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健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

4歳の男児が、急性胃腸炎による嘔吐と下痢のため入院した。体重は入院前より5%減少している。看護師が行うべき脱水のアセスメント項目として適切でないのはどれか。

解説
脱水のアセスメントでは、皮膚ツルゴール低下、眼窩陥凹、口腔粘膜の乾燥、尿量減少、尿比重上昇などを観察する。血中カルシウム濃度は脱水の評価項目ではなく、電解質異常の中でも脱水とは直接関連が低い。
同じテーマの次の問題生後6か月の乳児が、38.5℃の発熱と喘鳴、鼻翼呼吸を認め、RSウイルス (RSV) 感染症と診断された。入院時の看護で優先度が最も高い観察項目はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、小児の急性胃腸炎に伴う脱水症(Dehydration)のアセスメント(Assessment)項目について問うています。脱水症は、体内の水分が喪失し、細胞外液量が減少した状態です。特に小児は体重あたりの水分量が多く、代謝が活発なため、脱水に陥りやすく、重症化も早いため、看護師は適切な観察項目を理解しておくことが必須です。 最重要! 脱水のアセスメントでは、皮膚のツルゴール(Skin Turgor)眼窩陥凹(Sunken Eyes)口唇・口腔粘膜の乾燥(Dry Mucous Membranes)尿量減少・尿比重上昇(Increased Urine Specific Gravity)などが重要な指標となります。一方、血中カルシウム濃度(Serum Calcium Level)は、脱水の重症度や水分バランスの評価には直接的には用いません。カルシウムは主に骨や細胞内に存在し、脱水による細胞外液の濃縮の影響は受けにくく、むしろ副甲状腺機能やビタミンD代謝、悪性腫瘍など他の病態の評価指標です。よって、脱水のアセスメント項目として適切でないのは「血中カルシウム濃度の測定」です。 正解の根拠(Answer Rationale)
脱水の評価では、バイタルサイン(Vital Signs)(特に心拍数上昇、血圧低下、頻呼吸)、皮膚所見、粘膜の状態、尿量、および血清電解質(Na, K, Cl)と腎機能(BUN, Cr)が中心です。血中カルシウム濃度は、これらの評価項目に含まれず、脱水の直接的な指標とはなりません。 小児の急性胃腸炎では、嘔吐・下痢による水分と電解質(特にNa, K, HCO3-)の喪失が主であり、脱水の補正と同時に電解質補正が行われます。 誤答の分析(Distractor Analysis)
混同注意! 以下の選択肢はすべて脱水のアセスメント項目として適切です。 ① 皮膚のツルゴール:正しい観察項目です。脱水が進行すると皮膚の弾力性が低下し、皮膚をつまんで離した後に戻る時間が遅延します(ツルゴール低下)。 ② 眼窩の陥凹:正しい観察項目です。特に小児では、細胞外液の減少により眼球周囲の脂肪組織や結合組織の水分が減少し、眼窩がくぼんで見えます。 ④ 口唇・口腔粘膜の乾燥:正しい観察項目です。唾液分泌が減少し、口唇や口腔内が乾燥します。これは軽度脱水からみられる初期兆候です。 ⑤ 尿比重の測定:正しい観察項目です。脱水時には腎臓が水分を再吸収しようとするため、尿が濃縮され、尿比重が上昇します(正常値:1.010~1.025程度、脱水時は1.030以上になることも)。 関連概念の整理(Related Concepts)
- 最重要! 脱水の重症度分類(軽度・中等度・重度)と各徴候を関連付けて覚えましょう。軽度:口渇、粘膜乾燥。中等度:皮膚ツルゴール低下、眼窩陥凹、尿量減少。重度:ショック症状(頻脈、血圧低下、意識障害)。 - 電解質異常:低ナトリウム血症(Hyponatremia)、低カリウム血症(Hypokalemia)は脱水に併発しやすく、特に補液時の電解質補正が重要です。 - 小児の経口補水療法(Oral Rehydration Therapy: ORT):軽度~中等度脱水では、経口補水液(ORS)が第一選択です。嘔吐があっても少量頻回投与が推奨されます。 概念整理: 脱水のアセスメントは「見る・触る・測る」の3点が基本です。見る(眼窩・口唇・尿量)、触る(皮膚ツルゴール・大泉門)、測る(体重・尿比重・バイタルサイン)。電解質評価ではNa, K, Clが中心で、Caは脱水評価の直接項目ではありません。 一目で比較!:
評価項目脱水の指標主な評価内容
皮膚ツルゴール有効(中等度~重度)弾力性低下、戻り時間遅延
眼窩陥凹有効(中等度~重度)眼球周囲のくぼみ
口腔粘膜乾燥有効(軽度~中等度)口唇・口腔内の乾燥
尿比重上昇有効(軽度~中等度)尿濃縮(1.030以上)
血中Ca濃度無効副甲状腺・骨代謝・悪性腫瘍の評価
看護過程ポイント: - アセスメント: 体重減少率(5%は中等度脱水の目安)、バイタルサイン(特に心拍数と血圧の変動)、皮膚・粘膜の状態、尿量(時間尿量)、血清電解質(Na, K, Cl)とBUN/Cr。 - 看護診断(Nursing Diagnosis): 「体液量不足(Deficient Fluid Volume)」が最優先。関連因子として「嘔吐と下痢による水分喪失」。 - 計画・実施: 経口補水液(ORS)の少量頻回投与、あるいは医師の指示による静脈内輸液(IV fluids)の実施。輸液量と電解質補正のモニタリング。 - 評価: バイタルサインの安定、尿量の増加(1~2 mL/kg/h以上)、皮膚ツルゴールの改善、体重の回復、電解質値の正常化。 暗記のコツ: 「脱水の5つのS」で覚えましょう!Skin(皮膚ツルゴール低下)、Sunken eyes(眼窩陥凹)、Sunken fontanelle(大泉門陥凹・乳児)、Salivation decreased(口腔粘膜乾燥)、Specific gravity(尿比重上昇)。Ca(カルシウム)はこのリストに入りません! 国試頻出ポイント: 脱水のアセスメントは毎年のように出題される超重要テーマです。特に「小児の脱水」と「高齢者の脱水」の観察項目の違い(小児では大泉門陥凹、高齢者ではせん妄の出現など)も併せて学習しましょう。また、体重減少率(3%:軽度、5-10%:中等度、10%以上:重度)と症状の関連は必ず暗記してください。 出題パターン注意!: 単純な知識問題(「脱水の観察項目はどれか」)に加え、事例問題(「この患者さんの脱水の重症度はどれか」「輸液の種類として適切なのはどれか」)や、電解質異常との組み合わせ問題も頻出です。「血中カルシウム」という選択肢は、脱水とは関係ないことをしっかり覚えておけば、一発で正解を選べる落とし穴問題です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ(Clinical Scenario)
4歳の男児、体重15kg。昨日から嘔吐と下痢が続き、今日からぐったりして水分も摂れなくなったため母親に連れられて来院。入院時バイタルサインは、体温37.2℃、心拍数140/分、血圧88/50mmHg、呼吸数28/分。皮膚は乾燥し、つまんだ後の戻りが遅い。眼窩はくぼみ、口唇は乾燥。尿量は過去6時間でほとんどなかった。体重は14.25kg(入院前15kg、5%減少)。あなたは受け持ち看護師です。医師から「輸液療法(Fluid Therapy)を開始する」と指示が出ました。まず何を確認し、どのようなアセスメントと介入を行いますか? 看護介入と判断戦略(Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察(Observation): まず バイタルサイン(特に心拍数と血圧)を再確認し、ショック徴候がないか評価します。同時に 意識レベル(JCS/AVPU)と 末梢冷感(Cyanosis, Capillary Refill Time)をチェック。この子は心拍数140/分と頻脈、血圧88/50mmHgと低めで、中等度~重度脱水の可能性が高いです。 2. 報告(Report: SBAR): 医師にSBAR形式で報告。S(状況): 「4歳男児、急性胃腸炎による中等度脱水。入院時体重14.25kg、5%減少。心拍140、血圧88/50。尿量は6時間でほぼなし。」 B(背景): 「昨日からの嘔吐下痢。経口摂取困難。」 A(アセスメント): 「中等度~重度脱水の疑い。ショック前期の可能性あり。」 R(提案): 「輸液の指示をいただけますか?また、電解質測定と尿比重測定のオーダーをお願いします。」 3. 介入(Intervention): 最重要! 医師の指示のもと、末梢静脈路(IV Line)を確保し、乳酸リンゲル液(Lactated Ringer's)または生理食塩液(Normal Saline)による輸液を開始(開始速度は医師の指示に従うが、通常は10~20mL/kg/hrで開始し、ショック時は20mL/kgを急速投与することもある)。経口摂取が可能であれば、経口補水液(ORS)の少量頻回投与も検討。 4. 評価(Evaluation): 輸液開始後、バイタルサインの安定(心拍数低下、血圧上昇、尿量増加)、皮膚ツルゴールの改善、意識レベルの改善を継続的に評価。尿量は1~2mL/kg/hを目標に。電解質データ(Na, K, Cl, BUN, Cr)を確認し、異常があれば即座に報告。 患者安全・注意事項(Patient Safety & Precautions)
- 最重要注意! 急速輸液による 心不全(Heart Failure)肺水腫(Pulmonary Edema) のリスク。特に心疾患を持つ小児では輸液速度に細心の注意が必要です。 - 混同注意! 低張性脱水(Hypotonic Dehydration)の場合、急速な輸液によるナトリウム濃度の急激な低下(浸透圧性脱髄症候群)を防ぐため、補正速度に注意(血清Naの補正は1~2mEq/L/h以内)。 - 感染対策:手袋着用、点滴ルートの清潔操作。 - 転倒・転落予防:小児は輸液ラインに絡まって転落するリスクがあるため、ベッド柵の高さ確認と、保護者への安全指導(「お子さんが点滴のチューブを引っ張らないように注意してくださいね」)。 看護プロトコル: - 観察項目: バイタルサイン(最低1時間毎)、尿量(蓄尿またはパッド重量測定)、皮膚ツルゴール(1~2時間毎)、体重測定(1日1回、できれば毎朝同条件で)、血清電解質(Na, K, Cl)とBUN/Cr(初期は2~4時間毎、安定後は1日1回)。 - 報告基準(SBAR): バイタルサインの異常(特に収縮期血圧が年齢相当値の2SD以下、心拍数が持続的に160/分以上または低下傾向)、尿量が0.5mL/kg/h未満、意識レベルの低下、新たな電解質異常。 - 記録のポイント: 輸液開始時間、種類、速度、総輸液量。各時間の尿量と体重変化。アセスメントと介入の結果(例:「14:00 輸液開始。15:00 心拍数120/分に改善。尿量10mL確認。」)。 - 家族への説明: 「お子さんは脱水(体内の水分が足りない状態)です。今から点滴で水分と栄養を補います。点滴中はお子さんの様子をしっかり観察しますので、何か気になることがあればすぐに教えてください。」 先輩看護師の一言: 「小児の脱水は本当に怖いんですよ。大人と違って、代償機能が未熟だから急に悪くなります。『ぐったり』『泣き声が弱い』『大泉門が陥凹』『尿量が減った』この4つを見逃さないで!そして、脱水の観察項目をしっかり覚えておけば、国試でも臨床でも絶対に役立ちます。『カルシウムは脱水の評価には使わない』これは試験の常識問題なので、しっかり覚えてくださいね!」

重要概念

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