子宮筋腫に対して子宮動脈塞栓術 (UAE) を受けた40歳女性。術後当日の看護で最も注意すべき症状はどれか。 | MyMerci
性・生殖機能障害のある患者の看護
問題

子宮筋腫に対して子宮動脈塞栓術 (UAE) を受けた40歳女性。術後当日の看護で最も注意すべき症状はどれか。

解説
UAEは大腿動脈からカテーテルを挿入し子宮動脈に塞栓物質を注入する手技である。術後は穿刺部位の血腫や動脈閉塞による下肢虚血に注意する必要がある。下肢のしびれ・冷感・疼痛・皮膚色調変化は動脈閉塞を示唆する重篤な合併症であり、迅速な対応が必要である。

詳細解説

核心解説 この問題は、子宮動脈塞栓術 (Uterine Artery Embolization, UAE) 後の急性期合併症を問うています。UAEは、子宮筋腫 (Uterine Fibroids) に対する低侵襲治療として広く行われ、大腿動脈からカテーテルを挿入し、子宮動脈に塞栓物質を注入して筋腫への血流を遮断します。術後看護の最優先事項は、穿刺部位の合併症と下肢虚血 (Lower Limb Ischemia) の早期発見です。これはカテーテル操作による動脈内膜損傷や血栓形成、塞栓物質の誤注入などが原因で発生します。選択肢の中で、下肢のしびれと冷感は、動脈血流が途絶したことを示す重要な身体的兆候であり、緊急対応が必要です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! UAE後は穿刺部の止血が最優先ですが、その後の観察で最も注意すべきは 下肢動脈閉塞 (Arterial Occlusion) の兆候です。カテーテル挿入部位(通常、大腿動脈)から末梢への血流が障害されると、下肢のしびれ、冷感、疼痛、蒼白、脈拍触知不良(5P徴候:Pain, Pallor, Pulselessness, Paresthesia, Poikilothermia) が出現します。これは重篤な合併症であり、早期発見・早期介入(医師への報告、血行再開処置)が求められます。選択肢2はこの5P徴候に直接該当する所見です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の腟からの褐色帯下は、子宮筋腫の自然経過や術後の子宮内膜の変化で見られることがありますが、生命に直結する緊急性は低いため、最も注意すべき症状ではありません。
③番の悪心・嘔吐は、麻酔や疼痛、あるいは塞栓後症候群(Post-embolization Syndrome)の一部として出現することがありますが、これも致命的な合併症ではありません。
④番の軽度の下腹部痛は、UAE後の非常に一般的な症状であり、筋腫の虚血による疼痛で、通常は鎮痛薬で管理されます。
⑤番の37.5℃台の発熱も、塞栓後症候群の一環としてよく見られる所見であり、即座に対応が必要な重症所見とは言えません。塞栓後症候群は発熱、疼痛、悪心などを含みますが、通常は数日で改善します。 関連概念の整理 (Related Concepts)
UAEの合併症と鑑別すべき重要概念として、混同注意! 穿刺部位血腫 (Hematoma)仮性動脈瘤 (Pseudoaneurysm) があります。これらは穿刺部の腫脹、疼痛、拍動性腫瘤として現れます。一方、下肢動脈閉塞は末梢の症状(しびれ、冷感)で現れるため、穿刺部の観察と同時に末梢の循環状態を評価することが必須です。また、塞栓物質の流入による 非標的塞栓 (Non-target Embolization) では、他の臓器(卵巣、膀胱、直腸など)の虚血による症状が現れる可能性もあります。
概念整理: UAE後の看護では、穿刺部位(大腿動脈)の観察(出血、血腫、拍動性腫瘤)と 下肢末梢循環の観察(皮膚温、色調、感覚、運動、足背動脈触知)を同時に行うことが核心です。下肢虚血の5P徴候(Pain: 疼痛, Pallor: 蒼白, Pulselessness: 脈拍触知不良, Paresthesia: しびれ, Poikilothermia: 冷感)を覚えておきましょう。
一目で比較!
合併症主な症状緊急度
下肢動脈閉塞下肢のしびれ 冷感 蒼白 脈拍消失高度(緊急血行再開)
穿刺部位血腫穿刺部の腫脹 疼痛 皮下出血中等度(圧迫止血)
塞栓後症候群下腹部痛 発熱 悪心低度(対症療法)

看護過程ポイント: アセスメント: UAE後は1時間ごとにバイタルサイン(Vital Signs)、穿刺部位、下肢末梢循環(皮膚温、色調、感覚、足背動脈の触知、膝窩動脈の触知)を評価します。SBARで報告する際は、「患者はUAE後1時間、左下肢のしびれと冷感を訴え、足背動脈が触知できません」と具体的に伝えます。看護診断: 「末梢循環不全のリスク状態 (Risk for Ineffective Peripheral Tissue Perfusion)」が優先されます。
暗記のコツ: UAE後の合併症で覚えるべきは 「5P徴候」 です。Pallor(蒼白), Pain(疼痛), Pulselessness(脈拍触知不良), Paresthesia(しびれ), Poikilothermia(冷感)。これに加えて、穿刺部位の観察も忘れずに。
国試頻出ポイント: UAEに限らず、大腿動脈穿刺を伴うカテーテル治療(心臓カテーテル、脳血管造影、血管内治療)全般で、術後合併症として下肢動脈閉塞と穿刺部位血腫が頻出です。この問題は「最も注意すべき症状」を問うているため、生命の危険に直結する下肢虚血の兆候(しびれ・冷感)が正解となります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、事例問題に発展します。「UAE術後、夜間に患者が『足がしびれて冷たい』と訴えた。看護師の対応として適切なのはどれか」のように、具体的な行動を問われることも多いので、アセスメント→報告→緊急対応の流れを理解しておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
40歳女性、子宮筋腫(Uterine Fibroids)に対してUAEを施行。手術は問題なく終了し、右大腿動脈穿刺部に圧迫止血帯が装着されています。術後2時間経過し、患者は「右の足が何となくしびれて、冷たい感じがする」と訴えています。看護師として、直ちに何を確認すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! まず、穿刺部位の観察(出血、血腫の有無)と 右下肢末梢循環の評価(皮膚温・色調、足背動脈・後脛骨動脈の触知、感覚、運動)を同時に行います。もし足背動脈が触知できず、皮膚が蒼白で冷たく、しびれが強い場合は、動脈閉塞 (Arterial Occlusion) を強く疑います。直ちに医師に報告し(SBARを使用)、緊急の血管エコーや血管造影の準備を行います。看護師が行うべき処置として、圧迫止血帯の調整(医師の指示があれば)、患肢の保温(冷やさない)、安静保持、バイタルサイン(Vital Signs)のモニタリングがあります。絶対に患肢をマッサージしたり、温めすぎたりしないでください。血栓が飛ぶリスクがあります。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
混同注意! カテーテル治療後は、穿刺部の止血が最も優先されますが、止血帯の締め付けが強すぎる場合も、逆に血流障害を引き起こす可能性があります。観察時は止血帯の圧迫状態も確認し、必要に応じて医師に調整を相談します。また、造影剤によるアレルギー反応(発疹、呼吸困難、血圧低下)や腎機能障害(造影剤腎症)の発生にも注意が必要です。
看護プロトコル: UAE術後の観察項目は、①バイタルサイン(Vital Signs)、②穿刺部位(出血・血腫・拍動性腫瘤)、③下肢末梢循環(5P徴候、足背動脈・後脛骨動脈の触知)、④疼痛(NRSスケールで評価)、⑤排尿状態(造影剤排泄の確認、尿道カテーテル挿入の有無)、⑥塞栓後症候群の有無(発熱、疼痛、悪心・嘔吐)です。記録は経時的に行い、異常があればすぐに報告します。報告はSBAR(S:状況, B:背景, A:アセスメント, R:提案)で行います。
先輩看護師の一言: 「UAEは低侵襲ですが、合併症は致死的になり得るものもあります。『足がしびれる』という患者さんの言葉は、『何かがおかしい』というサイン。すぐに足を触って冷たくなっていないか、色が悪くなっていないかを確認する習慣をつけましょう。現場で一番大事なのは『いつもと違う』に気づく観察力です。国試の知識は、そのまま患者さんの安全を守る武器になります!」

重要概念

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