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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

8歳の男児が、自転車で転倒し、左肘を強打した。来院時、左肘関節は著明に腫脹し、変形を認める。手指の色調は良好で、橈骨動脈の拍動は触知できるが、手指のしびれを訴えている。看護師の対応として適切なのはどれか。

解説
肘関節の変形と腫脹、手指のしびれは、上腕骨顆上骨折や肘関節脱臼が疑われる。橈骨動脈の拍動は触知できるが、神経障害(しびれ)を伴っているため、徒手的な整復は禁忌である。看護師は医師の診察と画像診断(X線撮影)を待ち、安静を保つことが適切である。温罨法は腫脹を増強させるため禁忌である。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児が、母親の腕の中でぐったりして呼吸が弱い状態で救急外来に搬送された。心拍数は60回/分、呼吸数は8回/分である。看護師の最初の対応として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、小児の肘関節外傷初期対応における、看護師の役割と禁忌行為を問うています。8歳の男児、自転車転倒による左肘の著明な腫脹と変形、そして手指のしびれという所見から、上腕骨顆上骨折 (Supracondylar Fracture of the Humerus) または 肘関節脱臼 (Elbow Dislocation) が強く疑われます。小児の上腕骨顆上骨折は、腕神経叢 (Brachial Plexus) や上腕動脈 (Brachial Artery) の損傷を合併しやすいため、緊急性が高い外傷です。

正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は ⑤番:安静を保ち、医師の指示を待つ です。
変形を伴う外傷では、まず 最重要! 患部の安静保持と医師の診察・画像診断 (X線撮影) を待つ ことが看護師の基本対応です。橈骨動脈の拍動は触知できるため血流は保たれていますが、手指のしびれは神経障害の可能性を示唆しており、不適切な体位変換や徒手的な操作は神経や血管の損傷を悪化させるリスクがあります。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番の肘関節を伸展位で固定する:肘関節の脱臼や骨折では、通常 混同注意! 関節を最も楽な肢位(受傷時の肢位)で安静に保ちます。強制的に伸展位で固定すると、神経・血管をさらに圧迫し、損傷を拡大するリスクがあるため禁忌です。
②番の直ちに整復を試みる:看護師の独立行為の範囲を超えています。徒手的整復 (Manual Reduction) は医師の判断と手技 であり、画像診断なしに行うと、骨折部のずれや神経・血管損傷を悪化させる危険があります。看護師が行うべきではありません。
③番の患部を温罨法で温める:外傷急性期(48時間以内)の腫脹に対しては、混同注意! 温罨法 (Warm Compress) は血管拡張を促し、腫脹や出血を増悪させる ため禁忌です。この時期の対応は 冷却罨法 (Cold Compress) が原則です。
④番の鎮痛薬の内服を促す:安静時に鎮痛薬を内服させることは、症状をマスクし、医師の診断や状態変化の観察を困難にする可能性があります。また、内服が不可能な場合(嘔吐リスク、意識レベル低下)もあるため、鎮痛薬の投与は医師の指示に基づくべき です。

関連概念の整理 (Related Concepts)
- 上腕骨顆上骨折 vs 肘関節脱臼:両者とも肘の変形と腫脹を来しますが、上腕骨顆上骨折は小児に好発し、血管・神経損傷の合併が特に多いです。最重要! 合併症として 前腕コンパートメント症候群 (Compartment Syndrome)フォルクマン拘縮 (Volkmann's Contracture) の予防が重要です。肘関節脱臼は後方脱臼が多く、尺骨神経損傷を合併しやすいです。
- 観察項目:バイタルサイン、手指の色調・温度感覚・運動機能(母指の対立運動、手指の伸展/屈曲)、橈骨動脈・尺骨動脈の拍動、疼痛の程度と性状、腫脹の進行、皮膚の緊満度(コンパートメント症候群のサイン)。

概念整理: この問題は小児肘関節外傷の初期対応を問うています。核心は「医師の診断を待つ」「禁忌行為をしない」「合併症の観察」です。上腕骨顆上骨折では特に神経血管損傷に注意。

一目で比較!:
処置適否理由
安静保持適切状態安定、医師の指示待ち
伸展位固定禁忌神経血管損傷悪化リスク
徒手整復禁忌看護師の業務範囲外
温罨法禁忌腫脹・出血増悪
鎮痛薬内服不適切症状マスク、観察困難


看護過程ポイント: アセスメントでは、手指のしびれ(感覚障害)橈骨動脈拍動の有無 を経時的に評価し、悪化時は医師へ即時報告。看護診断例:「末梢神経血管機能障害のリスク」「急性疼痛」など。計画では、安静保持、冷却罨法の準備(医師指示後)、患肢挙上の指導が挙げられます。

暗記のコツ: 外傷初期対応は「RICE処置(Rest安静、Ice冷却、Compression圧迫、Elevation挙上)」を思い出しましょう。しかし変形がある場合は「Rest安静(医師指示を待つ)」が最優先で、圧迫(Compression)は禁忌です。「温めるのは炎症を増やす」と覚えてください。

国試頻出ポイント: 小児の上腕骨顆上骨折は頻出です。橈骨動脈拍動の有無、手指の色調・感覚・運動、疼痛管理(冷却か温罨法か)、看護師の対応範囲(徒手整復は禁止)がよく問われます。

出題パターン注意!: 事例問題で「上腕骨顆上骨折の患児を観察中、手指が蒼白で冷たく、橈骨動脈の拍動が減弱した」という急変時の対応を問うパターンもあります。この場合、直ちに医師へ報告し、コンパートメント症候群を疑うことが必要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは小児科病棟の看護師です。8歳の男児が、学校の帰り道に自転車で転倒し、左肘を強打。救急外来を受診しました。医師の診察を待っている間、男児は「肘がすごく痛い」「手がしびれる」と泣きながら訴えています。母親も心配そうな表情で付き添っています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察: 最重要! バイタルサイン(特に意識レベル、疼痛評価)と、手指の色調・温度感覚・運動機能・橈骨動脈拍動を経時的に観察します。男児のしびれの範囲(母指側か小指側か)を確認します。
2. アセスメント: 橈骨動脈拍動は触知できるが、手指のしびれがあるため、正中神経 (Median Nerve) や橈骨神経 (Radial Nerve) の圧迫・損傷 の可能性を考慮します。医師に SBAR(Situation- Background- Assessment- Recommendation) を用いて報告します。
- S: 8歳男児、左肘打撲、手指しびれあり
- B: 自転車転倒、変形と腫脹あり
- A: 橈骨動脈拍動は触知するが、しびれが増悪傾向
- R: 医師の診察とX線撮影の優先をお願いします
3. 介入: 医師の指示があるまでは、患部を安静に保ち、受傷時の肢位を保持 するよう男児と母親に説明します。冷却罨法の指示があれば準備します(重要! 未指示では行わない)。
4. 評価: しびれの程度が改善するか、または悪化(範囲拡大、色調不良)していないかを観察し、変化があれば即時報告します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 禁忌行為: 徒手的整復、伸展位での固定、温罨法は絶対に行わない。
- 最重要! 転倒・転落予防: 男児は疼痛と不安で動きたがる可能性があるため、ベッド柵を上げ、付き添いの母親にも安静の重要性を説明します。
- 心理的ケア: 男児と母親に「今、何をしているのか」「なぜ安静が必要か」をわかりやすく説明し、不安を軽減します。

看護プロトコル: 観察項目は「手指の色調・温度感覚・運動機能」を15~30分ごとに記録。報告基準は「しびれの増悪」「橈骨動脈拍動減弱」「手指の蒼白・冷感」を即時報告。記録には「観察所見、看護介入内容、医師への報告内容と指示」を漏れなく記載。

先輩看護師の一言: 「小児の肘のケガは、見た目以上に神経や血管を損傷していることがあるから、本当に注意が必要です。『橈骨動脈が触れるから大丈夫』と油断せずに、しびれの有無や範囲をしっかりチェックしましょう。安静を保つことが最善のケアだと覚えてくださいね!」

重要概念

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