核心解説
この問題は、小児の急性胃腸炎に伴う脱水症(Dehydration)のアセスメント(Assessment)項目について問うています。脱水症は、体内の水分が喪失し、細胞外液量が減少した状態です。特に小児は体重あたりの水分量が多く、代謝が活発なため、脱水に陥りやすく、重症化も早いため、看護師は適切な観察項目を理解しておくことが必須です。
最重要! 脱水のアセスメントでは、
皮膚のツルゴール(Skin Turgor)、
眼窩陥凹(Sunken Eyes)、
口唇・口腔粘膜の乾燥(Dry Mucous Membranes)、
尿量減少・尿比重上昇(Increased Urine Specific Gravity)などが重要な指標となります。一方、
血中カルシウム濃度(Serum Calcium Level)は、脱水の重症度や水分バランスの評価には直接的には用いません。カルシウムは主に骨や細胞内に存在し、脱水による細胞外液の濃縮の影響は受けにくく、むしろ副甲状腺機能やビタミンD代謝、悪性腫瘍など他の病態の評価指標です。よって、脱水のアセスメント項目として適切でないのは「血中カルシウム濃度の測定」です。
正解の根拠(Answer Rationale)
脱水の評価では、
バイタルサイン(Vital Signs)(特に心拍数上昇、血圧低下、頻呼吸)、皮膚所見、粘膜の状態、尿量、および
血清電解質(Na, K, Cl)と
腎機能(BUN, Cr)が中心です。
血中カルシウム濃度は、これらの評価項目に含まれず、脱水の直接的な指標とはなりません。 小児の急性胃腸炎では、嘔吐・下痢による水分と電解質(特にNa, K, HCO3-)の喪失が主であり、脱水の補正と同時に電解質補正が行われます。
誤答の分析(Distractor Analysis)
混同注意! 以下の選択肢はすべて脱水のアセスメント項目として適切です。
①
皮膚のツルゴール:正しい観察項目です。脱水が進行すると皮膚の弾力性が低下し、皮膚をつまんで離した後に戻る時間が遅延します(ツルゴール低下)。
②
眼窩の陥凹:正しい観察項目です。特に小児では、細胞外液の減少により眼球周囲の脂肪組織や結合組織の水分が減少し、眼窩がくぼんで見えます。
④
口唇・口腔粘膜の乾燥:正しい観察項目です。唾液分泌が減少し、口唇や口腔内が乾燥します。これは軽度脱水からみられる初期兆候です。
⑤
尿比重の測定:正しい観察項目です。脱水時には腎臓が水分を再吸収しようとするため、尿が濃縮され、尿比重が上昇します(正常値:1.010~1.025程度、脱水時は1.030以上になることも)。
関連概念の整理(Related Concepts)
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最重要! 脱水の重症度分類(軽度・中等度・重度)と各徴候を関連付けて覚えましょう。軽度:口渇、粘膜乾燥。中等度:皮膚ツルゴール低下、眼窩陥凹、尿量減少。重度:ショック症状(頻脈、血圧低下、意識障害)。
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電解質異常:低ナトリウム血症(Hyponatremia)、低カリウム血症(Hypokalemia)は脱水に併発しやすく、特に補液時の電解質補正が重要です。
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小児の経口補水療法(Oral Rehydration Therapy: ORT):軽度~中等度脱水では、経口補水液(ORS)が第一選択です。嘔吐があっても少量頻回投与が推奨されます。
概念整理: 脱水のアセスメントは「見る・触る・測る」の3点が基本です。見る(眼窩・口唇・尿量)、触る(皮膚ツルゴール・大泉門)、測る(体重・尿比重・バイタルサイン)。電解質評価ではNa, K, Clが中心で、Caは脱水評価の直接項目ではありません。
一目で比較!:
| 評価項目 | 脱水の指標 | 主な評価内容 |
| 皮膚ツルゴール | 有効(中等度~重度) | 弾力性低下、戻り時間遅延 |
| 眼窩陥凹 | 有効(中等度~重度) | 眼球周囲のくぼみ |
| 口腔粘膜乾燥 | 有効(軽度~中等度) | 口唇・口腔内の乾燥 |
| 尿比重上昇 | 有効(軽度~中等度) | 尿濃縮(1.030以上) |
| 血中Ca濃度 | 無効 | 副甲状腺・骨代謝・悪性腫瘍の評価 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 体重減少率(5%は中等度脱水の目安)、バイタルサイン(特に心拍数と血圧の変動)、皮膚・粘膜の状態、尿量(時間尿量)、血清電解質(Na, K, Cl)とBUN/Cr。
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看護診断(Nursing Diagnosis): 「体液量不足(Deficient Fluid Volume)」が最優先。関連因子として「嘔吐と下痢による水分喪失」。
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計画・実施: 経口補水液(ORS)の少量頻回投与、あるいは医師の指示による静脈内輸液(IV fluids)の実施。輸液量と電解質補正のモニタリング。
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評価: バイタルサインの安定、尿量の増加(1~2 mL/kg/h以上)、皮膚ツルゴールの改善、体重の回復、電解質値の正常化。
暗記のコツ: 「脱水の5つのS」で覚えましょう!
Skin(皮膚ツルゴール低下)、
Sunken eyes(眼窩陥凹)、
Sunken fontanelle(大泉門陥凹・乳児)、
Salivation decreased(口腔粘膜乾燥)、
Specific gravity(尿比重上昇)。Ca(カルシウム)はこのリストに入りません!
国試頻出ポイント: 脱水のアセスメントは毎年のように出題される超重要テーマです。特に「小児の脱水」と「高齢者の脱水」の観察項目の違い(小児では大泉門陥凹、高齢者ではせん妄の出現など)も併せて学習しましょう。また、体重減少率(3%:軽度、5-10%:中等度、10%以上:重度)と症状の関連は必ず暗記してください。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「脱水の観察項目はどれか」)に加え、事例問題(「この患者さんの脱水の重症度はどれか」「輸液の種類として適切なのはどれか」)や、電解質異常との組み合わせ問題も頻出です。「血中カルシウム」という選択肢は、脱水とは関係ないことをしっかり覚えておけば、一発で正解を選べる落とし穴問題です。