帯が触知しにくいため、穿刺針のサイズ(18G~20G程度)や、高圧酸素の接続方法(用手換気 vs ジェット換気)も併せて学習しておきましょう。
概念整理: 小児の緊急気道確保 (Pediatric Emergency Airway Management)
- 通常の気道確保: 頭部後屈・あご挙上 → バッグバルブマスク換気 → 気管挿管
- CICV状態: 輪状甲状靭帯穿刺・切開が最終手段。
- 重要な鑑別: 気管切開は緊急性が低く、計画的手術。輪状甲状靭帯穿刺は緊急救命処置。
一目で比較!
手技適応特徴禁忌/注意
輪状甲状靭帯穿刺CICV状態(緊急)簡便・迅速・低侵襲小児では穿刺部位の同定が困難な場合あり
気管切開長期気道管理・計画的手術確実な気道確保可能緊急時には時間がかかりすぎる・出血リスク大
バッグバルブマスク換気補助(非閉塞時)非侵襲的完全閉塞では無効・異物押し込みリスク
看護過程ポイント: アセスメント: 乳児の意識レベル、呼吸状態(努力呼吸の有無、SpO2、チアノーゼ)、聴診での呼吸音減弱/消失、異物誤飲の有無(保護者からの情報収集)。看護診断: 「気道クリアランス不能 (Ineffective Airway Clearance)」または「非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern)」。「ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange)」のリスク。計画・実施: 医師の指示の下、輪状甲状靭帯穿刺キットの準備、穿刺中のバイタルサイン・SpO2モニタリング、蘇生処方箋に基づく薬剤準備(筋弛緩薬など)。評価: 穿刺後の気道確保状態、SpO2の改善、胸部の動きの確認。 暗記のコツ: 「Can't Intubate, Can't Ventilate (CICV) と来たら、Crico(輪状甲状靭帯穿刺)」と覚えましょう。語呂合わせ:「挿管できない、換気できない、そこで輪状穿刺!国試頻出ポイント: このテーマは、状況設定問題(事例問題)として頻出です。「医師が挿管を試みているが声門が見えない」という設定で、「看護師が次に取るべき行動」を問われます。正解は「輪状甲状靭帯穿刺の準備」であることが多く、誤答には「気管切開」「バッグバルブマスクでの換気継続」などが並びます。 出題パターン注意!: 「成人の気道異物で意識消失」→「腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)」vs 「乳幼児の気道異物で意識消失」→「背部叩打法と胸部突き上げ法」の違い、そして今回のように「医療機関到着後、医師による気道確保が困難」という状況に発展する問題に注意しましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 深夜の救急外来に、母親が抱えた生後8か月の乳児が搬入されました。「夕食時に餅を食べさせていたら、突然むせて顔色が悪くなった。背中を叩いたが治まらない」との情報。来院時、意識は消失し、自発呼吸はなく、チアノーゼが著明。医師が喉頭鏡で気管挿管を試みるも、喉頭浮腫と解剖学的要因(乳児は喉頭が高い)により声門の確認ができません。この時、看護師は医師の指示を待ちつつ、何を準備すべきでしょうか? - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず、医師の「挿管困難」という発言を聞いたら、即座に「輪状甲状靭帯穿刺キット」の準備を開始します。看護師は、手技の準備(針、カテーテル、シリンジ、消毒綿、酸素チューブ)に加え、患者の状態を常時モニタリング(SpO2、心電図、血圧)し、医師に数値(例:「SpO2が30%まで低下しています」)をリアルタイムで報告します。また、急変時に備えて、蘇生薬剤(アドレナリンなど)除細動器 (Defibrillator) の準備も並行して行います。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 禁忌行為! この状況で盲目的に指や鉗子を咽頭に入れて異物を探ることは、異物をさらに深く押し込むリスクがあるため行いません。また、バッグバルブマスクでの無理な換気は、胃内に空気を送り込み誤嚥を誘発するため避けます。穿刺時は、乳児の固定を確実に行い、医師の穿刺部位の確認を補助します。穿刺後は、カテーテルが確実に気管内に留置されているか(呼気時のCO2検出、胸部聴診)を確認します。
看護プロトコル: 観察項目: 意識レベル(JCS/GCS)、呼吸パターン(胸郭の動き、呼吸補助筋の使用)、SpO2、皮膚色、脈拍。報告基準 (SBAR): S(状況): 「生後8か月の乳児、気道異物によるCICV状態です」、B(背景): 「挿管困難で医師が輪状甲状靭帯穿刺を予定」、A(アセスメント): 「SpO2低下、重度の低酸素状態です」、R(提案): 「穿刺キットの準備が完了しました。酸素と吸引器もスタンバイしています」
先輩看護師の一言: 「『Can't Intubate, Can't Ventilate(CICV)』と聞いたら、一瞬で頭を『外科的気道確保』に切り替えてください。特に小児では、その判断が数秒の差で生死を分けます。普段から『もし挿管できないと言われたら、次は何を準備する?』とシミュレーションしておくと、急変時に動けますよ!患者さんの呼吸が止まった瞬間、あなたの準備が命を救うんです!」

重要概念

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